山本ヤマモ雅俊”鷹の爪大賞2024”マリーゴールド旗揚げ『極悪女王』


【今年のベストバウト】

◆9月26日 ストロングスタイルプロレス 東京・後楽園ホール

<レジェンド王座戦 王者・村上和成 VS 挑戦者・船木誠勝>
 7分14秒 ボディーへのキック⇒体固め 勝者・村上

闘志と技がぶつかり合う!ストロングスタイルプロレス激戦の軌跡と未来への展望

 派手な技はいっさい出なかったが、殺気と緊張感みなぎる攻防で終始目が離せなかった。村上の左ストレートにひるんだ船木の胸から腹のあたりに村上が強烈なミドルキックを叩き込みその一発でワン・ツー・スリー。正に一撃必殺。本当にいいものを見せてもらいました。

 試合時間が短かかったのが特に良かった。ただ単純に“展開の大盛り”だけを望むようなファン達は「え? これで終わり?」と思ったことだろう。

 自分的には、そういう貧相な感性を持つ連中を更に突き放すようなプロレスを、あちこちでやってくれればといつも思います。

【今年のベスト興行】

◆マリーゴールド旗揚げ戦 5月20日 東京・後楽園ホール

今週の要:昭和回帰なマリーゴールド旗揚げ表・裏つばさの党選挙違反 

 会場に入った瞬間から試合終了まで、ロッシー小川イズムがふんだんに散りばめられ、プロレスマニアの心をくすぐるような細かい部分の、さらにその先にまで気配りと演出が行き届いていた。

 この、かつてない熱狂を産んだ今回のマリーゴールド旗揚げフィーバーは、小川氏がブシロードから突然契約解除された、あのいきさつがあってこそ。

 どんなに大金を出しても手に入らない貴重な物語を、なんと解雇された事で手に入れた小川氏。

 ブシロードにとっては初めて経験する種類のプロレスからの洗礼だったと思う。

 自分はあの日の後楽園には試合は勿論だが、小川氏のブシロードに対する強烈な怨念を観に行ったと思っている。

【以下、今年印象残ったことを三つ】

◆やはり“極悪女王”には触れておかねばと思い、少しだけ。

『極悪女王』作品中に登場する「週刊リングス」

 作品の序盤のほうで女優・鴨志田媛夢(かもしだ・ひとみ)がジャッキー佐藤に扮して登場するが

 リングアナのコールを受けた時に、軽く両手をあげながら前に進み、半身だけ振り返って観客の声援に応える、その所作がもうジャッキーさんに生き写しかと思うほどそっくりに似せている。

 ただただ驚いたのと、そこまで拘った制作サイドの熱意に感動すると同時に、ジャパン女子でジャッキーさんのコールをリングアナウンサーとして実際に行った自分は、マジで目頭が熱くなった。

週刊ファイト(1985年9月10日付け)

 こんな作品にこの時代に会えるとは思わなかった。

 ちなみに、実は『極悪女王』を見るために自分は今回初めてNetflixに入り、テレビも大型に買い替えた。

本誌・週刊ファイトのオマージュも登場!Netflix『極悪女王』凄いことに

◆Iジャの浅野さんが亡くなられた。

 既にフェイスブックに書いた記事ですがファイトの誌面をお借りしてフォロワーの方以外の皆様にもご一読頂ければ嬉しいです。

——

Iジャの浅野さんとはJWPの両国に当時の所属の元川恵美(さくらえみ)さんをブッキングした際にご縁が出来た。

初めてお会いした時に浅野さんは「山本さん、浅野でございます」と深々とお辞儀をしてくれた。とても謙虚な人だと思うと同時に、自分は浅野さんに言い様の無い凄みを覚えた。

プロレス団体のフロントと言うよりも興行師という感じでそれまでお会いした中では全女の松永俊国さんと印象が似ていた。物凄い抱擁力と共に「あ、この人は味方としては強力だが敵に回したら相当に怖いな」と感じた。

浅野さんは「時は金なり」「客の顔を見たら金だと思え」を実践した人だと聞いた。

浅野さんとお会いした幾つかの場面でも、その何気ない雑談の中で彼は「この現在の、今のこのやり取りは何らかの利益に繋がっていくのだろうか」と考えていたかも知れない。それくらい隙のない人に自分からは見えた。

実際に浅野さんは森進一ら演歌歌手の興行も買うなど、百戦錬磨の人物で、毎回数百万円単位の儲けを得ると同時に、おそらく自分などでは想像も付かない様な修羅場を興行の開催地の全国で経験されていたのだと思う。

だが、飲食店経営も含めてマルチに稼いだ浅野さんにとって、プロレスのブームが去ってからのIジャがそこまで利益率の良いビジネスだったとは思えない。

それでも、我々の前にレスラー以上に露出してIジャを続けようとした浅野さん。

リング上や新宿二丁目劇場など数々のパフォーマンスで見る浅野さんの表情は、まるで無邪気な子供のようで、浅野さんには日常と非日常のラインを曖昧にする事で、唯一気持ちを「一瞬だけ」休める事の出来る場所があって、それがプロレスだったのかも知れないと今になって思う。

浅野さん、生前はお仕事をご一緒させて頂くなど、こんな小僧にも対等に接していただき本当にありがとうございました。改めて心からご冥福をお祈り致します。

余談ですが、浅野さんとの会話で返答に困ったやり取り。

浅野さん「山本さん、私の事を○○だとか言う人がいるでしょ!違うの!全然そんな事ないのヨ!!」

山本「・・・」

以上

IWAジャパン・浅野起州(浅野金六)社長の訃報に寄せて

◆ヤマモ酒in大阪 大成功でした。

 参加者の皆様はもちろん。ファイト大阪特派員のルーツ鐘中さん、開催の情宣と運営にご協力を頂き本当にありがとうございました。手伝ってくれたレフェリーKCも。

 ちなみに秋の回での大阪での滞在日記をネットにUPして金龍ラーメンの写真を添付したら、タイガー服部さんがイイネを付けて下さいました。

第2回大阪ヤマモ会!矢継早やに出るマニア話の宴に心は酔いしれて

ヤマモさんのFacebookより リンク紹介での補講

・実は、毎日のように「それでは、自分が求めるプロレスとはどんなプロレスなんだ」と考えています。あの日のあの試合は確実にそうでした。

・旗揚げのそもそものキッカケとなる出来事がとにかく劇的でした。新生Uは前田さんが解雇された事。今回も小川さんが解雇された事。また、JWPは団体が解散して選手が路頭に迷った事。

・先日実家に帰ったらプロレスに全く興味のない高齢の母からこの話題が出たのでビックリ。
これは本当に凄い事です、一般大衆を動かしてこそプロレス。まさか、こんな形でまた火が点くとは・・・

・人生を興行の世界に全て捧げた人と言ってもよいと思います。ご自身の経歴に関してはあまり語られない印象がありましたが
彼は、裏側も含めておそらく相当にアナーキーな体験談を多く御持ちだった筈です。

・このタイミングで、しかも東京以外の場所で新しい友人が出来る。全てはプロレスのおかげです。


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▼鷹の爪大賞2024、安威川敏樹編~来年への期待も込めて

[ファイトクラブ]鷹の爪大賞2024、安威川敏樹編~来年への期待も込めて

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