○小笠原瑛作インタビュー
「内藤選手とは同い年で同じ大学3年生。同世代として燃えるものがあります」
聞き手:布施鋼治
── シュートボクシング日本スーパーバンタム級王者である内藤大樹選手との大一番が決定しました。
瑛作 2年くらい前、シュートボクシングを観に行った時に伏見選手と闘っている試合を観てやりたいなと思っていたんですよ。
── どのへんがいいと思った?
瑛作 応援がすごかったので、コイツに勝ったら美味しいなと思いました。内藤選手はどちらかといえば正当派じゃないですか。そういう意味でやりやすいとも思いました。自分の闘いができると思った。父親にも「内藤はいい選手だよ」という話をしていたら、実際に闘うことになりました。
── それからお互いチャンピオンになりましたからね。
瑛作 そうですね。その頃は内藤選手もチャンピオンではなかったし、僕も倒せない選手だったので(微笑)。
── 内藤選手とは結構共通項がありますよ。向こうも兄弟で格闘技をやっています。
瑛作 勝ったら兄弟が出てくるかもしれないですね。そういえば、俺は同い年の選手とはやったことがないんですよ。
── そう、同い年なんですよね。
瑛作 タメなんですよ。20歳で向こうも大学3年生。2年前に初めて見た時もパンフのプロフィールを観て、「あっ、コイツ、俺と同い年じゃん」というのもあったんですよ。今まで年上とやることが多かったので、燃えるものがある。
── 実兄の裕典選手は内藤選手と闘っています。何かアドバイスは?
瑛作 パンチは速くて、ノーモーションで飛んでくるけど、ローキックはそんなに重くないと言っていましたね。練習も黙々とやりそうなタイプに見えますよね。それがファイトスタイルにも出ているような気がします。
── 客観的に観て内藤選手の長所は?
瑛作 立ち技格闘技の教科書に載ることができるような選手だと思いますね。パンチも蹴りもヒザもオールマイティにできる。教科書通りといったらアレですけど、お手本としてブレがない感じがします。
── 欠点はない?
瑛作 逆にいうと教科書通りすぎるからやりやすい。BLADEの工藤政英戦はフックで倒したけど、それ以外はきれいに闘う印象がありますね。そういう意味では崩しやすい。(ボクシングトレーナーの)髙橋ナオトさんもそう言っていましたね。
── 戦略はバッチリ?
瑛作 結構イメージはできていますね。ひとつコレだなというのがある。
── この一戦はRISEバンタム級次期挑戦者決定トーナメント準決勝として行なわれるため、RISEルールで行なわれます。
瑛作 RISEルールで闘うのは初めてです。ヒザは掴んで一回だけ。REBELSルールとの違いはそれくらいですよね。
── ハイ。両手で掴んでの攻撃は一発のみ有効です。
瑛作 最近は組みの展開もあまりないと思うので、そんなに気にはならないですね。昔はパンチへの恐怖心が芽生えた時期もあった。その時は首相撲に逃げて、パンチでは闘えなかった。でも、最近はパンチにも自信がついてきたので。
── 今回はどのへんに注目してほしい?
瑛作 今までとは闘い方を変えます(キッパリ)。最近は倒すファイトスタイルが小笠原瑛作だと思われているかもしれないけど、いまはそれだけじゃない。それ以外の武器もたくさん持っている。それを最大限に使いたい。もちろん倒しに行くチャンスがあれば倒しに行くし、そこも強いことは十分にわかっている。今回はRISEルールだけど、自分のベースはムエタイにある。そこに髙橋さんも来ていただいて、パンチも磨かれている。ウーさんは相変わらずムエタイの最高のトレーナーなので、いまのチームに全面の信頼を置いています。
── 内藤に勝てば、世間は那須川天心戦の実現を期待するでしょうね。
瑛作 僕はそこしか考えていない。内藤選手も(もう一方のブロックを勝ち上がっている)村越選手も一度那須川選手に倒されているわけじゃないですか。そうしたら(無傷で)闘えるのは俺しかいない。これが実現しないと、格闘技界は盛り上がらないでしょう。みんな期待していると思うので、まずは内藤選手を倒すことに集中したい。
── 今回の契約ウエートである55kgは?
瑛作 もちろん大丈夫だと思います。自分も階級を上げてきているし、パワーもスピードもほしいので。体重があれば有利なのかといえばそうではないですから。
── REBELS.41で実現した大野貴志戦の契約体重は?
瑛作 54kgでした。大野選手は55kg級の王者ですよね。去年はBLADEで岡田有晃選手ともこの体重で闘っています。しかもその頃と比べたら、自分の体も変わってきている。倒せるパンチはタイミングも重要。いくらパワーや体重があっても、倒せるパンチを出せるとは限らない。
── 経験者の実感として54kg級と55kg級は違う?
瑛作 1㎏でもだいぶ違う。闘っていて、その実感はあります。スピードは55kg級で闘う方が落ちると思う。
── 55kg級で闘うのは2回目ということになりますね。
瑛作 岡田戦以来、2回目です。みんなそうだと思うけど、俺は減量がすごく嫌い。減量に意識を持っていかれるなら、減量が楽な時の方が動きはいい。だから1~2kgの差だったら変わらないんじゃないかという思いもあるんですよ。
── 55kg級での自分のポジションは?
瑛作 どうなんですかね。その答えは今回の試合でわかるんじゃないですか。下の階級でしかやっていないので、お客さんも「瑛作はどうなんだろう?」という疑問もあるでしょう。でも、今回内藤選手を倒せば、自分のポジションは完全にNo.2というのがわかるんじゃないですかね。
── ちょっと前までは瑛作選手が最年少であることが多かったと思うけど、いつの間にか自分より下の選手が出てきた。複雑な思いもあるのでは?
瑛作 本当に複雑ですね(微笑)。ただ、ある意味、みんなジュニア世代なんですよね。大雅選手もそうですよね。みんな子供の時からやっているので強いというのはあると思います。
○プロフィール
小笠原瑛作
所 属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1995年9月11日生まれ(20歳)
出 身:東京都
身 長:168cm
タイトル:REBELS52.5kg級王者
通算戦績:22戦20勝(6KO)2敗
○内藤大樹インタビュー
「最近日本のNo.2と言われるけど、それはイヤ。No.1がいい」
聞き手:布施鋼治
── 巷では55kg級の大一番だと大騒ぎしています。
内藤 まわりがこの試合を楽しみにしてくれていることは僕も感じています。相手が強ければ強いほどモチベーションが上がるので、いい試合ができるんじゃないかと思いますね。
── 試合順はセミファイルになりました。
内藤 初めては真ん中くらいだと予想していました。セミに選んでもらえたのはまわりの注目度が高いからだと思います。
── 現役王者同士の一騎討ちでもあります。
内藤 シュートボクシングのチャンピオンとして誰とやっても負けられないと思っているので、もちろんその部分は意識しますね。向こうがREBELSのチャンピオンだったらなおさら負けられない。
── 現状には満足していない?
内藤 満足できていないですね。最近よく日本のNo.2といわれる。この間も闘った佐野(貴信)選手からそう言われました。やっぱり2番じゃイヤなので。1番がいい。何が何でも那須川選手との立場を逆転させたい。
── 小笠原瑛作選手に対する評価は?
内藤 結構前から知っていてうまい選手というイメージを持っています。ディフェンスをしっかりしてキッチリ当てていけば問題はないと思いますね。ただ、最近パワーをつけている部分は気をつけたい。
──客観的に観て自分の方が上回っていると思える部分は?
内藤 負けているところはないと思いますね。僕もフィジカルトレーニングを取り入れてもうすぐ1年経つけど、パワーも付いてきていると思う。REBELSのPVで小笠原選手は「スピードもパワーも負けていない」と言っていたけど、そんなことはないですよ。
── 前々回の試合では小笠原選手の実兄である裕典選手を倒しています。
内藤 (兄弟でも)そこは全然別に考えているので、意識はしていないですね。
── 奇しくも内藤選手も三兄弟で頑張っているじゃないですか。ひとりでやるのとは違う?
内藤 お互い競い合うので、兄弟には負けられないなと思いますね。自分も兄には負けたくないし、向こうも僕には負けたくないと思っているでしょう。練習でも張り合うので、相乗効果は出ていると思います。
── セコンドにも兄弟が入ると思いますけど、兄弟だからこそ信頼できるものはある?
内藤 それは大きいですね。普段ジム以外でも一緒にいるわけじゃないですか。なので、信頼は大きいし、しっかり信じたうえでゴングが鳴ったら闘いに行ける。
── 今回はRISEルールによる一戦です。問題はない?
内藤 去年、BLADEですでにRISEルールは経験しているので、問題はないと思います。最初は投げや組みがないのでどんな感じかなと思ったけど、実際にやってみたら意外と闘いやすく自分には割と合っているんじゃないかと思ったんですよ。違和感もなかったし。
── 今回は那須川天心選手への挑戦権をかけたトーナメント準決勝です。勝ち上がってもう一度再戦したいという思いは強い?
内藤 そこしか見ていないので。もちろん今回の準決勝、続く決勝と楽な相手ではないので険しい道のりであることはわかっています。きつい闘いが続くと思うけど、ここで負けている場合じゃない。何が何でも勝ちたい。
── おだてるわけじゃないけど、内藤選手は持っているという意見をよく聞きます。
内藤 そう言われることはうれしい。去年BLADEのトーナメント(決勝)では那須川選手に負けたけど、今回こういうチャンスが巡ってきた。このトーナメントは自分のためのものだと思っています。
── ちなみに小笠原選手とは同い年なんですよね。
内藤 そうなんです。その方が面白いんじゃないですか。同い年だと意地じゃないけど負けられないという思いが一層強くなるので。
── REBELSには初参戦となります。
内藤 対戦カードも試合内容もいいので、最近すごく盛り上がっているなと思って観ていました。それに強い選手もいっぱいいるじゃないですか。まだライブで観たことはないですけど。
── VS小笠原対策でやっていることは?
内藤 サウスポー対策はいろいろやっています。今回のトーナメントは自分以外はみんなサウスポーなので、その対策だけはしっかりやっています。
── 苦手意識はない?
内藤 もともとやりづらいなとは思っていたけど、ジムには先輩の鈴木さんもいるし、だんだんと苦手意識はなくなってきました。もうだいぶ慣れてきましたね。それが試合でどう出るか楽しみです。
○プロフィール
内藤大樹
所 属:ストライキングジムAres
生年月日:1996年1月13日生まれ(20歳)
出 身:愛知県
身 長:172cm
タイトル:SB日本スーパーバンタム級王者
通算戦績:25戦21勝(6KO)4敗
○ハチマキインタビュー
「自分にしか魅せられない試合があると思う」
聞き手:布施鋼治
取材場所である水道橋のカフェでハチマキはファンらしき男性に声をかけられた。
さすがチャンピオン、格闘技ファンが集う街というロケーションを差し引いても、努力家のハチマキが周囲から注目されているという状況は嬉しかった。
席に戻ったハチマキにどんな会話をしていたのかを聞いてみると、「あの方はハリケーン山田さんですよ」というオチが待っていた。
ハリケーン山田抱腹絶倒の試合を行なうことで話題のキックボクサーだ。
かつては名門山木ジムに所属していたので、PHOENIXのスネーク加藤会長の弟弟子にあたる。
ハチマキはかつて会場で山田に挨拶したことがあると言う。
「山田さんがちょうどハリケーン山田として試合に出始めた頃、加藤会長から動画が送られてきて、『これを見てプロ魂を勉強しろ』と言われたんですよ」
── ひとり暮らしを始めたそうですね。
ハチマキ ハイ。(今まではトレーナーのタイ人と一緒に)暮らしていたけど、ストレスがなくなりました。「なんでもっと早く始めたなかったのか?」という思いもあるけど、シェアしていた頃は家賃も安くて助かっていた。新人時代からひとり暮らしをしていたら家賃を稼ぐために練習時間が減っていたかもしれない。イヤなことは全部修行だと思えばいいんですよ(微笑)。
── タイトルマッチを目前に控えた心境は?
ハチマキ いろいろ団体はあるけど、やっぱりチャンピオンである限り、一番強くなければいけないと思う。例えばゴンナパーはWPMFの世界王者だけど、僕が勝たなければいけないという思いでやっていました。去年から負けが続いているという状況なので、不甲斐ないという思いはありますね。去年テヨン選手に負けた直後は結構落ち込んで、「このまま続けてもこれ以上頑張れるのか」「結局、自分はこのくらいの立ち位置で終わってしまうのではないか」と考え込んでしまいました。ただ、前回潘隆成選手に負けてからの立ち直りは早かったですね。
── その理由は?
ハチマキ 落ち込んでいる時間がもったいないというか、落ち込んでいても強くなれるわけではない。潘戦の次の日くらいには今回の試合が決まったので、やるしかないと気持ちを完全に切り換えました。
── 期待のポープである潘選手は想像以上に手強かった?
ハチマキ 僕は結構相手を過大評価するところがあって、それで必要以上に慎重になってしまったり、戸惑うところがある。勝手に「なんか隠しているんじゃないか」と思ったりしてしまうんですよね(微笑)。この間もそういうところがちょっと出てしまったのかなと思いますね。
── 渡辺理想選手も過大評価する?
ハチマキ やっぱり技もキレるし、パンチ力もある。自分にはないものを持っている選手だと思いますね。
── ハチマキ選手同様、4月のREBELS.42にも上がった渡辺選手の試合は観た?
ハチマキ 次が僕の試合だったので見ていないんですよ。まだ映像も見ていないけど、首相撲でやられていたというふうに聞いています。でも、こればっかりはやってみないとわからないんですよね。
── ファイトスタイルは水と油といっていいほど正反対です。
ハチマキ そうですね。僕とは対照的なので、見る人にとっては面白いんじゃないですか。
── どんな科学反応を起こすのか楽しみです。
ハチマキ 僕は試合を楽しみたいとは思っていない。勝ちたいという思いが一番強いけど、あとは見ている人に何かを伝えられる試合をしたい。派手な試合にはならないかもしれないけど、別にKOでなくても伝えられるものはあると思う。そんなことを言って何年かぶりにKOしてしまうかもしれないけど(含み笑い)。
── その予感はある?
ハチマキ ないですね。勝つイメージはあるけど、自分がKOするイメージはわかないっス。「こういう攻撃が当たるんじゃないか」「こういうふうに攻めよう」というイメージはあるけど、自分のパンチが当たって倒れるイメージはない。
── 選手としての自分をものすごく客観視していますよね。
ハチマキ そういう面はありますね。今回ちょうど試合の直前にキックを始めて10年になる。そして6月19日に30歳になるんですよ。
── おめでとうございます。Wの節目ですね。
ハチマキ やり始めた当初はいま以上にネガティブでしたからね。
── それでも、チャンピオンまで昇りつめたというのは本当にすごいことだと思います。
ハチマキ ありがとうございます。開き直りではないけど、自信があろうとなかろうと結局やるしかない。たとえ試合で自分の力を出せなくても、できることをやるしかない。そういうふうに思えるようになってからは精神的に変わりましたね。
── 今回2度目の防衛戦という部分は意識する?
ハチマキ 自分はREBELSに育ててもらった選手だと思っているので意識しますね。
── REBELSっ子。
ハチマキ そう、1本目のベルトも2本目のベルトもREBELSなので、自分はREBELSっ子だと思っています。これまで形はどうであれ、REBELSを盛り上げてきたという自負もある。一方、渡辺選手の方は今年になってからいきなりREBELSに来て2戦していきなりタイトルマッチじゃないですか。それでチャンピオンになっても、果たして本当にREBELSの選手といえるのか。だからこそ自分が勝たなきゃいけない試合だと思っています。
── 渡辺選手のようなダイナミックな蹴りを使う選手と闘った経験は?
ハチマキ ああいう後ろ回し蹴りとかを使う選手とは闘ったことがない。浴びせ蹴りを使う選手はいるけど、渡辺選手のそれはホンモノだと思うので。
── 中には小休止をとるために、浴びせ蹴りを使う選手もいますからね。
ハチマキ まあ、でもあんまりそういうところは気にしていない。それよりも自分のパフォーマンスがどこまでできるのかという部分の方が重要だと思っているので。
── 今回はメインイベントではないですけど、試合内容で自分がREBELSのメインイベンターであることを証明したい?
ハチマキ そうですね。今回はラジャダムナンスタジアムのタイトルマッチも行なわれるので仕方ない部分もあるけど、自分の試合のあとにRISEのトーナメントが組まれているじゃないですか。確かに瑛作選手と内藤選手の一戦はすごいカードだし、こうなったのは自分のせいだと思うけど、納得しちゃいけないと思うんですよ。本来ならばREBELSというイベントではREBELSのタイトルマッチが一番重んじられるべきでしょう。
── 最後にメッセージを。
ハチマキ 10年やっているけど、いまだキックボクシングは難しいと思う。だから迷って悩んで葛藤しながらやっているけど、それでも自分にしか魅せられない試合があると思う。それをぜひ会場で確認してください。
○プロフィール
ハチマキ
所 属:PHOENIX
生年月日:1986年6月19日生まれ(29歳)
出 身:埼玉県さいたま市
身 長:175cm
タイトル:REBELS-MUAYTHAI スーパーライト級王者
通算戦績:30戦15勝(2KO)11敗4分
○渡辺理想インタビュー
「4月のNOBU戦以降、自分のムエタイのスキルは相当上がったと自負しています。」
聞き手:布施鋼治
── タイトル挑戦の舞台は”格闘技の聖地”後楽園ホールになりました。ただ、メインイベントではありません。
渡辺 この間の試合で僕は評価を落としたと思うので、それに関しては「まあ、そういう評価なんだろうな」としか思っていません。それを払拭するためには自分がリングで結果を出していくしかない。自分では「俺はそんなもんじゃない」と思っても、第三者の評価は別ですからね。
── 4月のNOBU BRAVELY戦の自己評価は?
渡辺 う~ん、自分が思っていた自分のレベルと実際に自分がいたレベルに差があったかなと思いましたね。
── 途中までは渡辺選手が試合を優勢に進めていました。
渡辺 相撲がない展開のうちは僕の方が力があったと思います。でも、首相撲で削られ始めてからは、自分にそのスキルが足りないことを痛感しました。あそこまで削られるとパンチやキックも出なくなる。やっぱりムエタイとヒジなし首相撲なしのキックボクシングは違うなと痛感しました。ただ、こんなことを言うと誤解を受けるかもしれませんが、楽しさも感じました。
── 苦しかったけど、楽しくもあったと。
渡辺 「これがムエタイなんだ」と思いながら冷静は冷静だったんですよ。とりあえずあの時点でああいう試合を経験して良かったかなと思います。自分に足りないものがわかったので、とにかく自分のスキルアップを計らなきゃダメだと思いました。
── トレーナーの貝沼慶太さんは現役時代ムエタイルールで活躍していました。
渡辺 「こんなふうにやった方がいいよ」といったアドバイスを受けながら、貝沼先生の現役時代の映像も見せてもらいました。いまでもムチャクチャうまいので、教えてもらっています。あと出稽古でウィラサクレックジムにお邪魔させてもらい、一戸総太さんや健太さんともやらせてもらいました。タイ人だったらデンサムヤムやゴンナパーとやらせてもらったけど、首相撲はデンサイヤムがダントツにすごかったですね。本当に勉強になっています。それで「練習でこれだけこなせれば大丈夫だろう」と思ってNOBU戦に臨んだわけですけど、考えが全然甘かったですね。それ以来、首相撲をたくさんやっています。
── 奇しくも同じ日同じリングでハチマキ選手は潘隆成選手とメインで闘っています。
渡辺 見ました。単純にふたりとも強かったですね。ただ、その時はハチマキ選手を次の自分の対戦相手として研究するという感じでは見ていなかった。その時点で相手どうこうより自分のスキルアップが先決だと思っていたんですよ。あれから自分のムエタイのスキルは相当上がったと自負しています。今回は勝つことだけを考えたい。
── ハチマキ選手の印象は?
渡辺 何でも高レベルでできてバランスもいい。テクニックは一通りなんでもできて、スタミナがとにかくすごいという印象です。
──褒め殺しですか。闘い方は好対照ですよね。
渡辺 そうですね。僕は身体能力を活かした闘い方が得意ですからね。今回ハチマキ選手の試合映像をいっぱい観たんですけど、「この人は本当に努力したんだろうな」と思って普通に感心しました。努力でテクニックを身につけている。試合の途中で崩れるようなことはないと思っています。
── 現時点ではどんな試合展開になると予想します?
渡辺 後半戦になったらハチマキ選手の方が強いという印象があると思う。けど、いまの僕は走り込みの量がハンパじゃない。マシンを使ってやっているけど、復帰前の倍くらいやっています。だからミットをやっていても、切れのあるままずっとできる。なので、今回練習量に関してはものすごい自信があります。いつもだったら盛り上げるために「絶対勝ちます」とか宣言するけど、今回そういう気持ちはあまりない。「勝負はやってみないとわからない」という冷静さがある。
── 極真空手では数々の実績を持っているけど、キックボクサーとしては未だ無冠です。
渡辺 そうなんですよ。トロフィはたくさんあるけど、チャンピオンベルトはまだ一度も獲っていないので是が非でもほしい。
── ちなみにトロフィは青森の実家、それとも東京の家に保管してある?
渡辺 青森で獲ったトロフィは向こうに保管しています。
── お父さんはプロのミュージシャンと聞きました。
渡辺 だったんですよ。いまは弟(郷大)がプロです。母親も地元でコーラスグループに参加しているので音楽一家ですね。僕もときたまピアノを弾いています。
── かつて極真の大山倍達総裁が「音楽をやっていた人の方が上達が早い」といった趣旨の発言をした記憶があります。
渡辺 あっ、リズムは格闘技と本当に関係あります。たとえば、コンビネーションもリズムで覚えられますからね。
── 音楽をやってきたことで、空手の上達も早かった?
渡辺 3歳からピアノやドラムをやっていたので、その影響はあったと思います。左右の手足を別々に動かしたりする身体操作に長けていたので、なんのスポーツをやっても器用でした。音楽をやっていて本当に良かったと思います。今回は青森から両親も応援に駆けつけてくれます。弟は東京にいるので、1月の試合は会場まで観に来てくれました。いまはギターの学校の先生をやっているんですけと、4月は学校で生徒を巻き込んで(AbemaTV FRESH!での)生中継を観ていたようです。微妙な試合だったので恥ずかしかったですけどね(苦笑)。でも、あの時とはもう全然違う。あれからもっとムエタイ仕様になった僕を観てください。
○プロフィール
渡辺理想
所 属:極真会館
生年月日:1983年12月28日生まれ(32歳)
出 身:青森県八戸市
身 長:170cm
通算戦績:25戦15勝(6KO)10敗
大会概要・対戦カード
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