(C)Photo Courtesy of UFC
“女性にも会場に足を運んでもらいたい!”
来る2月26日に日本で開催される総合格闘技UFCの見所を、女性にも楽しめるように格闘技としての魅力を分かり易くお伝えしたいと思う。やはり格闘技というと女性にとっては、野蛮なスポーツと位置付けることになるのだろうが、それは会場へ足を運んでみて、その熱気と狂気に入り乱れた観客と選手の一体化した会場の状況を見てからにしてもらいたい。
一度でも会場へ足を運び入れたら最後、本気で殴り合う選手たちの姿に強烈な印象を持ち、この魅力あるスポーツにどっぷりハマってしまうはずだ。1対1の真剣勝負で0.01秒の閃きの一瞬で勝敗の明暗を分け、生つば飲み込みながら口がカラっからになって楽しむというのが格闘技だ。さて、そんな格闘技というジャンルの中でも様々なルールが存在するが、本サイトで紹介するUFCは現存する総合格闘技において間違いなく世界最高の試合を出し惜しみなく提供してくれる大会である。アメリカ発祥のUFCは本国での大会を中心に毎月のように開催され、格闘技界のメジャーリーグーとして世界の頂点に君臨している。更に分かり易く紐解いていくと、選手のファイトマネーがこれまた破格である。世界チャンピオンクラスのファイターになれば約100万ドルのファイトマネーが一試合で払われるケースすらある。UFCのルールは5分3Rがベース。チャンピオンとの王座をかけたタイトルマッチにあると5分3Rとなる。単純計算15分~25分で、それだけのお金を稼ぐのだから、一握りの選手とはいえ、アメリカンドリームがここにも存在している。
また、日本の総合格闘技だと、主流は4角形のロープのあるリングを採用するケースが多くあるのだが、UFCは8角形の金網の中で戦う。この金網の中で筋肉ムキムキの選手二人が殺意むき出しで戦うのだから、緊張感と臨場感が素晴らしい。逃げ場のない果たし合いの決闘場となるわけだ。また、急所攻撃(目潰し、金的攻撃)が違反行為になる以外は、なんでもありのルール。立っている状況で殴り合ってもよければ、相手を投げ飛ばして、倒れている選手を殴っても良い。金網の中にレフリングする審判が一人だけいるのだが、違反行為を見逃さないように見張っている以外は、ほぼ静観しているだけ。失神するか、対戦相手が降参するまでは、試合を止めることをしない。試合中の硬直=敗北を意味するUFCにおいて、常に動き回ることがセオリーであり、攻めと守りが目まぐるしく変わるので、瞬きすら許されない。観ていて欠伸(ルビ:あくび)をするような事は決してないのである。アクション映画観ているような感覚で大会を観ることが出来るので、女性でも観ていて楽しいはずだ。一人で心細いならば、彼氏や男友達を誘って観戦に行けば、さらに楽しめるはずである。
ちなみに余談だが、総合格闘技にエンターテイメント性を強めて世界に広めたのは、間違いなく日本である。日本で発祥した柔道が今は世界共通のJU-DOに変化を遂げたように、日本総合格闘技が世界水準レベルの底上げをしたからこそ、今のUFCが存在する。そして世界で通用する日本人選手が、この10年で多く育成されていった。それと並行してアメリカではUFCが根強いスポーツコンテンツに変化し、今ではアメリカ三大テレビチャンネルのESP-SPORTSで放送されているほどだ。
巨大化したアメリカ総合格闘技UFCが、かなりの力を蓄えて日本上陸となる。本大会は、世界で通用する日本人ファイター達が数多く出場する。とりわけ、知名度の高い、秋山成勲、山本“KID”郁徳などが、ここで世界屈指の強豪選手を相手に戦うので、やはり会場へ足を運び、歴史の一頁を垣間見るべきではないだろうか。
次に、日本の総合格闘技イベントとUFCのルールや採点基準の違いも触れておこう。何といっても日本の総合格闘技とUFCの違いは戦う場所がリングと金網であるということだ。日本で人気の総合格闘技イベントは現在ではDREAMや修斗、さらにDEEPとなる。ともにリングサイズは一辺が6m~7m前後が主となるが、それと比較し、UFCで採用されている金網8角形のオクタゴンは直径が9mとなる。故に日本のリングに比べると極めて大きい。これが日本人選手にとっては非常に厄介な代物であると思われる。
日本人ファイターのほとんどが、UFCオクタゴンよりも、小さいリングで戦うことに慣れており、UFCに参戦するという事は、まず最初にオクタゴンに適応することが必要となる。また、日本の総合格闘技ではリングの際側には、リング外へ落ちないように防止するためにロープが使われている。試合中の攻防でロープ際に選手同士が移動すると、リング外へ落ちるという危険性を回避するために試合が一時的に止められて、リング中央への移動をレフェリーによって促される。そして同ポジションから、試合がリスタートする。UFCは対照的に金網の際側での攻防が相手選手を追い詰めた展開と解釈されている。故に中央での戦いよりも金網際での戦いが決着を左右する展望が多い。また、日本と決定的に違うのが、その金網際での戦いをレフェリーが止めないということだろう。金網側で逃げ道がなくなると、片方の選手が失神、タップアウトするまで試合が続く。追い詰められた選手が、ひと呼吸落ち着くための時間は無く、選手同士が納得できる状況まで戦いきるという展開になる。
また、試合の勝敗を分ける採点基準も日本の事情とは異なる。基本的な採点方法は日本の他格闘技イベントと類似しており、3人のジャッジがリングサイドから観察し、各ラウンドごとに優劣を付け、10ポイントから減点方式を採用。採点ポイントは有効な打撃、寝技での優越、試合の主導権 テイクダウンの回数等が主だ。そして、最終的に試合後、3人のジャッジの採点を集計して勝敗を決定している。
ただし、打撃においては手数が多いほうが日本では優位とみなされたりするが、UFCでは的確に有効打を与えている事に重きを置いていたりする。人間が人間の試合を判定しているので、試合によっては、判定基準が曖昧で違和感もあったりするが、それでもやはり納得のいく判定が多い。また、試合後は運営のコミッションから、選手に支払われたファイトマネーが一般公開されるというのが日本とアメリカでは大きく違う。故に、活躍次第で払われる金額に変動があり、選手の試合に対するモチベーションへとつながっている。
そして、極めつけの決定的違いは厳重な薬物使用検査があるという事だ。UFCのコミッションでは、1ヶ月近く前からメディカルチェックがある。また、日本の薬剤の風邪薬等でも違反行為に引っかるようなこともあるので、薬の服用には細心の注意を怠ってはいけない。危険なルールに厳しいメディカルチェック。世界最高の格闘技イベントを提供するためには、最高峰のサポートがあって初めて成り立つ。最高の人材と最高の選手がいるからこそ、この協議が成立していると言えるのではないだろうか!
話は変わるが、本大会「UFC JAPAN」の開催場所は総合格闘技イベントの聖地と呼ばれる「さいたまスーパーアリーナ」だ。有名アーティストやファッションショー等、1万人以上(~数万人)の規模のイベントを開催できる関東圏では、知名度抜群な場所だ。昨年の東日本大震災の際には、東北地方の被災した方々の、一時避難地として指定され、5000人ほどの人が避難場所にしていたという。この場所こそが、日本格闘技の歴史を作り上げてきた。格闘技の神様というのが本当に存在するのでは!?と思うほどに数々の名勝負が生まれている。
聖地と呼ばれるこの場所だからこそ、間違いなく2月26日にも記憶に残る名勝負が生まれることだろう! 大会が待ち遠しい!
(構成・文:高須基一朗)
『UFC 144 Edgar vs Henderson』
日時:2012年2月26日(日)10時00分開始
場所:埼玉スーパーアリーナ
チケット販売所:http://eplus.jp/ufc/(パソコン&携帯)ファミリーマート各店
<UFCライト級タイトルマッチ 5分5R>
フランク・エドガー vs. ベンソン・ヘンダーソン
<第11試合 ライトヘビー級 5分3R>
ランペイジ・ジャクソン vs. ライアン・ベイダー
<第10試合 ヘビー級 5分3R>
マーク・ハント vs. シーク・コンゴ
<第9試合 ウェルター級 5分3R>
ジェイク・シールズ vs. 秋山 成勲
<第8試合 ミドル級 5分3R>
岡見 勇信 vs. ティム・ボーシュ
<第7試合 フェザー級 5分3R>
日沖 発 vs. バート・パラゼウスキー
<第6試合 ライト級 5分3R>
アンソニー・ペティス vs. ジョー・ローゾン
<第5試合 ライト級 5分3R>
五味 隆典 vs. 光岡映二
<第4試合 バンタム級 5分3R>
山本”KID”徳郁 vs. ヴァウアン・リー
<第3試合 ミドル級 5分3R>
福田 力 vs. スティーブ・キャントウェル
<第2試合 バンタム級 5分3R>
水垣 偉弥 vs. クリス・カリアーゾ
<第1試合 フェザー級 5分3R>
田村 一聖 vs. ヂャン・ティエカン
UFC144の見所をたっぷり書いたこの情報コラムの続きはマット界舞台裏’12年3月1日号武藤激怒IGF挑戦者難SMASH浜田HEROに収録されました。
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