NXTガルガノ-チャンパ1時間以上の死闘!紫雷イオ勝ち抜きシャーロット戦へ

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 今回のNXTは『テイクオーバー:ポートランド』で予定されていた2試合が軸だから、質は非常に高い。重ねて、これが大会場だったらもっと凄かったのにという悔いは残るが、現在の状況ではかなり前に収録したカードを2時間番組にして流すしかない。それもあるのか、例えば王者アダム・コールはちらっとビデオ出演して、「ベルベティーン・ドリームなんか大したことない」とはやるんだが、その王座戦がいつなのか予告もなければ、次週カードの発表もなかった。撮り貯めたカードから構成をやり直し、また直前になったらSNSとかで発表する自転車操業なのである。ただ、状況を思えば致し方ない。ニューヨークの選手やスタッフとかは、そもそも参加できないのである。


 試合は紫雷イオ、ティーガン・ノックス、ミア・イム、チェルシー・グリーン w/ロバート・ストーン、キャンディス・レラエ、そして最後に決まったワイルドカードのダコタ・カイ w/ラケル・ゴンザレスの6選手によるNXT女子王座挑戦者決定ラダー戦。最初に出てきたのはイオで、例の漢字のスクリーンとか入場曲も流れたが、ミアなんか入場場面カットされていたゾ。
 まぁ、今週のRAWも実はレッスルマニアの前に収録終わっていたという笑い話があるんだが、本誌は終わってからはタブーも書きますと。このカードの収録時点(3月22日)ではシャーロットと誰がやれば面白いかなので、余計な知識がなくてもケツは読めたかも。


 日本の緩い自粛要請と違い、フロリダは10名以上の収録もご法度のハズで、ゴンザレス、ストーンにレフェリー加えたらもう9名、いや、カメラマンを2台と過少に数えても罰金ものの違反なのだが、なぜかこの試合は名物のマウロ・ラナーロの実況が「マンマ!ミアー」と絶叫している。カリフォルニアからも出られないハズなので、実況席は偽物で、あとから声だけかぶせたのだろう。道理で普段は実況席のマウロも画面に出るのだが、今回は後半のは別の担当と、番組制作は涙ぐましい限りだ。


 全員必死であれもこれもとあらゆる攻防をやっていたし、凄い試合であることは間違いないんだが、編集でカットした部分もあれば、無観客の収録なのでやり直し、撮り直しも出来てしまう以上、専門媒体としては評価不能になってしまう。非常にcreativeに展開が練られていたし、激しくやってくれたのは称賛なんだが、問題はつい先日、レッスルマニアでSDタッグ王座をめぐるラダーマッチをやったあとである点。またラダー戦というのはいかがなものか。いくら熱心なユニバースで、RAWもSmackDownも、当然レッスルマニアも全部見ていても、たまにやるからラダー戦は映えるのであって、連発してどうなのか。


 その男子のSDタッグ王座戦、まぁ3選手だけだったのだが、それと比べても引けを取らないどころか、こっちは6選手なのでそれぞれの見せ場もあって素晴らしかったことは太鼓判なのだが、間隔の調整はしてほしかった。
 いずれにせよ、紫雷イオvs.シャーロットというのは、これは期待大だろう。今は楽しみに放送解禁を待つしかない。


 続いては、参謀マルコム・ビベンス率いるビベンス・エンタープライズの超大型インド人チームのお披露目試合。チーム名はインドゥ・シェールと紹介されていたが、無名選手相手のスクワッシュになるのはともかく、イマイチ印象には残らなかった。

◆名作劇場Black Heart vs. Rebel Heart暫く両雄が消える悲しさも

 まだ1時間目の最後の時間なのに、トリプルHの仕切りのもと、ジョニー・ガルガノとトマソ・チャンパが出てきて、時間割りどうするのかと思いながら始まった最終決着遺恨戦。ところがなんと、マジに1時間以上やったのだ。しかも、収録だから、実際には90分くらいやったのかも。


 なぜなら、パフォーマンス・センター外に停めてあったアメリカらしい超長い大型のプロダクション・トラックの天上で殴り合う場面も後半にあったのだが、こういう場合のお約束として、下に飛ぶのかと思っていたら、いつの間にかリングに戻っていて、明らかにカットしている部分もあったから。録画中継なのだから、それは構わないにせよ、その他アチコチで激しくやり合う展開に。


 但し、ここまでで「なんだ、先日のエッジvs.ランディ・オートン戦と同じじゃないか」と文句が出るのは仕方がない。どっちが先に収録したのか不明ながら、そりゃあの評判の悪かったレッスルマニアの遺恨報復戦と比べるなら、こっちの方が数倍、いや十倍は激しく凄いのだが・・・。先の「またラダーマッチなのか?」と同じく、似た展開のカードを同じWWE内でやるのは、いくらブランドが別としても大きな課題ではある。それにしても写真でおわかりの通り、あらゆる凶器も使われ、引きちぎった電線コードのタコ足タップがリングに残ったままとか、危険度も満点なのだ。


 グランジマッチは面白く、決着に至るプロセスも凝っていたことは強調して足りない。番組の前半で、一緒に車で会場入りした妻キャンディスが夫ジョニーになにか渡すのだが、その段階ではなにか大きな石を渡したのかと、はっきりとわからずにしておく伏線があった。マジにお互い殺し合い、どちらも「アイム・ソーリー」と言いながら、また痛め合うクライマックス。キャンディスが会場に現れて、「もういい加減止めなさい」と、果てしなく続く闘いに視聴者が思っているのと同じことを言うのだが、そこで夫ジョニーに急所蹴りを見舞う。


 ああ、これで試合を終わらせてジョニーが負けるのかと誰もが思うのだが、今度はトマソの急所を蹴り上げるのだ。そこに、ジョニーがパンツから取りだしたのは、金的プロテクターだったのである。そうか、それを渡していたのかと視聴者も納得するのだ。つまり、ジョニーがやられたふりをするのは演技であり、本当に命中したチャンパは悶え苦しみ、すでに途中の攻防でマットがはがされ、あるコーナーは剥き出しのリングの板木が見えていたのだが、ジョニーがトマソの必殺技であるフェアリーテール・エンディングで板木の箇所に頭を打ち付けるのである。これで1,2,3が入り、キャンディスとジョニーは車に乗って会場から去っていく映画のようなエンディングなのであった。


 考えたなぁ! うるさいファンの想像力を上回ってこそのプロフェッショナル・レスリングである。この結末は読めなかったので「一本取られました」なのであった。かくしてエピック・バトルは感情を揺さぶる余韻を残し、Rebel Heartの勝利で決着をみたのであった。無観客を逆手にとった壮大な西部劇は「シェーン、カムバック!」と叫ぶ少年になれる必見の名画劇場に昇華したのである。

◆そして平均視聴者数逆転!NXT693,000人、AEW692,000人

 わずかな差ではあるが、中止となったPPV大会『テイクオーバー:ポートランド』用の2大黄金カードを投入したNXTが前週より100,000人視聴者数をアップ(27%)させて693,000人を記録、7000人増加はしているが692,000人のAEWを抜き去った。世界のマット界において「水曜生TV戦争」が最重要かつ、質的にも最高峰であることに変わりはない。

■ WWE NXT
日時:4月8日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 フルセイル大学スタジオ

◆紫雷イオがラダー戦制して王座挑戦権を奪取!王者シャーロット戦へ

 紫雷イオが6人で競われるNXT女子王座挑戦者決定ラダー戦に出場した。イオはゴングと同時に因縁のキャンディス・レラエに襲い掛かると、ダブル・ニーを叩き込み、試合中盤にはティーガン・ノックスとミヤ・イムにミサイルキック、キャンディスにフラップジャックを決めると、ブリーフケースを狙ってラダーをリングに運んだ。その後も、因縁のイオとキャンディスがジャーマンスープレックスの応酬など終始火花を散らすと、試合終盤にはラダー上の殴り合いに発展。最後はイオがサミングでキャンディスの視界を奪ってラダーに突き落とすと、そのまま天井にぶら下がったブリーフケースを取り外して激闘のラダー戦を制した。


 これでNXT女子王座挑戦権を獲得し、“女王”こと新王者シャーロット・フレアーに挑むことになったイオは「このイオ紫雷様が一番なんだ」とリングで高笑いして喜びを爆発させると、バックステージでは「見たか! このイオ紫雷様がチャンピオンへの挑戦権を手に入れたぞ。次は必ずベルト! チャンピオンになるところを見せてやるからな。イオ紫雷ナンバーワン!」と大一番の王座戦に向けて闘志を燃やした。


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