4・22ロードショー開始！悪役マイク・タイソン、主演ドニー・イェン映画『イップ・マン継承』

　香港では2015年クリスマスに公開され好評を得た『葉問３』が2017年4月、遂に日本公開の運びとなった。日本でのタイトルは『イップ・マン継承』となったが、コアなカンフー映画であることは間違いない。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演での３作目という事になる。１作目は戦前の主人公であるイップ・マンの物語。２作目は香港へ移ってからの物語、そして待望の３作目はイップ・マンが香港に住み始めてから10年程経過した1960年の物語となる。

　話はやや強引だが、香港の悪のシンジケートに親玉が黒人という設定で、地上げ行為、賭博と地下格闘技で荒稼ぎしている。親玉はマイク・タイソン扮するフランキーという黒人さん。イップ・マンの息子が通う小学校の土地を買収して、高値で転売しようと試みるが、イップ・マンの知るところとなり、フランキーの手下達はイップ・マンの正義の鉄拳で制裁を受ける。

　映画の前半はフランキー一味とイップ・マンの抗争が展開され、最終的にはフランキーとイップ・マンの一騎打ちとなっていく。マイク・タイソンが世界的ボクサーだけに１ラウンド３分間だけの闘いとなる。フランキーは３分あればぶっ殺せると自信満々で「３分あれば十分だ」とイップ・マンに約束してしまう。闘いはどう贔屓目に見てもフェザー級ぐらいの体格しかないドニー・イェンと引退後絞ってないヘビー級オーバーのマイク・タイソンは互角に闘えるとは思えないが、撮影の絶妙なアングル等で体格差が目立たない様にして行われた二人のアクションは正に撮影の妙で必見である。

　最終的にはフランキーが闘う前に宣言した３分が経過しても勝負が付かなかったので勝負は引き分け。内容的にはイップ・マンの勝ち、これまで一味との抗争は水に流す事となったからである。物語的には尻切れトンボの結末、カンフーアクション映画として中途半端なピリオドを迎える。

　ここから物語はアクション映画から夫婦愛をテーマとした物語へ大きく舵を切る。映画の中盤からイップ・マンの妻であるウィンセンが体調不良となり、漢方薬を処方してもらうが全くに快方の兆しが見えない。意を決して大きな病院で検査を受けたが、医師から子宮癌を宣告される。ウィンセンはその事を夫イップ・マンに報告し、悲嘆に暮れるイップ・マン、ウィンセン夫妻であった。この状況に至って、イップ・マンはいくら世の中の情勢で仕方がなかったとは言え、香港へ来る前からずっと苦労を掛けてきた妻に対して自らを省みて、余命幾ばくもない妻の願いを叶えようと心を入れ替える。ウィンセンがダンスがしたいと言えば、元弟子のブルース・リーに頭を下げてウィンセンの為にダンスを習うイップ・マンであった。そのダンスの披露する日が香港での詠春拳ナンバーワンを決める張天志大事な試合の日と重なっていた。イップ・マンは大事な試合を放棄してまでも愛する妻とのダンスに興ずるのであった。

　映画の最後は妻であるウィンセンの「貴方の闘う姿が見たい」と懇願され香港・詠春拳のもう一人の雄、張天志との一騎打ちが始まる。六點半棍vs六點半棍、八斬刀vs八斬刀の闘いは互角。最終的には徒手空拳の闘いへと突入する。闘いの中で張天志の標手が葉問の右目にヒット。勢いに乗って攻め立てる張天志に葉問の日字沖拳が張天志の胴体に突き刺さる。崩れ落ちる張天志。それを見て葉問はその場を立ち去る。ヨロヨロと立ち上がった張天志は自らの道場に掲げてあった『詠春正宗』の看板を自らの六點半棍で叩き壊すのであった。－劇終－