[週刊ファイト11月14日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼ 『Mr.マクマホン』度重なるスキャンダル乗り越えマット界最大の成功者
by Favorite Cafe 管理人
・WWE提訴も“ビンス愛人”セイブル悩殺ショー男性ファン総立ち
・ゴールドバーグ重圧、ストーンコールド、ロック、2大スター越えるか
・『RAW』王者HHH人気No.3マクマホン家の威光も上位とは大きく水
・理想の上司ビンス体を張るリーダー、流血戦辞さずリング上で汚れ役
・ビンス・マクマホンvs.ハルク・ホーガン『レッスルマニア19』
・マット界史上最大の成功者ビンス 徹底した管理体制とマーケティング
・NWOブームから一転視聴者離れギャラ高騰追い打ちでWCW自滅を好機に
・ビンス20代の頃からスタンバイ、父親がレスラーGOサイン出さず
マクマホンは、今年(2024年)自らが築き上げた巨大帝国WWEの親会社TKOグループ・ホールディングスの経営から身を引いた。WWEの元社員が、マクマホンから性被害を受けたとして、コネチカット州の連邦地方裁判所に提訴したのだ。その女性は長年にわたり繰り返し性的虐待を受け、自分の露骨なビデオを他人と共有され、他の男性との性行為まで斡旋されたという。
マクマホン自身はこれについて「根拠のない告発」だとして完全否定しているものの、会社のエグゼクティブチェアマン&取締役を辞任し、告発されたあとはNetflixのドキュメンタリー制作への協力も取りやめている。
Netflix『Mr. McMahon 悪のオーナー』の核となるビンス自身のインタビュー、ジョン・シナやザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)らのインタビューの大半はこの訴訟が起こる前に収録されたものであり、コンテンツのEpisode1からEpisode5までは、ビンス・マクマホンの功績やWWE成長の歴史が描かれている。そしてEpisode6においては、ドキュメンタリー制作中に起きたマクマホンの性的虐待疑惑が赤裸々に語られている。
この訴訟については現在も係争中であり、軽々しく評論はできない。マクマホンは2022年にも性加害疑惑に関する内部調査で役職を一旦辞任しているが、2023年1月に復帰している。マクマホンはそれまでも幾度となくスキャンダル、訴訟などに直面しており、それらを乗り越え、時にはリアルな係争をリング上のストーリーにまで活用してビジネスを成長させてきたのだ。
’90年代には、WWFの成長期に所属レスラーにステロイドの使用を強要したとして提訴されたが、ホーガン等の証言により、逆転無罪となっている。1999年のオーエン・ハートの死亡事故ではオーエンの妻から訴訟を起こされたが、事故の原因は装置の不具合であったことで和解。WWEが設備の業者を訴えることになった。2000年代には、女子プロレスラー、元祖WWEディーバのセイブルから契約にない試合を強要されたとして裁判を起こされている。しかし裁判が和解に至ると、セイブルをビンス・マクマホンの愛人という設定でWWEに復帰させている。
▼巨額放送権契約後にビンス・マクマホン「SEX斡旋」スキャンダル発覚
マクマホンは対立感情や裁判などの係争があったとしても、リング上では「ビジネス」と割り切って、自らに降りかかったスキャンダルさえもWWEの「熱」に変えてきた。ハルク・ホーガンとも共闘と離反を繰り返しているが、個人的に対立していたとしても、その感情をビジネスに持ち込むことはしない。むしろそれを活用してリング上のストーリーに仕立て上げ、ビンスvs.ホーガンの対戦まで実現させている。
マット界最大の成功者Mr.マクマホンが、窮地に追い込まれても発想の転換で脱出する戦略、汚れ役を買って出ることもいとわない姿勢は、経営者の鏡かもしれない。
Netflix『Mr. McMahon 悪のオーナー』の配信を機に、本コラムではWWE の2003年の動きに注目して検証してきたが、第3弾は“逆境とスキャンダル”をテーマに週刊ファイトの記事から振り返ってみたい。
まずは前回記事の続き、セイブルの“セクシー旋風”の話題から。
▼2003年のWWE 日本侵攻『Mr.マクマホン 悪のオーナー』の野望
WWE提訴も“ビンス愛人”セイブル悩殺ショー男性ファン総立ち
週刊ファイト(2003年6月5日付け)
WWEマットに“元祖セックスシンボル”のセイブルが、4年ぶりに帰って来た。先週号で本紙既報の通り、PPVマッチの5・18(現地時間)ノースカロライナ州シャーロッテ『ジャッジメント・デイ』ではトーリー・ウィルソンとビキニコンテストで対決して、35歳の“熟女”らしい悩殺ボディーをたっぷりと露出した。
トーリーは米プレイボーイ誌の今年(2003年)5月号の表紙を飾ったが、セイブルは4年前(199年)に女子レスラーとして初めて米プレイボーイ誌のカバーに登場。つまりトーリーとのお色気抗争は、新旧プレイメイト対決でもあるのだ。
ただ、セイブルはトラブルメーカーで、一度はWWE(当時はWWF)を相手に契約不履行で訴訟を起こしたこともある。しかし和解後のセイブルの“悩殺ショー”は過激の一途だ。ファミリーエンターテインメントをウタうWWEだけに、「子供たちには教育上、好ましくない」との世間の声もある。セイブル復帰も、何かと問題が多いのだ。
それでも、セイブルの大人の色気に、リングサイドの男性ファンは総立ち!? 『SmackDown!』の視聴率もセイブルの熟女人気で上向きというから、WWE首脳もセイブルの評価を改めている。
写真は、PPVマッチ『ジャッジメント・デイ』の前哨戦のワンシーンだが、上から92・61・92のナイスボディーを包んだセイブルの黒の超ハイレグ、Tバックのビキニ姿は全く年齢を感じさせない。均整の取れたマッチョボディーは、3年前より若返った印象も受ける。整形したのか、その美ボウにも一段と磨きがかかっている。
元祖セックスシンボルとしての誇りからか、セイブルの女としての美の追求には、トーリーら後輩のWWEディーバたちも尊敬の念を抱いているという。
セイブルは、単なるアクションガールではない。3年前(2000年)にはWWF女子王者として活躍した一流女子レスラーだった。だから、セイブルの強さにもWWEディーバたちがひかれ、レズビアンの世界にいざなわれるのだ。トーリーも先のシャーロッテのPPV・ビキニコンテスト後に、「私をいつ抱いてくれるの?」とセイブルに迫った。
このように、セイブルのWWEマット復帰で、ディーバたちのセクシー路線が、より官能的なものになってきた。これがまたWWEの男性ファンを大いに刺激するのである。ところで、WWE『SmackDown!』派の日本ツアーが、(2003年)7・18横浜アリーナ&7・19神戸ワールド記念ホールで開催されることが決まった。初来日となる統一世界王者ブロック・レスナーと共に、WWEディーバたちも色を添える。現段階で来日が決定しているのが、ドーン・マリーと、先週号で報じたトーリーの2人“義母&継娘”によるお色気合戦が日本でも演じられる。
残念ながら、セイブルの初来日は見送られそう。本当はトーリーとのビキニコンテストを見たいというのが男性ファンのホンネだが。
ゴールドバーグ重圧、ストーンコールド、ロック、2大スター越えるか
週刊ファイト(2003年5月15日付け)
『WRESTLE-1』との契約でWWE入りはないとみられていたゴールドバーグがついにWWEでデビュー戦を行った。(2003年)4月27日(現地時間)、米マサチューセッツ州ウースターで行われた『バックラッシュ』でショートタイツにリングシューズ姿で初めてWWEマットに上がったゴールドバーグ。いきなりメーンでザ・ロックとシングル対決の舞台が与えられた。
元WCWのスーパースターとはいえ破格の扱い。しかもその背景には、ロックに代わるトップスターにとの思惑が隠されている。今後もロックは映画との二足のワラジでレスラー稼業を継続していく。今は俳優としても人気が高いロックだが、それもWWEスーパースターであるからこそ。その点はロック自身、十分認識している。
ビンス・マクマホンJR代表がロックの俳優業を認めたのは、WWEが映画界にも進出したいため。実際、新たに映画関連の部署を立ち上げて投資もしている。本業のプロレスが頭打ちになっただけでなく、今まで以上に多くの選手を抱え、ギャラは高騰するばかり。それだけに、多角的にビジネスを展開していかなければ、将来的に経営を圧迫するのは目に見えているからこそ、新たな分野に進出するのだ。
それには何より、スーパースターを1人でも多く擁することが最善策。映画撮影で戦線から離れるだけでなく、トップクラスのケガ人が絶えないWWEにすれば、1日も早くスティーブ・オースチンやロックに代わるスーパースターが育ってほしいところなのだ。
それにはゴールドバーグはうってつけ。すでに全米に名前が浸透しているレスラーとしては、最後の大物といえる。ほかにもスティングやレックス・ルガーの名前が上がるだろうが、年齢的なことを考えると、ゴールドバーグ以上の選手はいない。
▼『ザ・ニューヨーカー』に極悪マクマホン、混乱アメリカ社会投影WWE
大人気を誇ったロックだったが、2月のカムバックと同時にヒールに転向している。その状況もゴールドバーグ売り出しに適していた。3・30シアトル『レッスルマニア19』でゴールドバーグの登場を予告して以来、徹底的に売り出し作戦に取りかかったWWE『RAW』で毎週のようにロックにプレッシャーを与えて決戦当日を迎えた。
しかし、ゴールドバーグにとっては(2003年)4・27『バックラッシュ』がぶっつけ本番の試合。その点が懸念されてか、同PPVの前評判はそう高くなかった。演出面ばかりが目立ちがちなWWEだが、試合レベルも高い。何より、技の一つひとつが実に的確。逆にいえば、技のミスが目立つ選手はトップに昇格できないということだ。
WCW時代から速攻を得意にしていたゴールドバーグだけに、PPV大会でWWEデビュー戦、しかもは相手がロックというのは厳しい条件。ストーリーがどんなに盛り上がっても、決戦の舞台となる対戦でそういった部分を敏感に感じ取られては、WWEフロントがゴールドバーグを売り出すことにちゅうちょする材料にもなりかねない。
勝敗以上に、その課題をロックとの試合でクリアできるかが注目されたゴールドバーグ。結果、3発のスピアーとジャックハマーでロックを仕留めたが、試合の主導権を握っていたのはロック。型にはまると強さが発揮するゴールドバーグだが、そこをうまくはぐらかされると空回りするばかり。プロレスにはキャリアが重要という点を証明したようなものだ。それでもロックを破ったからには、次なる展開が待ち構えている。注目されるのはやはり、オースチンとの頂上対決だ。
翌4・28ボストンではブッカーTと合体したゴールドバーグ。今後、この元WCW王者コンビで『RAW』の主役となるのだがオースチンが微妙な立場にいる。というのもオースチンが『レスルマニア19』後に戦線から離れたのだ。
番組内で「解雇」と発表されたが、これはあくまでストーリー上のこと。実際は『レッスルマニア19』のロック戦での古傷の首と腰に大きなダメージを負い、休養を余儀なくされたのだ。
結局、『RAW』のGMとして再登場を果たしたが、関係者の話によるとオースチンは「もうレスリングはやらない」と漏らしているという。十分な休養を取れば試合可能な体調に戻るだろうが、ハードな闘いを要求されるだけに、復帰とリタイアを繰り返すことになりかねない。
それでもゴールドバーグvs. オースチンは切り札カードであるだけにビッグマッチで実現するのは間違いないし、WWEフロントはすでにその仕込みに入っているはず。いうなれば、全てはオースチンの体調次第。実現は『サマースラム』か、それとも『レッスルマニア20』(2004年)か。
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