4月25日(水)、都内・帝国ホテルで初代タイガーマスクが記者会見を行い、大仁田厚のデスマッチ出場要求を受諾すると宣言。「5月5日の巌流島に試合を観に来い!」と呼び掛けた。
大仁田は執拗に電流爆破マッチを要求
リアルジャパンプロレス3・16後楽園ホール大会で初激突を果たした初代タイガーマスクと大仁田厚。激闘の末、最後は初代タイガーが大仁田のパートナーである矢口壹琅をタイガースープレックスで沈めて勝利した。
これで2人の闘いは一応の決着が付いたかと思われたが、試合後に大仁田は「初代タイガーを電流爆破マッチに引きずり出す」と宣言。さらに遺恨が深まる形となった。
この試合で初代タイガーの蹴りを食らい、あばら骨を骨折したという大仁田は、その後も事ある毎に挑発的なコメントを出してきた。今月3日には「お前のリングに上がったのだから、こっちのリングにも上がるべき」と自身の主催興行である5・11新宿FACE大会でのデスマッチ出場を要求。路上での襲撃テロまでほのめかし、「俺が勝ったら、ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチを受け入れろ」とブチ上げた。
初代タイガーが何の反応を示さないのに苛立った大仁田は、さらに16日にも会見を開催。5・11新宿大会のメインイベントとして、「大仁田厚&矢口壹琅&保坂秀樹vs初代タイガーマスク&ザ・グレート・サスケ&X」の有刺鉄線ボードストリートファイトデスマッチを行うと一方的に発表し、「ドタキャンはプロとして最低の行為」と出場を迫っていた(これまで参戦受諾はしていないので、ドタキャンとの表現は誤りだが)。
初代タイガーマスクがまさかのデスマッチ出場を宣言
当然、無法要求を突っぱねると思われた初代タイガーだったが、今日の会見で急転直下、この試合に出場すると明言した。
「何でも受けましょうと。プロレスラーとして尊敬していますし、どういう試合形式でも、どんどんこなしてやろうじゃないかと今は思っています」
実際に肌を合わせたことにより、初代タイガーの中には大仁田を認める気持ちが生まれたのだという。
「実際に対戦したことで彼に対する認識は変わりましたね。お客さんをヒートさせてたし、”やるじゃん”みたいな。タイガー・ジェット・シンや昔のアブドーラ・ザ・ブッチャーに似ているような感じがありました。大仁田には傷が1000箇所ぐらいあるそうですけど、ある意味では尊敬していますよ。あれだけプロに徹しているんですから」
今回の試合が正式に決まれば、初代タイガーにとっては初のデスマッチとなる。しかし、本人に不安は皆無だ。
「昔、猪木さんと上田馬之助さんがネール(釘板)デス)マッチをやりましたけど、そういうことも僕の頭には入っていますし、プロレスの活性化に繋がるんであれば、それもありかなと。ただ、ストロングスタイルの人間がやるデスマッチというのはまるで違いますよ。ストリートファイトルール? 本当のストリートファイトだったら好きですけど、プロレスなら”それがルールなの?”という感じ。本物のストリートファイトとは違いますから。僕がやっている武道は市街地型実戦格闘技ですからね」
初代タイガーが創立した『武道 掣圏』は思想面ばかりが注目されるが、その試合は市街地での突発的な闘いを想定した実戦的なもの。今回の会見で「凶器の持ち込み」もほのめかしていたが、様々な武具に関しても造詣が深い。つまり、『デスマッチ=大仁田の独壇場』とはならないのだ。
パートナーに”因縁の相手”グラン浜田を指名
気になるのは、パートナーとなるXの存在だが、大仁田と因縁があり、そのファイトに順応できる最適なベテランを指名した。今年で現役生活40周年を迎えたグラン浜田だ。
浜田は一時引退してジャパン女子プロレスでコーチを務めていた時期があったが、1988年に同じく引退してコーチになっていた大仁田と遺恨が勃発し、それがキッカケで共に復帰したという経緯がある。浜田のパートナー起用は、大仁田への精神的な揺さぶりにもなるだけに、ベストな人選と言ってもいいだろう。なお、会見直後にさっそくリアルジャパンサイドは浜田と連絡を取り、試合出場が正式に決定している。
巌流島決戦への来場を逆要求
初代タイガーから強気な発言が目立ったのは、心身共に充実しているからこそ。幹細胞治療により、ここ数年悩まされ続けてきた膝の怪我が劇的に回復した。さらに、5月5日には生まれ故郷である山口の巌流島でレジェンド・ザ・プロレスリングとして興行を開催。凱旋試合として、ウルティモ・ドラゴンとのシングルマッチ(メインイベント)が組まれている。
巌流島決戦を前に、先日は山口県警本部から日本初となる『1日子供安全大使』に任命され、活動の一環として母校の小学校で、児童に対して防犯に関する講演を行ったという。その他、「巌流島観光大使」に任命されるなど、地元では”初代タイガーマスク旋風”が巻き起こっており、その大きなバックアップに感銘した初代タイガーは、精神的にも充実した日々を送っている。
現在は栃木県・小山で短期合宿を実施中。これまでは膝の状態を見ながら練習するしかなかったが、今はランニングとジムワークを中心に自分の身体を極限まで追い込む特訓もできるようになり、あの藤原敏男・藤原ジム会長もその激しさを目の当たりにして言葉を失っていたそうだ。
「ローリングソバットのスピードもまったく違いますから、巌流島では”本格復帰”と言えるような試合ができると思います。本当にベストな状態。ある意味で、第三期ぐらいとなるタイガーマスクの本格的なカムバックになるかなと。それぐらい自信がありますよ。”それに対処できますか?覚悟しておきなさい”ということです。だから、大仁田には”巌流島に来て、試合を観てみろ”と言いたいですね。”もし、勝ったら……”なんて言ってますけど、そんなことはあり得ないですから」
大仁田という存在を認め、デスマッチのリングに上がることを決意したとは言え、電流爆破マッチにまで付き合う気はさらさら無い。今回の試合でキッチリと勝利し、遺恨を清算するつもりだ。さすがの大仁田もここまで積極的な反応をするとは予想していなかったはず。果たして巌流島への来場予告にどういう反応を示すのか? 直接対決まではまだ3週間近くあるだけに、両者の動きが気になるところだ。
次代の”過激な仕掛け人”育成へ
今回の会見には、初代タイガーにとっては新日本プロレス時代の恩人であり、また最近は共に様々なチャリティー活動にも取り組んでいる新間寿氏(新間事務所会長/初代タイガーマスク基金顧問会会長)が同席した。
新間氏は”過激な仕掛け人”の異名を持ち、アントニオ猪木の参謀役(新日本プロレス株式会社専務取締役営業本部長/スポーツ平和党幹事長)として、新日本プロレスの黄金時代を築き上げた功労者。タイガーマスク誕生にも深く関わっており、生みの親と言っても過言ではない。今回の巌流島決戦についても側面からバックアップしており、初代タイガーも「新日本を創ったのはこの人なんだと最近つくづく思う」と感服してばかりだという。
そんな新間氏を前にして、初代タイガーがブチ上げたのが、「次代の”過激な仕掛け人”育成計画」だ。
「新間さんの弟子を募集したいと思います。新間さんあっての昭和のプロレス界であったというのは紛れもない事実。今のプロレス界に必要なのは、そういうプロデュース力を持った人材だと思います。その立場を担うような弟子を2人ぐらい募集して、新間さんの横について、色々と学んで欲しいですね。新間さんは77歳ですけど、あと10年ぐらいは頑張ってもらって、その間に弟子を育てて、プロレスの発展に関与してもらいたいです」
さっそく新間氏は「マスコミ参加型のプロレス界作り」「道場や試合前の練習のオープン化」「マスコミのリング疑似体験」など様々なプロレス復興案を提示していた。この発想力とそれを実現させる手腕はプロレス界にとって大きな財産。それを次代にしっかりと受け継いでいこうというこの計画は、業界全体にとっても大きな意味を持つことになりそうだ。
■ 大仁田厚プロレスリング興行~有刺鉄線ボードデスマッチ決定!!~
日時:2012年5月11日(金)開場18:30 開始19:00
会場:東京・新宿FACE
<第5試合『有刺鉄線ボードストリートファイトデスマッチ』時間無制限1本勝負>
大仁田厚、矢口壹琅、保坂秀樹
vs.
初代タイガーマスク、ザ・グレート・サスケ、グラン浜田
<第4試合45分1本勝負>
二瓶一将、松崎和彦、宮本和志
vs.
スタンガン高村、富豪富豪夢路、入道
<第3試合30分1本勝負>
リッキー・フジ
vs.
ジ・ウインガー
<第2試合20分1本勝負>
ダンプ松本、レザー・フェイス
vs.
戸井克成、藤井健一
<第1試合15分1本勝負>
雷電
vs.
雅角
ウルティモ・ドラゴンが5・5巌流島MATCHの初代タイガーマスク戦に向け心境を告白「男と男のプライドを懸けて戦い、お客さんに最高の試合を見せるだけです」
27日、東京・恵比寿の『エル・リンコン・デ・サム』でウルティモ・ドラゴンが記者会見を行い、LEGEND THE PRO-WRESTLING5・5巌流島MATCHのメインイベントで実現する初代タイガーマスクとの一騎討ちに向けて、現在の心境を語った。
大会まであと1週間。現在、初代タイガーは栃木県の小山で合宿を行い、極限まで自分を追い込んでいる。懸念された膝の状態も幹細胞治療によって日に日に回復しており、本人も今回の試合で「完全回復」をアピールするつもりだ。
初代タイガーの現状を伝え聞いたウルティモは、「自分との闘いの前に合宿に入っていただけるということは、それだけこの一戦を大切で、意味のある試合と思っていただいているということですから、とても感謝しております」とコメント。「正直言ってなにを練習しているのかは非常に気になりますし、怖いなと思います」と警戒心を募らせた。
とはいえ、決戦を前に感情は落ち着いている。2008年9月に実現した初の一騎討ちを「あの時は完敗でした。技術云々じゃなくて、完全に格が違うという内容でした」と振り返っていたが、今回は気負いなどない。
「巌流島は宮本武蔵と佐々木小次郎が400年前に対決した場所ですから。本当に日本の武士道のルーツみたいなところ。そこで、1人対1人ですやるわけですからね。マスクを被っていますけど、先生は佐山サトルであり、僕は浅井嘉浩であり、男と男のプライドを懸けて戦うだけです」と淡々と語り、「正直言って、勝ち負けは気にしてないです。最高の闘いを皆さんにお見せするだけだと思っていますから」と宣言。前戦で「憧れの相手と戦えて良かった」と嬉しそうにしていたウルティモの姿はなく、1人の人間として初代タイガーと対戦する心構えになっている。
巌流島決戦の1週間後には自身のルチャ・リブレ生活25周年の記念大会となる『ドラゴマニア Ⅶ』がメキシコのアレナ・メヒコで開催される。あまりにタイトなスケジュールで、記念大会を前に怪我を負う可能性もあるが、「この試合はプライベートな部分。自分にとっては25周年の一環」と迷いはない。
「対抗するわけじゃないですけど、自分も明日から山篭もりをしようと思っています」と告白。両者は心身共にベストな状態で、巌流島決戦へと臨む。どちらが宮本武蔵となり、どちらが佐々木小次郎となるのか。もう心理戦は始まっている――。
巌流島決戦の大会概要などはこちら
レジェンド・ザ・プロレスリング5・5巌流島大会 初代タイガーx究極龍以下試合順決定!
初代タイガーマスクとウルティモ・ドラゴンの会見コメント全文はマット界舞台裏’12年05月03日号EMCOM株高怪7・1両国Z1ニタ三流選手考に掲載されました。
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