ヤスユキ インタビュー!「強くなるということ」~1・25『REBELS.33』

 1月25日にディファ有明で行われる「ジェイアクア presents REBELS.33」にて、翔・センチャイジムと「61kg級 3分5回戦  REBELS-MUAYTHAIルール」を行いますヤスユキのインタビューが公開された。

 翔・センチャイジムとのムエタイ日本頂上決戦(1月25日、REBELS.33・ディファ有明)に挑むヤスユキに話を訊いた。小宮山工介戦から1か月、ムエタイ都市伝説は「少しでも昨日より強くなりたい」と願いながら、毎日同じ練習を繰り返していた。強くなるための近道はない。

聞き手・構成:布施鋼治

翔・センチャイジムはやり甲斐のある相手

──小宮山工介戦直後は顔がかなり腫れていました。ダメージからは回復しましたか?

ヤスユキ ダメージを受けたのは口と目だけです。試合後、口の方はきれいに縫ってもらいました。おかげて数日間は染みるものは食べられなかったけど、意外ときれいに治るものだと感心しましたね。左目の瞼はまだ腫れぼったい。ほぼ、完治していると思いますけど。

──自分の出番がなくなったトーナメントを眺めていた時の心境は?

ヤスユキ なんていうんですかね。普通のお客さんになっていましたね。自分が出ていたという感覚はあまりなく、普通に客席に座って見ていました。

──誰かに肩入れしていた?

ヤスユキ (自分に勝った)小宮山選手の試合は見たかったですね。控室はSHIGERU選手と一緒だったので、決勝戦に上がる前には「ぶっ倒してください」みたいな激励をしたけど、心の奥底では小宮山選手に優勝してほしいと願っていました。

──ヤスユキ選手に勝った選手ですからね。

ヤスユキ なので、小宮山選手が優勝を決めた時にはちょっと複雑な気持ちになったけど、うれしくもありました。

──改めて小宮山戦を振り返ってもらえますか。

ヤスユキ 僕的にはちゃんと対策を練ってイメージして合わせていくつもりだったけど、実際の小宮山選手はそれ以上でしたね。想像以上のスピードの前蹴りと距離感を持ち合わせていました。僕が出せる攻撃はほとんどなかった。僕の中では追いかけて捉えられるものだと思っていましたからね。追い足が遅いので、鬼ごっこの鬼にはなれない(苦笑)。来る相手を瞬間的に避けるスピードはあると思うんですけどね。

──翌日、大晦日に大阪でギレルモ・リゴンドーの試合(天笠尚を挑戦者に迎えてのWBA&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ)を観に行くと行っていましたけど、予定通りに足を運んだ?

ヤスユキ ハイ。このまま山場なく終わってしまうのかと思った矢先に天笠選手がリゴンドーから2度もダウンを奪ったので、すごかったですよ。僕も天笠コールを送っていました。結果的にボコボコでしたけど(11R終了時、リゴンドーのTKO勝ち)、興奮しましたね。そして、改めて勝負ってわからないなと思いました。

──どんなことを考えながら家路についた?

ヤスユキ やっぱり自分とパコーンの試合を重ね合わせてしまうわけですよ。僕はパコーンをオッと言わせるところまでいけなかったので、天笠選手みたいにはなれなかったと思いましたね。

──今回雌雄を決する翔・センチャイジム選手は「ヤスユキ選手はパコーンと闘って燃え尽きてしまったんじゃないか」と分析しています。

ヤスユキ あ~、それはないですね。僕のモチベーションは試合にはないですから。

──ホ~ッ、だったらどこに?

ヤスユキ 僕のモチベーションはいまよりも強くなること。1日1日強くなりたいと思っているだけで、相手が誰であってもモチベーションの代わりにはならないですね。

──今日1日の練習で昨日の自分より少しは強くなったという実感を持ちたい、と。

ヤスユキ そうですね。やることは毎日一緒なので、それをやり続けながら強くなりたいと思い続けることが大事なのかなと、この歳(もうすぐ30歳)になっても思いますね。どうしても長くやっていると、そういう気持ちは薄れてくるので、自分で思い返していかないといけない。

──だったら、いまも自らを律しながら練習に取り組んでいる?

ヤスユキ そうですね。このところ日本のトップ戦線に食い込んでいると言われることが多いので、自分で自分に「お前はそれで満足しちゃうのか」みたいな感じで問いかけています。相手が誰であっても、デビュー戦と変わらない気持ちで試合に臨みたい。

──ところで、翔選手の印象は?

ヤスユキ パワーですね。腕相撲的なパワーの強さを感じますね。

──組み合ったら、引かれる力も強いと。いままでそういう選手と闘った経験は?

ヤスユキ ありますね。僕としてはやりやすいというより、やり甲斐のある相手です。翔選手はその強さがわかりやすい。そういう選手が相手だと、自分の実力も計りやすいじゃないですか。

──なるほど。いつも通り、試合展開は相手任せでわからない感じ?

ヤスユキ そうですね。僕は試合が決まってどういう練習をしようかという段になったら、まず相手の立場になって考える。今回なら自分が翔選手の立場ならば、どうやってヤスユキと闘うのか。最初からずっとそういうことを考えています。

──まず逆のポジションをとるわけですね。

ヤスユキ そうです。翔選手だったら、どうヤスユキを崩すのか。どうやったら、ヤスユキを倒せるのか。そういうことを徹底的に考える。

──そうする過程の中で、いろいろな閃きがありそうですね。

ヤスユキ そうですね。そこの閃きは大事にしています。

勝ったら、水落洋祐とやりたい

──今回の一戦を主催者側は日本ムエタイ頂上決戦と位置づけています。

ヤスユキ 主催者の立場からみれば、僕は当たりハズレが多くて使いづらい選手だと思うので、それは光栄なことです。一応そういうことを気にしているんですよ(照れ笑い)。話は大晦日に戻ってしまうけど、そういう意味でリゴンドーはすごいと思う。仕事人として徹している。尊敬に値する選手ですね。

──巷では試合運びがつまらないと酷評されることもあるけど、勝ち星だけは重ねる無敗のチャンピオンですからね。

ヤスユキ やっぱり勝たないと意味はない。もちろん負けて次につながることもあるけど、勝って次につながらないことはない。勝ったら、必ず次につながる。だからやっぱり僕は勝ち星優先ですね。試合が面白いか否かは見た人の感じ方にもよりますし。100人中99人に面白いといわれる試合がいいのか、それとも、100人中ひとりだでも面白かったらいいのか。そんな質問を投げかけられたら、僕は後者でいいのかなと。前者をやってしまうと、何をやっているのかわからなくなりますからね。(格闘技は)買い手市場になったら良くない。自分の品物(試合)を感じてもらわないと。

──翔選手は、昨年ノンオーと闘っています。ムエタイの超一流と闘っている部分で、共通項があります。

ヤスユキ やっぱり一流選手を肌身で感じることって、すごく貴重なこと。そういう面では僕もパコーンとやらせてもらったりして、お互い頂きの壁は感じている。そういう視点でみると、今回お互い(対戦相手の)レベルは落ちるわけですよ。

──いやいや。。

ヤスユキ もちろん僕はノンオーよりヘタクソですし、翔選手はパコーンより落ちるわけです。お互いそういう状況の中でやるのはどういうふうに試合に作用するのかなと考えてしまいますね。

──翔選手はノンオーやセンチャイと闘う前よりモチベーションは高いと発言しています。

ヤスユキ そのモチベーションと試合が比例したらいいんですけどね。

──こればっかりはやってみないとわからないですからね。

ヤスユキ さっきも言ったように、僕のモチベーションは翔選手に向いていない。12月の僕と今回の僕の何が違うのかと訊かれたら、それは小宮山戦を経験したかどうかだけ。練習は変わっていないので、プラスになっているところはそこしかない。でも、強くなるというのはそういうこと。試合をやれば、相手のエッセンスが少しだけ自分に加わる。人は、そうやって強くなっていくのかなと思いますね。

──老婆心ながら、気になるのは試合のインターバル。今回は小宮山戦から1か月弱のインターバルでの試合になります。

ヤスユキ 確かに短いけど、意外とやってみたらどうにかなるんじゃないかと思う。タイに滞在している時には1か月に3試合くらいやった時もありました。焦りも別にないですね。風邪だけは引かないように気をつけています。

──新年を迎え、気持ちを新たにする部分はありました?

ヤスユキ 新たにというより、自分が「あと何年できるのか」と引き際を見定めている部分はありますね。日本人選手の中ではあと誰とやっていないかという部分で指折りになっている。カウントダウン方式でね。

──巷では、今回の一戦の勝者が梅野源治選手と闘ったら面白いんじゃないかという声もあります。

ヤスユキ まわりからも梅野選手とやったらいいんじゃないかという言われるけど、僕はそこまで梅野選手に固執していない。魅力的な選手のひとりというだけで、とくにこだわっているわけではない。

──意中の選手はいる?

ヤスユキ 水落(洋祐)選手です。やりたい。いま、自分の中で闘いたい相手の筆頭として出てくるのは水落選手です。その理由? 町田選手とやりたいと思った時と似ているかもしれない。やっぱり格闘技の原点を感じさせてくれる選手じゃないですか。翔選手に勝つことができたら、次は水落選手とやってみたい。体重は向こうに合わせても構わない。

──翔戦が終わったら、タイに長期出張という話を聞きました。

ヤスユキ そうなんです。2月上旬からバンコクから東にバスで3時間近くかかるプラチンブリーというところに行くんですけど、ヘタをしたら2か月近く現地に滞在するかも。まあ、タイで試合のダメージが抜けたらいいかなと思っています。だから今回試合を組んでもらって良かったですよ。小宮山戦のイメージを引きずったまま、出国したくはないと思っていたので(苦笑)。

○プロフィール
ヤスユキ
(やすゆき)
1985年3月22日生まれ(29歳)
滋賀県草津市出身
Dropout所属
身長174cm
タイプ=オーソドックス
得意技=左ミドルキック
タイトル=REBELS-MUAYTHAIスーパーフェザー級王者
通算戦績27戦20勝(7KO)6敗1分

大会概要・対戦カードはこちら
翔・センチャイジム、インタビュー「ヤスユキに勝ったあとはREBELSライト級のベルトが欲しい」

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