[週刊ファイト9月18日期間 [ファイトクラブ]公開中
▼全日本ジュニアが今熱い~世界ジュニアを巡る攻防~
photo by テキサスロングホーン/他 水口達彦編
・新時代の舵を取る選手たち、MUSASHI、田村、立花
・最強を決めるリーグ戦~ゼンニチJr.フェスティバル2025~
・一昔前の全日本ジュニア~あの時こんな選手がいた~
・今の全日本ジュニアに求めること、未来への総括
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新時代の舵を取る選手たち、MUSASHI、田村、立花
全日本のジュニアが活況を呈している。世界ジュニア王者の青柳亮生を始めとする数多くのレスラーがリングを熱くして今やヘビーを食ってしまうほどの人気を博しているのだ。その中でも私が特に期待しているレスラーが3人いる、MUSASHI、田村男児、そして立花誠吾の3人である。

1人目のMUSASHIは2010年デビューの今年15周年を迎えるレスラーであり、デビュー15周年試合を8.24後楽園で行った。得意技は二天一流、エストレージャ・フトゥーロがある。東北ジュニアなどの戴冠歴があり、みちのくプロレスから退団して全日本に主戦場を移して現在は所属として盛り上げている。
吉岡世起とのタッグチーム『ムーちゃん、セーちゃん』がアジアタッグを戴冠するなど全日本を盛り上げ、2人そろっての世界ジュニアも評判が良い。この先の全日ジュニアを引っ張っていく旗手となる可能性が高く、期待をかけたい選手である。

2人目の田村男児は2018年に諏訪魔に憧れて全日本に入門したのちデビューした。ジュニアヘビーという階級ながらパワーがあり、ヘビー級をまとめて投げ飛ばしたこともあった。パワーボムやダンロックを得意技としており、土井成樹相手にパワーボムで勝利して世界ジュニアを戴冠した。また天龍源一郎さんの大会へ参戦して天龍さんからお墨付きをもらっている。まだ年齢は26歳なので、これからたくさんの名勝負を世の中に届けていくことだろう。

3人目は立花誠吾である。2016年WRESTLE-1でデビューしてタッグ王座やリザルト王座を戴冠している。その後2020年にW-1が活動休止してからは全日本を主戦場とした。現在は黒潮“イケメン”二郎が発足したプロレスリング・アップタウン所属として全日本で戦っている。
得意技はイケメン落とし、ヤンキーハンマーなどである。黒潮とのタッグでコミカルな印象が強い立花だが、昨年はGAORA TV王座を戴冠して格闘探偵団から参戦している阿部史典とともに防衛戦を展開し、勝敗は両者譲らず、この2人の戦いからエネルギーをもらったと思うファンも多いのではないか。
ヘビー級が昨年から停滞気味になり、私は元々全日本といえばヘビー級のイメージがあるので団体そのものを観なくなってしまったが、今は先日の8.3大田区総合体育館大会などを観てジュニアの戦いを観るのが楽しくなっている。
特に『ゼンニチJr.フェスティバル2025』の優勝決定戦は、ヘビー級を抑えてのメインイベントでとても楽しく観させてもらった。(詳しくは次の項で書く。)
この3人以外にも新たな戦いが生まれている。今後の全日ジュニアから目が離せない!
最強を決めるリーグ戦~ゼンニチJr.フェスティバル2025~

全日本ジュニア最強を決めるリーグ戦「ゼンニチJr.フェスティバル2025」が、開幕戦7.17後楽園ホールから最終戦8.3大田区総合体育館で行われた。A・Bブロックに分かれて戦い、各ブロックの1位同士が8.3大田区で優勝決定戦を行うというもの。公式戦はすべて30分1本勝負で行われ、優勝決定戦は時間無制限で行われた。
出場選手はAブロックがライジングHAYATO、井上凌、佐藤光留、立花誠吾、吉岡世起。BブロックはMUSASHI、田村男児、青柳亮生、阿部史典、“ミスター・斎藤”土井成樹の計10選手である。
どの公式戦も好勝負が多く、集まったファンを熱狂させた。特に名勝負が多かったのは7.21エディオンアリーナ大阪第2競技場大会だ。その中でも特に注目した試合が2試合ある。まず1試合目は立花誠吾 vs. 井上凌だ。立花は前項でも説明した選手である。
井上は全日本生え抜きでガッツがあり期待のホープだが、最近は少し伸び悩んでいる選手である。しかしこの試合にはこれからの活躍を予感させるシーンがあった。試合内容はまず立花が「ああーん」とおちょくると、井上がキックで返して場外戦へ。場外でお互いにもみくちゃになりながら戦い、リングへ戻る。
エルボーを打ち合い、井上が嫌がる立花へハーフハッチ・スープレックス。そのあと必殺の大観音スープレックスへいきたいが、立花が阻止した。チャンスと見た立花がスピアーで返す。その後、黒潮直伝のイケメン落としから奥の手であるヤンキー・ハンマーへつないで立花が勝利した。しかし奥の手まで井上が立花に出させた、これは進歩だと思った。
元GAORA TV王者の立花へ井上がぶつかっていった。井上は後から入門した安齋や、ほぼ同期の斉藤ブラザーズに先を越されていて、なかなかベルトが遠い。しかしこの試合をはじめ好勝負を近年続けているので、これからに注目したいと思う。日々の積み重ねが大きな成長へと変わっていく。そのためには1日1日まい進していかなければならないと思う。
2試合目はMUSASHI vs. 田村男児だ。この2人は前項でも書いた通り私が注目している選手である。試合内容は開始早々エルボーを打ち合うと場外戦へ。MUSASHIがエプロンサイドでDDT、これには会場もどよめいた。リングへ戻ると打撃の打ち合い、投げ技の投げ合いとゴツゴツとした攻防が続いた。
その攻防を制したMUSASHIがトップロープからエストレージャ・フトゥーロ。その後、二天一流を狙うも田村が阻止する。勝機と見た田村がラリアットを連打し、走りこんでの渾身のラリアットで3カウント。激闘に終止符、田村がMUSASHIを破った。男の意地がぶつかった試合となった。
この2人の戦いを通じて、私は今の全日本ジュニアのレベルの高さを知った。打撃の打ち合いや投げなど目まぐるしい展開が続き、そこには日々の鍛錬が感じられた。そしてこの試合はヘビー級をも凌駕する戦いだった。メインの三冠ヘビー級もすごかったが、私はこの試合がこの大会のベストバウトだったと思った。
なぜなら身長が両者とも170センチほどとさほど高くないにも関わらず、濃密な戦いを繰り広げていて集まったファンを惹きつけていたからだ。この試合が一番大きな声援に聞こえた。プロレスとは“底が丸見えの底なし沼”と聞いたことがあるが、この試合はまさにそれだったと思う。
そして8.3ついに大田区総合体育館、ヘビーを抑えたメインイベントで優勝決定戦が行われた。AブロックはライジングHAYATO、Bブロックは青柳亮生が対戦することとなった。試合内容はグラウンドから始まった。空中殺法を得意とする両者にしてはめずらしかった。場外戦へ移る。
