船木が語った!「FMWは危険なオモチャが並んでるだけ」「大仁田とは通じるものがある」

 超戦闘プロレスFMW4・27後楽園ホールで開戦した、FMWとUWFの“禁断”の全面対抗戦は6・21後楽園で第3ラウンドを迎える。試合形式は全試合ノーロープ有刺鉄線デスマッチに決定した。そこで、UWF連合軍の大将的存在である船木誠勝選手に、FMWとの対抗戦に関することなど、話を聞いた。
(取材=超戦闘プロレスFMW事務局)

――超戦闘プロレスFMWにとって、後楽園大会は4・27が3度目だったのですが、おかげさまで過去最高の入りで、満員となりました
船木「自分が最近出た興行では、(ミル)マスカラスやドリー(ファンク・ジュニア)さんが出た大会(東京愚連隊の15年12・1)は満員でしたが、ほかの団体では、リアル・ジャパンで自分と関本(大介)選手がレジェンド選手権で闘った大会(15年12・9)以来、久しぶりに満員になった後楽園の会場を見ました」

――UWFのファンも3割、4割いたのでしょうか?
「ほとんどがFMWのファンじゃないですかね」

――でも、UWFのテーマ曲が鳴ったとき、『ワー』っとなりましたよね?
「それはFMWの会場で、UWFのテーマ曲が鳴るという違和感じゃないですかね。自分たちがやられているとき、声援が多かったですから、圧倒的にFMWのファンじゃないですかね」

――しかし、(アレクサンダー)大塚選手のジャイアントスイングとか、船木選手のスリーパーのときには、とても盛り上がっていました・・・
「アレは自分たちの得意技なんで、単純に、『ワー』っとなっただけだと思います」

――このFMWとUWFの対抗戦は、しばらくは続くのでしょうか?
「続けようと思えば、いくらでも、お互いが飽きるまで続けられると思います。区切りをつけるにも、昔のように、どちらかが負けたら終わるということはないんじゃないですか。たとえば、昔の新日本とUインターの対抗戦のように、どちらかが負けたら終わりってことはないと思います。負けても再生するのが今のプロレスですから。お互いが『もういいや』というまで続けるしかないんじゃないですか?」

――FMWからオファーがあれば、地方大会も出場する意向はありますか?
「自分は地方は好きなんですよ。プロレスの醍醐味は日本全国を回れるところ。それが、いちばんいいところですから。ふだん映像や雑誌などでしか見れないお客さんに、生で見てほしいと思います」

――後楽園じゃ、沖縄、鹿児島や北海道の人はなかなか来れないですからね・・・。
「そうですね。ですから大都市より、地方を回って、自分の試合を見てほしいとの思いが強いですね。3月(27日)に沖縄で主宰している団体(ファイトコレクション)に出ましたが、地方地方でお客さんのノリが違うんで面白いですね」

――最近、地方での試合は少ないですよね?
「少ないですね。特にW-1をやめて、フリーになってからは後楽園が多いですね。行っても博多くらい。あとは5月には全日本(5・15)、IGF(5・29)の大阪がありました。大都市中心です」

――IGFはどうですか?
「昔を掘り起こすじゃないですけど、最近のプロレスが一段落したのかなと思います。ファンの人も新しい刺激がほしいというか、古いものを見ることで新しい刺激になるんじゃないでしょうか」
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――なるほど
「フリーになって感じるんですが、芝居だったら、いろんな脚本のドラマを一気に任されるみたいな感じですかね。今日はFMWの収録、明日はIGFの収録、あさってはリアル・ジャパンの収録、その次がドラディションの収録・・・。そんな感じですかね。それぞれ舞台が違いますから。団体に所属していれば、一本に集中できるんですが、フリーですから、言われたところでやるしかないので、ある意味割り切って、IGFのときはIGFに集中する感じです」

――FMWの記者会見(3月30日)のときに思ったのですが、船木選手の言葉、発言が非常に重いというか、実に考えて発言されてますね・・・
「自分は15歳から、この世界ですから、ずっとつながっているんです。そういう意味では、大仁田選手と通じるものがあるんじゃないかと思います。人生トータルでプロレスですから。今、FMWとUWFの闘いになるのであれば、自分の道をいかにそれないで、まっすぐ歩いて行くかが大事なんです」

――4・27後楽園では、よく試合が成立したなぁと思います・・・
「自分がいつも思ってるのは、見てるのは相手だけなんです。有刺鉄線とか電流爆破とかあっても、触れなければ関係ないんです。そこにいる大仁田選手と闘うだけですから、全く違和感はないですね。3・6徳島(大塚20周年記念興行)でも当たりましたけど、そこにいる人間・大仁田厚という選手としてとらえると全く問題ないです。周りに有刺鉄線とか電流爆破とか、危険なオモチャが並んでいるんですけど、それを取り除けば全く問題ないんです」

――大仁田選手が「船木さんのスリーパーが強烈だった」と言ってたらしいんですが・・・
「おそらく、今まで、それくらいの気持ちで絞めに行った選手がいなかったんじゃないですかね? それは、自分たちU系といわれる人間が通ってきた道なんですよ。極端に言えば、一本取るか取られるか、それだけの試合をしてきたんで。それを大仁田選手に対して、出したんです」

――4・27後楽園の試合がニュース的に、TOKYO MX TVの「モーニングCROSS」という番組で流れて、凄い反響だったんです・・・
「そうですか。正直やってて楽しかったです。技の攻防じゃないじゃないですか。自分たちは技を仕掛けていくんですが、向こうは凶器とかでやってくるわけで・・・。意地の張り合いというか、お互いにいつも気にしてないような感覚というか、表情が出たりして、そういうのはなかなかないですから。やってる自分たちが夢中になったということは、見てる人も夢中になったと思います。実際やったのは15分弱でしたが、あっという間でしたね。『もう終わったの?』という感じで。リング内だけでなく、いろんな所で闘いがあって、お客さんの声援も止まってなかったですから。あっという間に終わって、あっという間に控え室に戻っていて・・・という感じでした」

――大仁田選手と肌を合わせたのは、3・6徳島が初めてだったわけですよね?
「ハイ。その前に昔、1度だけ、『週刊プロレス』で対談したことがあるんです。大仁田選手がFMWで2度目の引退をした後で、自分はパンクラスにいたときで、FMWとパンクラスのトップ同士の異色対談ということでやったことがあるんです。そのとき、確か表紙になったと思うんです。そのとき初めて会いました。その次が、この前の徳島で、4・27後楽園で会ったのは3回目でした」

――性格も全く違うように見えますが・・・
「自分も全く逆のように思います」

――だったら、飲みに行こうとかは思わないですか?
「飲みに行っても、大仁田選手とは話が合わないと思います。自分が好きな話と大仁田選手が好きな話は違うと思うんで・・・。仮に飲みに行ったら、お互いに気を遣うんじゃないですか(笑)」

――対談のときはどうだったんですか?
「対談のときはプロレスの話だったんで、共通の話で交われた。ふだんはお互いに興味ないと思うんです。だから、そういう人間同士が闘うから面白いんです。どっちも引かないじゃないですか。引かない者同士で闘うから、いちばん面白いんです」

――不思議な気がしますね・・・
「大仁田選手が今でも現役でやってるから交われたんで。それは佐山(聡)さん(初代タイガーマスク)にしてもそう。自分がファンの頃に見てた人たちが、今でも現役で残っているからこそ、夢の闘いが実現したんです。天龍(源一郎)さんが去年11月に引退されましたけど、それがあと1年延びていれば、試合していたかもしれませんし・・・。自分がW-1をやめて、すぐ後に引退されましたから、顔は合わなかったですね」

――来年5・5川崎球場(予定)で、大仁田選手のFMWでの引退試合をする予定なんです・・・
「大仁田選手の引退には付き合わないです(笑)。引退は2回するとクセになるんです。テリー・ファンクもそう。自分は1回引退してますから、2回目はない。大仁田選手は何回も引退、復帰をされてますけど、『引退するなら、どうぞしてください』。ただ、相手はしますよ。でも、大仁田選手が引退しても、自分はプロレス界にいますから。まぁ大仁田選手が嫌がる相手と試合すれば、お客さんは入ると思いますよ(笑)」

――船木選手は復帰するにあたって、随分悩まれたんですよね?
「7年、長い間、悩んだ末の復帰でしたから、死ぬまで2度目の引退はないです」

――4・27後楽園での試合に関して、何か言いたいことはありますか?
「正直、4・27後楽園は悔しかったですね。負けたこと以前に、FMWという団体が今も残っていて、特別対抗試合じゃなく、そこのリングで、UWFとやったことが悔しかった。UWFという団体は残ってなくて、バラバラになって、選手が寄り集まってグループになったというのが悔しかった。UWFという団体は今はない。FMWはまた団体を立ち上げて、大仁田選手がいて、下の選手がいて、組織を経営する人、支える人がいる。UWFには、そういう人がいないということです」

――UWF復活という話はなかったんですか?
「ないですね。それは立ち上げる人、支える人がいないとできないですから。我々は闘うだけですから。それに、今回ここまでU系の選手が揃ったことにビックリしました。逆に言えば、それをさせてくれたのが大仁田選手なんだろうなと思いました。今のFMWという団体が立ち上がってから1年経って、その団体があったからこそ実現したわけですから、そういう意味ではちょっと悔しかったですね。FMWのファンもあれだけ集まったわけですから」

――今のFMWも、1年前の旗揚げ当初の4~6月あたりは厳しかったんです。特に地方は・・・。だんだん力を付けてきて、そしてUWFの力で、「バーッ」と来たんです・・・
「どこまで行くかですね。これを見ちゃったら。来年の今頃は、もっと上を行く闘いをしていかないと、ファンの人は離れていきますから。刺激、刺激、刺激ですから、プロレスは。もしかしたら、来年の今頃は違うところと抗争してるかもしれないですよ。たとえば、SWSとか(笑)。飽きるんですよ。今回新鮮だったのは、昔のUWFを再現させたんですけど、そこに昔のFMWの総帥だった大仁田選手がいたということが重要だったんです。自分はUWFの第2世代ですから。そこに佐山さん、前田(日明)さん、高田(延彦)さんあたりがいたら凄いことになってたと思いますね。UWFは集まりが悪いし(笑)、引退してる人もいるんで。ただ、第2世代より、もっと下の世代は育ってる」

――FMWに対して、言いたいことがあればお願いします・・・
「有刺鉄線とか電流爆破とか興味ない。この間も、危険なオモチャが並んでるだけにしか見えなかった。選手個々も驚異に感じる選手もいないんで、危険なオモチャで武装してる荒くれ者だなぁという気はします。そういう闘いに興味ないんで、自分たちは自分たちの闘いをやっていくだけです。どこまで行くかわからない。いつまで続くかわからない。自分も今47歳で、キャリア31年になりますけど、この先30年やるとか、どう考えても無理ですから。77歳で現役とかない。だから与えられた闘いを大事にしたい。これから先は歴史に残るような試合をしていきたい」

――船木選手がカードに入っているかどうかで、お客さんの沸き方も違ってくると思います・・・
「いい意味でも悪い意味でも、FMWに取り込まれないように試合したいと思います」

――UWFも一夜限りの復活とかすれば、FMWとの抗争ももっと続くのでは?
「スポンサーがいれば(笑)。プロレス界も景気がいいわけじゃないし、やれば入るという時代じゃないですから。カード次第ですよ。それは重要。どことどこ、誰と誰がやるという部分で、ファンの需要があれば、今でも入る。ただやるだけじゃ入らない。ファンの人も見てくれない」

――正直、2月までの後楽園大会は、必死でフロント陣が営業して、やっとほぼ満員になったんですけど、4・27後楽園はほとんど営業しなくても満員になりました・・・
「それはショービジネスの基本。営業しなくてもファンの人が見に来てくれる。ファンの人が見に行きたいからチケットを買う。これが基本。ファンの人が見たくなるようなカードを組むのが、営業、フロントの仕事」

――ファンが見たい試合と、選手がやりたい試合とは違う?
「選手がやりたくない試合をファンは見たいんです。選手はずっと試合やってると、守りに入る。常に攻めに行かないといけない。『彼とはやりたくない』とかいうのを、試合させるのがフロントの仕事」

――今回の対抗戦は、試合を受けた船木選手も大仁田さんも尊敬します・・・
「大仁田選手は今まで“格闘プロレス”を通ってきてないと思うんで、58歳にして初めてやるということで、正直きついと思います。それをやっちゃうのが、あの人なんで。その意味では尊敬します。出た物を何でも食べちゃうというか・・・。ただ、食べられないように自分は抵抗して、やっていくつもりです」
(提供=超戦闘プロレスFMW)

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