NXTリアル挿入ドレイク・マベリック涙の出陣!フィン・ベイラー謎失踪

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 解雇騒動の余波が続いている中、そりゃ名前として大物なのはカート・アングルかもだが、正直、「まだ給料貰っているリストにいたのか」と言われるのがオチか。しかし、ドレイク・マベリックの涙のSNS投稿はユニバースを大きく揺さぶったようで、あの投稿動画をそのままWWEは一部使って、それでも最後のご奉公となり、「ミニG1」とも称されるラウンドロビン形式のNXTクルーザー級暫定王者決定トーナメント3試合に向かうんだと。


 WWEがSNS投稿を使ったことで、これはWORKなんじゃないかと言う向きもあるようだが、残念なことにコロナ不況の解雇はガチ。ただまぁ、それをビジネスに使ってマベリックに感情移入させるんだから、プロレスはなんと奇妙で因果な商売であることか。実況席も英国バーミングハムで19歳の時にプロレス道場に入門。一日目で額を叩き割られ、「もう明日からあのチビは来ないだろう」と誰もが思ったのに、翌日もやってきた鉄工所の多い黒い街の「鋼鉄魂の逸話」まで披露するのだからタマラナイ。対戦相手はスペイン系にもアジア系にも見えるカリフォルニアのインディー界では大物だったジェイク・アトラスである。ゲイ公表の選手だが、WWEはそこは実況では触れない。まぁここはNXT実質デビューとなるアトラスがWWEでは”カートホイールDDT”という技名になったトップロープを使ったクールなフィニッシュで取るんだが、マベリックにはまだ2回のチャンスが残されるという繋ぎ方だ。これは面白い。


 さて、番組は今回は基本フルセイル大学からのLIVEなのだが、当初の発表ではフィン・ベイラーvs.ヴェルべティーン・ドリームが目玉だったのに、例によって直前のSNS広報発信でベイラーが失踪?ということで、これはLIVEならではの舞台裏リアルのようだ。ということでドリームのプロモから始まったが、アダム・コールが久しぶりに会場に登場。アンディスピューティッド・エラが袋叩きにするセグメントから。

 そこにキース・リーが登場してメインはタッグという発表になるのだが、最後はまた意外な・・・。


 試合はガントレット・マッチで4人抜いて目立ったショッツィ・ブラックハートがティーガン・ノックスと組んで、ダコタ・カイと用心棒の大女ラケル・ゴンザレスとの前週からの遺恨戦である。短く激しくやってくれて、ラクエルも木偶の坊ではないのでなかなかの濃い内容に。AEWとの戦争では最初のカードやトリを煽るアングルが重要なんだが、これなら見ごたえがあった。


 クルーザー級のベルトを輝かすと、トニー・ニースvs. KUSHIDAとなればこれは内容太鼓判だろう。文句なしに「水曜生TV戦争」今週のベストマッチであり、どうかWWEネットワークに加入して皆さん見て下さい!


 事前収録セグメントになるが、傑作だったのはジョニー・ガルガノとキャンディス・レラエの晩餐だろうか。テーブルの上にはあの凶器となったファールカップが置いてある。次の目標は夫婦で王者であり、嫁のNXT女子王者狙いだそうだが、これは座頭市の中村玉緒なのだろうか。キャンディスが悪女の本性を現すというのは異常に楽しみなのである。本誌はそうなるとすでに活字に残した通りだ。


 ミア・イムはシャーロットが5年前にデビューした時の相手。今回はよく知らない元バスケ選手だったアスリートのジェシー・カーミアをやっつけて、女王様のお出まし。紫雷イオの王座戦を前に次週はミア戦となる。


 さて、205 LIVEまで見ているユニバースには説明不要、英国紳士ジャック・ギャラハーの(米国では簡単にUSAネットワークでもプライムタイムに見られるようになった)NXT投入である。ただ、初戦の相手がマスクをかぶり直しての再デビューになるファンタズマの息子だから、ここはお仕事なのは致し方ない。もっとも、マンチェスターの刺青男とルチャ二世は、いまいち噛み合ってなかった。ギャラハーは相手によってもの凄い試合が出来るんだが・・・。いずれにせよ、今回は「ミニG1」であって、一回戦で負けた選手が優勝という可能性はありうるのだ。期待しよう。


 二転三転のトリなんだが、ベルベティーン・ドリームが助っ人キース・リーと組んで、アダム・コール&ロデリック・ストロング組とのタッグなものの、すぐにダミアン・プリーストがあらわれてリーの喉ぼとけにステッキを見舞ったということにして、戦線離脱。リーは怪我していたから、冒頭の発表は売らんがためだったのか。

 ドリームはしばらく一人で孤軍奮闘するんだが、いつの間にか前週にある種のキャラ変更での再デビューとなったデクスター・ルミスにドリームがタッチする展開に。ロジックのへったくれもなく、ご都合主義の構成なのはいかがなものか。詳しい情報が入ってないのだが、ベイラーno showの件でゴタゴタしたため、急遽辻褄を合わせた感は残ろう。

 最後はパープルレインメーカーがコールに決まって、やはり「俺様に王座挑戦の資格がある」ということなんだろうが、イマイチ感のあるメイン内容になってしまった。

 戦時下の平均視聴者数を深読みし過ぎても、普通にニュース番組の上位独占が圧倒的な状況下ではあまり意味がないのではあるが、今週はAEWが731,000人と再び「水曜生TV戦争」のリードを奪回、NXTは665,000人となっている。但し、ちゃんとしたレスリングが見たい日本からの視聴者目線では、今週もNXTはKUSHIDAとトニー・ニースの質の高さからも素晴らしかったとは本誌は明記していおく。AEWは、クリス・ジェリコの解説席の放言が大笑いできるというエンタメ色が大衆に受けている。一方のNXTは、カリフォルニア在住のマウロ・ラナーロがフロリダに来れないことや、常連客さんたちの合いの手コールで盛り上げる演出が出来ないハンディは大きい。

 市場取引が終わってから、上場企業なのでWWEは2020年四半期の決算を発表。コロナの影響は3月の3週目からのことなので今後の「予測不能」は断ってはいるものの、前年比からは当然巨額の放送権料があるため60%の上昇となり経常利益$291(百万ドル)を叩きだしている。当初の見込みより良かったことから株価は終値が$39.07だったが、時間外取引で本稿発表時点で$43.80まで買われていた。コロナショックの投げ売り時期は公式には$29.10であるが、実際にはもっともっと低い額で取引された事実は本誌のバックナンバーに詳細した通りだ。

 WWEネットワークの頭打ち傾向はコロナに関係なく止められない。他社の競合プラットフォームに4大PPVだけ売却する交渉は「未だ死んではいない」ものの、こちらはコロナの影響で延期という発表にとどまっている。この四半期に関するなら、上場企業なのでインチキ出来ない数字として1,460,000件の契約、2日間に渡った『レッスルマニア』は無料で試したタイプもいるのでかの土曜、日曜の週末に関しては2,100,00件まで記録したと決算にはあるが、有料になったのは約1,600,000件と読み取れるようだ。つまり、内容がこれまでの大会場イベント祭典と比べて極めてみすぼらしいのは仕方ないことにせよ、他のエンタメがなにもない戦時下では、結構多くのライト層が購入してたという事実は認めざるを得ない。

■ WWE NXT
日時:4月22日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 フルセイル大学スタジオ

◆「ベルトを腰に巻きたい」KUSHIDAがトーナメント初戦勝利

 KUSHIDAが暫定NXTクルーザー級王座トーナメント初戦でトニー・ニースと激突した。試合前、「必ずあのベルトを腰に巻きたいと思います」と王座奪取を宣言したKUSHIDAは序盤から得意のグラウンドテクニックを披露して攻め込むと、パワーに勝るニースはトップロープやバリケードにKUSHIDAを叩き付けて応戦。

 さらにKUSHIDAはハンドスプリング・エルボーやマサヒロ・タナカから必殺のホバーボードロックと怒涛の連続攻撃を決めるとニースも強引なジャーマン・スープレックスから450°スプラッシュを放って白熱の攻防を展開した。しかし、最後はコーナートップでの攻防でKUSHIDAが雪崩式ホバーボードロックをニースに決めてタップ勝ち。KUSHIDAが見事トーナメント初戦でニースを撃破して王座奪取に向けて好スタートを切った。

◆「私は誰にもひれ伏さない」イオが王者シャーロットを挑発!

 NXT女子王座挑戦者決定ラダー戦を制した紫雷イオがNXTで映像コメントとして“女王”ことNXT女子王者シャーロット・フレアーへ高圧的なメッセージを送った。イオは「私はずっと前からシャーロット・フレアーと試合がしたかったんだ。なんでかって? はやくシャーロットにいかに私が素晴らしいかを知ってほしくてね。リングの上で私と目が合った時にすべてを知るだろう。女王が住んでいる綺麗なお城をぶっ壊してやるよ。おい!シャーロット! 私は誰にもひれ伏さない」と王者シャーロットを挑発した。


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’20年04月30日号WWE プロレス映画 田村潔司 虎面新間寿 木村健吾A猪木 修斗ONE MasF

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