[ファイトクラブ]本誌・週刊ファイトのオマージュも登場!Netflix『極悪女王』凄いことに

[週刊ファイト10月3日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼本誌・週刊ファイトのオマージュも登場!Netflix『極悪女王』凄いことに
 by Favorite Cafe 管理人
・おとなしくなってしまった地上波TVには、表現できない過激な世界
・作品中、大阪城ホール「敗者髪切りデスマッチ」を報じるタブロイド紙
・ファイト紙が報じた“悲鳴、絶叫、涙の大阪城ホール”長与vs.ダンプ
・「ダンプはまた敵を増やした」長与千種に聞く(1985.9.10週刊ファイト)


 9月19日(木)からNetflixで配信が始まった『極悪女王』が話題だ。不健全で過激なストーリーと状況描写、パワハラ、暴力、大流血、差別社会、すっかりおとなしくなってしまった地上波テレビには、もう表現できない世界だ。

 貧しい家庭に育った松本香(のちのダンプ松本)は、ジャッキー佐藤に憧れて女子プロレスの門をたたいた。同期の北村智子(のちのライオネス飛鳥)、長与千種たちと厳しい練習に耐える日々。やがて千種は飛鳥とクラッシュ・ギャルズとして輝き始める。スターになっていく同期の二人を嫉妬と羨望の思いで見つめながら、出遅れた香が前座試合に甘んじていた頃、会社からヒール転向を命じられた。香は「ダンプ松本」として、同期の本庄ゆかりあらためクレーン・ユウとタッグを結成。奇抜なメイクと革ジャン・竹刀で暴れ回り、クラッシュ・ギャルズと対抗した。親友だったはずの長与千種との激しすぎる抗争は、「虚」なのか「実」なのか。ドラマは見るものの心を揺さぶる展開が続く。そしてクライマックス・シーンとなる長与千種とダンプ松本の「敗者髪切りデスマッチ」へと向かう。

 ダンプ松本を演じるゆりやんレトリィバァは迫力満点、長与千種が憑依したような唐田えりか、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽も難しい心理状態を見事に演じている。そして画面では、当時の女子プロレス中継でブラウン管に映し出されたリング上の動きや、プロレス専門誌で伝えられた写真のシーンが見事に再現されている。
 ストーリーの大まかな流れは、実際の出来事を踏襲しているが、ドラマ自体はフィクション。しかし、もしかしたら実際にあったかもしれないという幻想をいだかせてくれる作品に仕上がっている。

 プロレスの攻防の中で、「押さえ込み」だけは「ガチ」が含まれていたと言われる全日本女子プロレス。たとえば三本勝負の1本目は、ケツ決めが無く、力と技でスリーカウントのフォールを取った選手の勝ちとなる。しかし、フォール以外はしっかりとプロレスの技をかけ、プロレスの技を受けてみせていたという。どうやってそれが成立していたのかは、その中にいた彼女たちにしか分からない世界だ。そんな曖昧な部分があったことも、視聴者が納得して受け入れるよう上手く描かれている。

 『極悪女王』の予告編視聴回数は350万回、大ヒット中の『地面師たち』は82万回だという。期待値としては『地面師たち』を遙かに上回って配信がスタートし、ドラマ評はすでにネットニュースやSNSに溢れかえっている。よって内容の紹介はここまでに留めたい。

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『極悪女王』作品中に登場する「週刊リングス」

 さて、本誌週刊ファイトが、思わず画面に身を乗り出したのは、第5話の40分過ぎ、長与千種vs.ダンプ松本「敗者髪切りデスマッチ」を報じる新聞『週刊リングス』が一瞬映し出された場面だ。明らかに週刊ファイトのパロディと思われるタブロイド紙が長与千種の手元にあるのだ。前田日明のリングスはまだ形すらない時代(1985年)なので、これは本誌・週刊ファイトへのオマージュに他ならない。
 当時、実際に発行されていた週刊ファイトは一面トップにこの試合をもってきたのか? 我々が忘れているだけかもしれないと思い、1985年の週刊ファイトの束をひっくり返してみることに。

1985年9月の週刊ファイト

 ドラマでは『週刊リングス』の日付は9月3日だ。この週のファイトの表紙は藤波辰巳、ただし、9月3日号の発売日は一週間前なので、8月28日の大阪城ホール「長与vs.ダンプ」のリポートは間に合わないはず。
 実際に長与vs.ダンプの記事が大きく載っている9月10日付けの表紙は、長州力。週刊ファイトの一面カラーとグラビアは、印刷の都合上一週遅れとなることが多かったので、念のため9月17日付けを調べて見ると、I編集長の表紙選択はアントニオ猪木。残念ながら「長与vs.ダンプ」はファイト紙のカラー1面を飾ってはいなかった。ただし、記事としてはこの試合を2週に渡って左右両面をぶち抜いて大きく伝えている。

週刊ファイト(1985年9月10日付け)

 ここでは、「長与千種vs.ダンプ松本」の“敗者髪切りデスマッチ”を当時の『週刊リングス』ならぬ『週刊ファイト』の記事から振り返ってみたい。

悲鳴、絶叫、涙の大阪城ホール 千種、屈辱のKO負け

 週刊ファイト(1985年9月10日付け)より
 最終的に公式発表された観客数は11,000人で、惜しくも15,000人の収容能力を持つ同ホールを満員にすることはできなかった。しかし、大阪城ホールは初の女子プロ興行というハンディ付き。おまけに試合開始の何時間も前から1万人近いファンが長蛇の列を作ってフィーバーしたのは、素晴らしい光景だった。(中略)
 メーンエベントの直前には、控え室の通路にジャガー、デビル、飛鳥、堀、大森らが勢揃い。飛鳥の肩車に担がれた長与は羽織袴の“正装”で決戦のリングへと向かった。

 いよいよ髪切りマッチに突入、というムードが高まったところでハプニング。極悪同盟の全メンバーと外人勢にガードされて入場したダンプだが、よーく見るとこれがまっ赤なニセモノ。本物のダンプはといえば、例の覆面マネージャーのマスクを着けてセコンドの中にまぎれ込んでいた。ちょっとした“仕掛け”だが、少しでも長与を動揺させようというダンプの作戦だ。それだけダンプの方も髪切りマッチに対するプレッシャーが重かったということだろう。

 スペシャル・レフェリーは、公平を期す意味で、WWWA本部派遣のホセ・トーレス。

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