魂暴風 「伝説光臨篇」

時代があきらかな変質を遂げてゆく中で、美城丈二の“執着”がまたこの一編を上梓させたのかも知れない。移り行く、プロレス模様。著者は、「どのように斜め読みされても、私の芯の部分は変わらないので、思い思いで読んでいただけたら」と語っているが、様々な色を成すプロレスというジャンルに魅せられた漢(おとこ)特有の静かなる主張だと感じ入りたい。ここに収められた5編はまた文筆家・美城丈二の幼い時分の“夢”の領域を具現化したものでもあり、また著者が好んで用いる“日々哀感”の書でもある。
『FIGHT!miruhon.net版魂暴風*a martial art side Act・? 伝説光臨篇』いま、ここに満を持して配信開始!!未発表作コラム『猪木vsレフトフック・デイトン篇』を合わせて上梓掲載する。

 “あの、かつて焦れるほどに慾した、魂の希求をもう一度”
☆Thought・?『シリーズ“讃歌”・四角いジャングルは未だこの胸に潜む』ミル・マスカラス篇
☆Thought・?『あの“田コロ決戦”は未だ静かに横たわる』スタン・ハンセンvsアンドレ・ザ・ジャイアント篇
☆Thought・?『さらば“神様”Mr.カール・.ゴッチ
“我が畏敬の”異人プロレスラー』『“どうしても見たかった神様”
新日本旗揚げ戦・猪木vsカール・ゴッチ』カール・ゴッチ篇
☆Thought・?『時代の目撃者・シリーズ“あのアングルの向こう側”「敢えて“かけさせて”プライドを吐くテーズの妙。」』ルー・テーズ篇
☆Non-publication Thought『時代の目撃者・シリーズ“あのアングルの向こう側”猪木が魅せた“戦慄”の連射頭突き!!怪物を仕留めた「燃える闘魂」の胆力』猪木vsレフトフック・デイトン篇

 幼すぎた私には思慮の外であった。小学年へと進み、ある縁故もあって多くのプロレスラーたちと交わるようになると、気心も働いて当時、NET(現・テレビ朝日)の『ワールドプロレスリング』中継や日本テレビの『全日本プロレス中継』を欠かさず見るようになった。
 新日本旗上げ戦はノー・テレビであり(我が地方において)、当時を回顧すれば故・ジャイアント馬場氏も未だ日本プロレスのひとであった。
 猪木vsシン、vs小林、vs大木・・・と、まるで夢遊病者のそれ、何かに憑(と)り付かれたかの如くテレビ画面を食い入る様に見つめる頃になると、私の中で“この猪木の、あの新日本の”旗揚げ戦を知りたい、見たいという欲求が次第に強く、大きくこの胸中を支配するようになっていった。
 当時から、既にMr.ゴッチは“神様”という異名をもって命じられてもいたし、何より幼くして興味を抱いたことにはありとあらゆる手段を用いても(とはいっても幼い人間の考える範囲までだが)執拗に究明せねば気が済まぬような性質もあって、私の中ではMr.ゴッチに対する幻想が加速するままに募っていった。
                         本編稿より抜粋

魂暴風 「伝説光臨篇」

商品コード yoshikijyo009

価格 315 円

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