[ファイトクラブ] マクマホン証言「誰もが本当の自分を知らない」慕われる悪のオーナー

[週刊ファイト12月5日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼ マクマホン証言「誰もが本当の自分を知らない」慕われる悪のオーナー
 by Favorite Cafe 管理人
・仇敵オースチンvs.ビンス笑顔で対面のサプライズ誕生パーティー
・電撃離脱もハルク・ホーガン不可欠『レッスルマニア20』にビンス動く
・チケットだけで売り上げ240万ドル(約2億6000万円)史上最高記録
・HHHから世界ヘビー選手権奪取、新日本育ちクリス・ベノワ
・NFLに転身か?レスナー商品価値は大暴落WWF離脱を裏付ける敗北
・DIVASセクシーな下着姿でタッグ戦ファン期待うれしいハプニング
・もう一つのレッスルマニア『ファンコンベンション』元WWF勢集結
・全ての時代を通してのベストレスラー、ドリームカードは?


 Netflix『Mr.McMahon悪のオーナー』は、6つのエピソードで構成されている。前半のエピソードは、マクマホンのジュニア時代~ホーガン、アンドレを擁した最初の隆盛時代を描いている。ステロイド訴訟などの問題が発生し、WCWに押された90年代を経て、後半では全米を制覇し、一強時代を築くアティテュード時代が描かれている。本コラムでは、そのアティテュード時代、主に2003年のWWEに注目して、当時の週刊ファイトの記事をシリーズで振り返ってきた。

 ビンス・マクマホンは、このドキュメンタリーのエピソード5までは、有能な経営者として描かれている。そして、ドキュメンタリーの最終章であるエピソード6では、今年(2024年)次期大統領に選出されたドナルド・トランプとマクマホンとの抗争が描かれている。この内容は、大統領選を見越したタイムリーな題材となっている。

トランプ政権で教育長官に就任予定のリンダ・マクマホン

 このドキュメンタリーは、WWF、WWEの過去の映像と、関係者やレスラーたちの証言によって展開していく。その中でも、エピソード1の冒頭からメインの出演者として証言しているのがビンス・マクマホン本人である。そんな彼が、今年になってNetflixへの協力を拒否するに至った。その理由は、エピソード6の終盤でリアルな“悪”のマクマホンが描写されることが判明したためである。
 しかし、スキャンダルとビンスの醜さが語られているエピソード6の最後に至っても、ビンスとともにWWEで闘ってきたレスラーたちが、ビンスのことを強く非難する証言が出てこないことが、プロレスファンにとっては救いでもある。

 2003年のWWEを報じた週刊ファイトには、レスラー、スタッフに慕われるビンス・マクマホンのエピソードが取り上げられている。現在係争中の犯罪的なスキャンダルもリアルなビンスかもしれないが、レスラーたちの証言から浮かび上がる“慕われる”経営者としてのビンス・マクマホンもまたリアルなのだ。

 Netflix『Mr.McMahon悪のオーナー』の最後にビンスが証言している。「誰もが本当の自分を知らない」、「演じている者たちは、キャラクターを自分自身だと思い込む瞬間がある。そして本当の自分がどちらなのかわからなくなる」と。

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 仇敵オースチンvs.ビンス笑顔で対面のサプライズ誕生パーティー
週刊ファイト(2003年9月11日付)

 金網に手錠でくくりつけられHHH、リック・フレアー、バディスタらのリンチに遭って大流血、セキュリティーに抱えられ退場するゴールドバーグが映し出されて終了した8・24フェニックス『サマースラム』のPPV生中継。しかし、その後に驚きのシーンが待っていた。
 リング上にビンス、リンダ、シェーン、ステファニーのマクマホンファミリーが集合。さらに直前に退場したゴールドバーグ、カート・アングル、ブロック・レスナー、エリック・ビショフ氏を除くWWEスーパースターズが勢ぞろいした。

 何が始まるのかと思いきや、誰が音頭を取ったのか、「ハッピーバースデー」の大合唱。リング上で誕生日を祝福されたのは、何とビンスだった。その輪の中にはビンスと敵対するスティーブ・オースチンの姿もあっただけに、リング上のストーリーとは関係ない、すなわちオンエアできないところでの誕生パーティーだった。

 ビンスに関しては関係者の間でも、評価は大きく分かれる。それは「プロレスをここまでビッグビジネスに押し上げた最大の功労者」というものと、それと引き替えに「レスラーがレスリングに対して誇りを持てる業界でなくした」というもの。主に後者は1970年代~80年代に活躍したレスラーOBの主張で、現在、WWEで活躍している選手は前者の意見だ。
 レスラー、スタッフのビンスに対するリスペクトと感謝の気持ちが表れたリング上でのバースデーパーティー。リング上のビンスも、缶ビール片手に、これまで見せたことのない笑顔で部下と接した。

 日本でも会場でレスラーの誕生日を祝うことはあるが、どちらかといえばマスコミ向け。差し入れのケーキを前に、バックステージで写真撮影が行われる程度のもので、ファンにオープンにされることはない。ましてや、リング上でパーティーが行われることも。

 パーティー好きのアメリカ人気質がこのようなシーンを生んだのだろうが、実はビンスには直前まで知らされていなかったもよう。WWEスーパースターズが「ハッピーバースデー」を歌い始めた瞬間には、演技ではない驚きの表情を見せていた。
 ビンスにとっては突然のハプニングだが、このようなケースは5・19グリーンビルでTV中継終了後、地元に近いフレアーの功労セレモニーが行われた例がある。突然の出来事に、取材にあたった本紙記者が“引退セレモニー”と勘違いしたほど。当事者だけでなく、観客をも巻き込んでの“ドッキリ”だった。
 今回の『サマースラム』では、PPVの内容が今イチだったため、『試合よりWWEスーパースターズの大合唱が聞きたかった』という声も上がった。この場面は、まさに会場にいた者だけが味わえた特別なボーナストラックだった。

アンダー・テイカーもビールで祝福

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 電撃離脱もハルク・ホーガン不可欠『レッスルマニア20』にビンス動く
週刊ファイト(2004年2月26日)

 昨年(2003年)10月に手術したヒザの回復が思わしくなく、このまま引退するのではとみられているハルク・ホーガン。新日プロとは3試合契約を結んでいたが、1・4東京ドーム参戦をキャンセルしたばかりか、5・3東京ドームの参戦メンバーにもリストアップされていない。NWAーTNA参戦もキャンセルになったままで、今後は愛娘ブルックさんの歌手デビューのキャンペーンに協力するという。そんなホーガンがWWEに復帰するという仰天情報が飛び込んできた。といっても選手としてではなく、アドバイザーとして。その周辺を探ってみた。

 一部で引退が報じられたハルク・ホーガン。その真偽のほどは定かではないが、少なくともマット界にしがみつかなくても悠々自適の生活を送れるだけの資産を築いている。このほど愛娘のブルックさんの歌手デビューが決定。
 ホーガン自身が、そのキャンペーンに全面協力すべく、一時、マット界を離れることが“引退報道”の背景にあるものと思われる。

 とはいうものの、米マット界がホーガンほどの超大物を放っておくはずがないというのが、関係者の一致した見方。しかも、WWEが20回目を迎える『レッスルマニア』の記念大会を開催するのだから、ホーガンの周辺は慌ただしくなってきているようだ。WWF関係者が明かしたところによると、WWEはホーガンとアドバイザー契約を結んだというのだ。
 もともとビンス・マクマホンJR代表は、『レッスルマニア20』にホーガン投入を当て込んでいた。昨年、一昨年と、『レッスルマニア』に合わせたホーガンのWWE復帰は大きな話題を呼んだ。ザ・ロック(2002年)、ビンス(2003年)とのシングルマッチはそれぞれ、『レッスルマニア』史上に残る名勝負だった。

『レッスルマニア19』(2003年)

 2003年6月、WWEを電撃離脱したホーガン。その背景にはマクマホンJRとの確執が横たわっていたが、ビジネスとなれば話は別。両者は切っても切れない関係にあるというのが、今も変わらない業界の不文律。ホーガン自身、すでにマクマホンJR氏から『レッスルマニア20』へのオファーがあり、スティーブ・オースチンとの一騎打ちを打診されたとの具体的な内容まで明かしている。
 しかし、ホーガンはその要請には応えなかった。それだけでなく、ホーガンは昨年(2003年)10・13東京ドームで新日マットに復帰した翌日、新日プロ事務所を訪れて藤波辰爾社長と会談、新日プロと米マットの新興団体NWA-TNAの橋渡しをすると約束。その第1弾として、ホーガンがNWA-TNAのスペシャルPPV大会に参戦して、ジェフ・ジャレットと一騎打ちすることまで決定していた。
 結果的に、帰国後にヒザの手術を受けたものの回復が思うようにいかず、NWAーTNA参戦はキャンセル。新日プロとNWAーTNAの提携も棚上げとなった。

ホーガンvs.蝶野(2003年10・13東京ドーム)

 ホーガンがNWAーTNAと接触したのは、同団体がWWEの対抗勢力に成長するとの考えから。しかしそうなると、WWEが防衛策を施さないはずがない。それが、前述したホーガンとのアドバイザー契約。みすみす超人をNWAーTNAに渡すぐらいなら、WWEに取り込んでしまおうという考えだ。

 同時に、『レッスルマニア20』にホーガンをゲスト参加させようとのもくろみもある。
 スポーツの殿堂MSGで開催される『レッスルマニア20』。今や、米大リーグ『ワールドシリーズ』やNFL『スーパーボウル』に匹敵するほどのイベントに成長した『レッスルマニア』だが、ホーガンの存在なくしては成功はもとより、同イベントはスタートすらしていなかった。
 20回目を迎える記念大会に、そのホーガンの姿がないのは何とも寂しい限り。せめて、ゲストとして華を添えてもらいたいところだ。

 もともと『レッスルマニア』は、プロレス界にとどまらず、スポーツ・芸能界から大物ゲストを招待。それが『レッスルマニア』を従来のプロレス興行とは一線を画すビッグイベントとイメージさせてきた。
 今やホーガンは米国民なら知らない人はいないほどのビッグスター。試合には出場しなくても、会場内に姿を見せるだけで、大いに盛り上がるはずだ。
 すでに今年(2004年)の3・14MSGのチケットはソールドアウト。しかし、WWEにとってビジネスは興行収益だけではない。PPVの視聴契約こそグッズの売り上げとともに、WWEの台所を支える重要な収入源『レッスルマニア20』の視聴契約を伸ばすために、残り1カ月でさまざまなアクションを起こすはずだが、それはリング上のストーリー展開だけとは限らない。
 ファンは、ホーガンが登場するというだけで、どういう展開が起こるのか興味を持つ。もちろん、自分の前に怨敵がいるにもかかわらず、マクマホンJR代表がおとなしくしているはずがないからだ。

 WWEがホーガンと結んだアドバイザー契約の内容がどういうものかは判明していないが、契約したからには、WWEの許可なくして他団体との接触は認められないはず。となると、NWAーTNAはおろか、新日プロとの関係も切れたことになる。
 ただ、ホーガンが新日プロとWWEの仲介役になる可能性は残されているが。

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 チケット売り上げ240万ドル(約2億6000万円)史上最高記録
週刊ファイト(2004年3月25日)

 3月10日(現地時間)から連日、マンハッタンでWWEスーパースターズが出席してのサイン会が行われ、大会前夜にはファンも参加しての殿堂入りの授賞式、大会当日にはブランチの席も設けられた。殿堂入り授賞式とブランチのチケット売り上げだけで36万5000ドル(約4,000万円)というのだから驚きだ。

 この数字が示すように、『レッスルマニア20』は、同所のプロレス大会過去最高の売り上げを記録した。チケットだけで240万ドル(約2億6000万円)。これまでの記録だった2002年10月の『サバイバー・シリーズ』の125万ドル(約1億4000万円)の倍近くだ。
 普通は観客を入れない入場ゲート後方のスタンド席も開放したにもかかわらず、ギッシリ埋まっていた。

『レッスルマニア20』(2004.3.13 MSG)

 WWE広報部によると、同大会には米国全州はもちろん、16カ国から2万人以上が詰め掛け、テレビを含むと90カ国以上のファンが見るという。それだけのビッグイベントだから、普段は大観衆の前で平然と試合をこなしているレスラーも緊張の極地。メインを任された選手はなおさらだ。あのスティーブ・オースチンでさえ、昨年の『レッスルマニア19』前夜には肉体、精神両面のストレスが原因の高血圧で緊急入院、病院から会場入りしたという。それだけのイベントだからこそ、『レッスルマニア』のラインナップに名前が入ることだけで、名誉なことなのだ。

 ひと足先にWWE世界ヘビー級王者になったエディ・ゲレロが「クリス、オレも防衛するから、オマエもチャンプになって、今日の『レッスルマニア』を2人で思い出の日にしよう」と声を掛けるスキットが流されたが、陽気なラテン系と物静かなカナダ人の国民性の差がハッキリ示されたものだった。本来なら、試合前に、そんなスキットを強いられることも拒否したかったはずだ。

 中でも緊張の度合いが一番高かったのはクリス・ベノワだろう。『レッスルマニア』で初めてメインを任されたのだから。一時は、「ベノワの人気では『レッスルマニア』のメインは厳しい」との声もあって、当初のHHHとのシングルマッチは、ショーン・マイケルズを加えたトリプルスレッドマッチ(HHHの世界ヘビー級選手権に二人が挑戦)に変更された。
 メインをはずすことも考えられたが、年間最大のイベントを締めくくるにふさわしいカードは見当たらず。すでに日本での一騎打ちでHHHに敗れていることもあって、ベノワはこの1カ月間、胃が痛むほどのプレッシャーと闘っていた。

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