[ファイトクラブ]鷹の爪大賞2024、安威川敏樹編~来年への期待も込めて

[週刊ファイト12月19日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼鷹の爪大賞2024、安威川敏樹編~来年への期待も込めて
 by 安威川敏樹
・安威川敏樹が選ぶ、今年の鷹の爪大賞は?
・期待と不安が交錯する中、やはり期待は裏切られるのか!?
・5ヵ月間、何の動きも見せない日本プロレスリング連盟
・UJPWが1年間で行ったのは2度の合同興行だけ
・UJPW発足1周年となる、2024年の暮れが正念場


 のっけから私事で恐縮だが、筆者はこの記事を書く前、インフルエンザに罹患してしまった。ここ数日間はずっと寝込んでいたのだが、タミフル等を飲んでようやく熱は下がったものの、まだ後遺症が残っている。
 その間にミポリンが急逝するなど色々なことがあったようだが、そんなわけで最近のことはあまり詳しく把握していない。また、今回の記事は少々筆が滑ることがあるかも知れないが、インフルエンザの影響と思っていただければ幸いだ(と言い訳しておく)。

 さて、年末と言えば本誌恒例、鷹の爪大賞の季節である。今年は例年と違い、大賞のみを選ばせていただいた。また、趣向もいつもと大きく変えている。(文中敬称略)

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期待と不安が交錯する中、やはり期待は裏切られるのか!?

 安威川敏樹が選ぶ今年の鷹の爪大賞は、日本プロレスリング連盟(UJPW)だ。そんな団体は知らない? そうかも知れませんね。
 UJPWは去年12月15日に発足。今年に入って2回の合同興行を行った。……って、このことは何度も報じたんですから、本誌読者なら覚えておいてくださいよ。

 それはともかく、UJPW結成の報を聞いた時は筆者も期待した。いよいよ、プロレス界にも統括組織の礎が築かれるのか、と。それまでも統括組織はあったものの、各団体の足並みが揃わず自然消滅。しかしUJPWは新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアという主要団体が加盟している。今度こそ、ずっと続く統括組織になるのではないか。
 その反面、不安があったのも事実である。多くのプロレス団体が集まると、どうしても各団体のエゴがぶつかり合い、空中分解する危険性があるからだ。

 なお、2回の合同興行が行われた時、UJPWはまだ法人化されていなかった。そして7月18日、UJPWは一般社団法人化に向けて手続きに入ると発表。いよいよUJPWも本格的にスタートすると思われた。
 ところが、それ以降は一切音沙汰なし。UJPWは忘れ去られた存在となってしまったのだ。

 筆者は一般社団法人化の声明文が出された時、敢えて何も書かなかった。こういう時、期待を込めた記事を書くと、必ず裏切られるからだ。何も書かないことによって、スムーズに法人化されるのではないか、と。
 しかし今回に限って、筆者のヘンなジンクスに反し、約半年経った今でもUJPWは何の動きも見せていない。要するに、筆者は期待すると裏切られるし、期待しないでおくと危惧したままの結果になってしまう。どちらにしても、悪い方にしか出ないのだ。

 なお、7月18日の声明文を一部抜粋しておく。
「【前略】このたび、任意団体である本連盟を今後も継続的に運営し、プロレス業界全体の発展及びプロレス文化の普及・海外発信という当初の目的をさらに推進するべく、本連盟の法人化を目指して、第1回の準備会議を開催しました。
【中略】計9法人・11団体の代表者並びに弁護士及び公認会計士の専門家が参加しました。団体間の共通課題の解決へ向けて活発な議論が行われた結果、今後、立法府や関係省庁と引き続き対話を行い、各種ガイドラインの策定、選手に対する研修など、本連盟の活動を推進していくために、本連盟を一般社団法人とする手続に入ることで合意に至りました。
【中略】これから事務的手続に入り、準備が整い次第速やかに一般社団法人として活動をスタートする予定です。法人化が完了いたしましたら、改めてご報告いたします。【後略】」

▼7月18日の声明で、UJPWの代表理事に就任すると発表された高木三四郎

5ヵ月間、何の動きも見せない日本プロレスリング連盟

 声明から約5ヵ月経った今、何の報告もないところを見ると、UJPWは未だに社団法人化されていないらしい。声明文には、
「本連盟の活動を推進していくために、本連盟を一般社団法人とする手続に入る」
とあるので、「活動を推進する」ために「一般社団法人とする」はずだ。逆に言えば、まだ一般社団法人にはなっていないので、何の活動もしていないことになる。

 一般社団法人なんて、問題が無い限り必要書類を提出してから1週間~10日間もあれば認定されるはずだ。どれだけ遅くても1ヵ月もあれば充分だろう。
 これが公益社団法人となればかなりハードルが高く、よほどの公益性が認められなければそう簡単に認可は下りないが、一般社団法人だと申請書に不備がなければ問題はない。ただ、公益法人ほどの税制優遇が受けられないだけだ。

 また、声明文には、「立法府や関係省庁と引き続き対話を行い」と書かれている。立法府は国会、関係省庁とは行政機関のことだから、要するに政治との結び付きも目的の一つなのだろう。
 これは本誌でも指摘していることで、
「ブシロードとサイバー・エージェントの2つの上場企業が名を連ねる日本プロレスリング連盟 というのは、つまり政財界との真っ当な繋がりが出来たということ。災害の際に援助を受けるということは、 国民の血税がマット界にも使われることを意味する。これは画期的なこと」
とはヤマモ氏の意見である。

▼今週の肝 ヤマモpart2上場企業2社含むUJPW不入りAll Together

[ファイトクラブ]今週の肝 ヤマモpart2上場企業2社含むUJPW不入りAll Together

 ただ、税金を使うというのは場合によって重大な副作用を伴うが、それは本稿のテーマからは外れるので、その点については別の機会に書くとしよう。
 UJPWが政府との関係を築こうとする理由は、政権与党には馳浩・石川県知事という強い味方がいるからだが、その自民党も今秋は総裁選があったうえに衆院選では惨敗したので、プロレスどころではないのかも知れない。しかも馳は、能登地震の復興への対応が遅いと批判を浴びている身だ。ヘタにプロレスを優遇すると「地元住民よりもプロレスの方が大事か!」とまた非難ゴウゴウという恐れもある。

▼馳浩・石川県知事はUJPWのキーパーソンとなるか?

UJPWが1年間で行ったのは2度の合同興行だけ

 結局、UJPWの今年の活動は、2度の合同興行だけに留まった。しかし、筆者が本誌で何度も主張しているように、合同興行だけの連盟発足では意味がない。ジャイアント馬場とアントニオ猪木が対立していた時代ならともかく、現在ではそんなことは統括組織が無くても各団体で行っているのだ。
 今、UJPWが真っ先にしなければならないのは、プロレスラーの安全対策とセカンド・キャリア支援である。そのための資金調達として合同興行を開催するのならいいが、合同興行しかしない連盟なら無くてもいいのだ。

 前項の声明文の中に「選手に対する研修」とある。なんとも曖昧な表現だが、これには安全対策やセカンド・キャリアも含まれている、と思いたい。
 当然、研修には社会人教育もあるだろう。他の業種でも通用するスキル、常識やマナー、反社会的勢力との断絶、薬物問題など、プロレスラーが社会に出るために必要な事柄は多い。先週の筆者のファイトクラブで、セカンド・キャリアのことを書いたのは今回の鷹の爪大賞への布石だ。

▼光り輝くスポットライトの陰で……、表舞台から消えゆく者たち

[ファイトクラブ]光り輝くスポットライトの陰で……、表舞台から消えゆく者たち

 2009年に三沢光晴が亡くなった時、主要団体が集まって安全対策を行うことを決めたはずだった。さらにプロレスリング・ノア、新日本プロレス、全日本プロレスが共通ライセンスを発行するとまで言っていたのである。
 あれから15年、プロレス界は何の動きも見せていない。ライセンス発行などという、誰が見ても今のプロレス界では無理だと判る事柄はもちろんのこと、安全対策すらまともに進展していないのだ。

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