「プロレスの神様カール・ゴッチその真実と真髄」は保存版の価値ある4時間もの映像集である。

08.12.20karl.jpg レトロプロレスの語り部、流智美氏のわかりやすくかつマニアックな解説、レトロプロレス史家との対談、そして日本プロレスの伝説の一戦、1961年5月1日・東京体育館での初来日であったカール・クラウザー(ゴッチ)対吉村道明の当時としてはあまりにも新鮮である本物のレスラー同士の技と技の攻防が披露されている貴重映像などを収録している。
 本当にもうわずか11分ほどの貴重映像のみで、既に充分すぎるほどの元がとれている思いがする、その他貴重写真を公開してのカールゴッチの歴史を紐解いていく流智美氏の解説にもうならされた。
 なかには日本プロレスでのゴッチ教室の写真も含まれており関西の通なファンには若き日のカルガリーの、ど根性狼ミスターヒト(安達勝治)の写真があったりするのも見逃せない。また受身の巧さに定評があったためかゴッチのエキビジョンマッチの対戦を何度も務め、そのときの写真も紹介されている。
 
 1997年3月30日の当時「紙のプロレス」編集長であった現ハッスル代表の山口日昇氏がSYOW大谷氏を同行させ自宅に赴いての約2時間の通訳が間に入ったインタビュー映像には、書斎などもバッチリ撮影されているしゴッチの格言も入っていて見所が多く、まさに聖なる1枚(DVD)である。
 特筆すべきはラストの「初来日と2度目の来日」対談に登場する仲兼久(なかがねく)忠昭氏についてであろうか。創世記のプロレス力道山時代からBI(馬場・猪木)時代に関しての無尽蔵の知識を有する知る人ぞ知る別格的存在であり、当時の新聞資料や貴重書籍の収集家でもある。
 ちなみに週刊プロレスの流智美氏のコラムにときおり神戸在住のN氏と記されていた方である。往年のプロレス的表現を用いらせていただくならば未知の強豪、幻の強豪がいよいよお目見えしたとでも言おうか。
 本当に凄い中身のDVDが発売されたものである。
                                                レトロ狂時代
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