「感動を共有したい」常々TAJIRIが公にしてきた言葉である。
その感動の集大成とも言える11月22日、SMASH.10はJCBホールに3200名の大観衆を動員する。
メインイベントでは7月24日、SMASH.6にて奪われたフィンランドFCF選手権を奪回すべく王者スターバックと挑戦者TAJIRIによるタイトルマッチが組まれた。
「今回スターバックに負けたらSMASHは存在しますけど、その意味が無くなってしまうような気がするんです。絶対に勝ちます!」と戦前語っていたTAJIRI。
入場時からお互いを意識しあっていた両者、序盤戦では「いつもと違うな」と感じたスターバックが自ら場外にエスケープする等、これまの両者の試合では見られなかった展開が見られる。
中盤戦に入るとスターバックはTAJIRIの首を中心に攻撃を加えていく。必殺のパイルドライバーに繋ぐための常套手段。
カーフブランディング、エプロンにTAJIRIを固定して首にエルボードロップ、ニードロップ。
珍しいタイガードライバーや胴絞めスリーパー、STFとスターバックの集中砲火がTAJIRIを襲う。
ハンドスプリングエルボーから逆転に転じたTAJIRIは久しぶりに出すタランチュラ!館内のボルテージは最高潮に達する。
「勝てる!」と拳を握りガッツポーズを取ったTAJIRIだが、遂に必殺パイルドライバーの餌食に。
もはやここまでか、と思わせたがTAJIRIは執念でスターバックのカバーをキックアウト!
再びパイルドライバーを狙うスターバックだが、逆にTAJIRIがお返しのパイルドライバーを見舞う。
何とか立ち上がろうとしたスターバックだが、この日三発目となるバズソーキックをまともに食らうとTAJIRIのカバーを返す事ができず。念願の打倒スターバックを果たしたTAJIRIがベルトを奪還した。
試合後、健闘を称えるかのようにスターバックが手を伸ばす。全てを超えた存在となったお互い、TAJIRIもその手に応え握手を交わし抱擁する。
満員の館内がこの光景に見とれていると、メインの模様を観戦していた「スターバックの天敵」であるマイケル・コバックがリングに上がりスターバックに握手を求める。
しばし悩んでいたスターバックがその手を握り返すと、コバックはトーキックからスターバックを一気にBTボムの体勢で持ち上げ背後に叩き落す荒技を披露。
「次の標的はお前だ!」と言わんばかりにTAJIRIを挑発するコバック、その真の狙いは一体何なのか。
泣きながらマイクを握ったTAJIRI。
「スターバックに勝った事よりも、FCFのベルト取り戻した事よりも、今日一番嬉しいのは・・・
こんなに沢山のお客さんが・・・ついこの前旗揚げしたばっかしなのに、来てくれて、
俺は本当に・・・人生で一番嬉しい日です!
プロレスより素晴らしいものはこの世にないって!!」
仲間たちと共に喜びをわかちあうTAJIRI。苦しんだ末の大成功だった故に、喜びもひとしおなのだろう。
試合後の囲み取材においてTAJIRIは「感動するのって、こんなに大変なんですね」と述べる。
大一番を乗り越えた安堵感からか、肩の荷が降りてほっとしているような表情でコメントするTAJIRI。
「第1試合を終えたライガーさんが、『ありがとう』って言ってくれて・・・」声を詰らせる場面も見られた。
中でも、「選手・スタッフが一丸となって必死になったらJCBホールも埋まるんですよ!」という一言は現在のプロレス界に対してグサリと突き刺さるような言葉であった。
セミファイナルに組まれたハードコア6人タッグマッチ、KUSHIDA&木高イサミ&スペル・クレイジーvs.大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブ。
まさに大会場・JCBホールの中全てを戦場と変えた一戦であった。
ハイライトとなったのはクレイジーが放った2階席からのムーンサルト・アタック!
愛しい大原を体を張って守ったジェシカだが、最後はそのダメージも響きKUSHIDAが放ったラダー最上段からのミッドナイト・エクスプレスの前に沈んだ。
敗れてリング中央で大の字になるジェシカを抱きかかえ、「ジェシカーっ!!」と叫んだ大原。
動けないジェシカを抱きかかえ、自分の背に乗せて引き上げていった。
第6試合、セミ前に組まれた女子4人による試合。
注目されたのは華名とさくらえみ、米山香織の絡みであったがあえてそれを封印。
大舞台のSMASH、そのリングである事を強く思っていた朱里が自ら率先して戦いに挑んでいった。
トップロープからの重爆を三発立て続けに食らいグロッギーになった朱里を救い、髪の毛を掴んで張り手を見舞った華名、「自分でやれ!」と叫んだその一言が朱里を窮地から蘇らせた。
華名とのサンドイッチ・ローキック、華名のバックブローの流れを組み、朱里は渾身の右ハイキック!
難敵・さくらえみから堂々のフォール勝ちを奪った朱里、華名から勝利したあの日を思い浮かばせるようにくしゃくしゃになった表情。
それでも最後は気丈に「これからもよろしくお願いします!」と締めた。
試合後の囲み取材に於いて、朱里を認めた米山がJWP無差別級王座への挑戦をリング上で呼びかけた事に対し「SMASHのリングでタイトルマッチを行いたい」との要望がある事を伝えた。
華名は「女子との対戦はこれで終わり。今度は男性を相手にしたい。『神』と呼ばれるスターバックや元WWE勢との対戦・・・12月24日の『ハプニングEve’』でTAJIRIさんと対戦したい。」とコメント。
「この試合の後、SMASH女子に大きな変化が訪れる」と戦前から言われていたが、本当に各選手のベクトルが新しい方向に向かって進みつつある。
「世界がSMASHを中心に動き始めている」とつぶやいたTAJIRI。
この後どのような進化を遂げていくのであろうか?
■SMASH.10
2010年11月22日(月) 東京・水道橋『JCBホール』(観衆3200名=超満員札止め)
<メインイベント FCFチャンピオンシップ60分1本勝負>
○〔挑戦者〕TAJIRI(17分34秒 片エビ固め)●〔王者〕スターバック
※バズソーキック TAJIRIが新王者となる。
<セミファイナル ハードコア6人タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○KUSHIDA&木高イサミ【ユニオン】&スペル・クレイジー(18分54秒 片エビ固め)大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&●ジェシカ・ラブ ※ラダー最上段からのミッドナイト・エクスプレス
<第6試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○朱里&華名(12分19秒 片エビ固め)米山香織【JWP】&●さくらえみ【アイスリボン】 ※右ハイキック
<第5試合 1vs.2ハンディキャップマッチ時間無制限1本勝負>
○リン・バイロン(5分29秒 片エビ固め)●キム・ナンプン&レザーフェイス ※ムーンサルト・プレス
<第4試合 シングルマッチ時間無制限1本勝負>
○小路晃(6分23秒 片エビ固め)●矢郷良明with大家健 ※一本足頭突き
<第3試合 ワールド・レジェンド・リバイバル時間無制限1本勝負>
○ルーク・ウィリアムス(5分07秒 片エビ固め)●児玉ユースケ ※急降下DDT
<第2試合 8人タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○スカリーⅡホッティー&AKIRA&KAORU&野崎渚【NEO】(10分39秒 片エビ固め)●ヌンジオ&TAKAみちのく【KAIENTAI DOJO】&植松寿絵&中川ともか ※WORM
<第1試合 シングルマッチ時間無制限1本勝負>
○獣神サンダー・ライガー【新日本】(6分44秒 体固め)●Mentallo ※垂直落下式ブレーンバスター
<第0試合 ワールドトライアウトマッチ時間無制限1本勝負>
○大森隆男(5分12秒 片エビ固め)●ビヨンセン ※アックスボンバー
SMASH次回以降のスケジュール
■SMASH.11 2010年12月11日(土) 新宿FACE
※ワールド・レジェンド・リバイバルでTAJIRI vs.ジプシー・ジョー、小路晃vs.鈴木みのる戦が発表されている。
■ハプニングEve’ 2010年12月24日(金) 新宿FACE
※ジェシカ・ラブvs.さくらえみ戦が発表されている。
■SMASH.12&13 2011年1月29日(土) 新宿FACE
■2011年1月30日(土) 大阪・世界館
詳細についてはSMASHオフィシャルホームページにて。
別冊ミルホンネット 女 情念 修羅 6・25SMASH.4新宿FACE
週刊マット界舞台裏’10年8月5日号 7・24SMASH.5&6新宿FACE
週刊マット界舞台裏!10年9月9日号 8・30SMASH.7新宿FACE
週刊マット界舞台裏’10年10月7日号 9・24SMASH.8新宿FACE
週刊マット界舞台裏’10年11月18日号 10・30SMASH.9新宿FACE
週刊マット界舞台裏’10年12月02日号 SMASH.10全容 年末裏事情
SMASH初のJCBホール進出は3200名の大観衆を集め、メインではTAJIRIがFCF王座を奪還!
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