(c) AEW
■ AEW Dynamite Winter is Coming
日時:12月2日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス
AEWがPPVではないDynamite番組ながら、特番として前宣伝にも力を入れてきた”Winter is Coming”回、約束通りにケニー・オメガがジョン・モクスリーに片翼の天使を決めてAEW世界王座を戴冠。しかし、それだけでなく、なんといってもWWEとの契約が切れていたスティング、現在61歳がサプライズで登場、番組終了後には複数年契約を結んだことが発表されたのだ。実況のトニー・シェバーニーはWCWの顔でもあったわけだが、「スティングが18年ぶりにTNTに帰ってきた!」と興奮の絶叫を繰り返す。
さらにである。オメガ戦には以前にも27年来の友人ということで、現在インパクト・レスリング幹部でもあるドン・キャリスが実況に呼ばれたことは11・7『FULL GEAR』PPV大会でもあったのだが、フルにヒールターンしたオメガが裸のままベルトを持って、そのドン・キャリスと走って車で会場から逃げるように去って行くのだが、そこで「重要なことを発表する、水曜ではなく火曜日だ」と意味深なことを告げるのだ。そう、現地火曜夜といえばインパクト・レスリング放送日である。いよいよ提携が始動、業界が大きく動き出すという歴史的な中継になり、公約通りの特番回となったのであった。
最初の試合はDynamite Diamond争奪ということで大勢の参加するバトルロイヤルから。リングインする前から目立っていた元ルセフのミロが次々と暴れて落としていき、同じく巨体のウォードロウとやりあう。ただ、デタラメに落とされていくわけではなく、練りに練って考えてはあり、マット・ハーディはヒールターン、ダークオーダー4号だったが人気が出てきたジョン・シルバーはフェイスターンと、細かい仕込みが考えられている。
主なところでその二人に、サミー・ゲバラ、MJF、ジャングルボーイ、オレンジ・キャシディのが残り、まずはインナーサークル勢の共闘でミロを脱落させた。続いてMJFがジャングルボーイとゲバラを落とす。オレンジパンチでウォードロウが沈んだところで今回は終了。残ったMJFとオレンジ君の次週対決が決まった。
今回は会場客が特番ということである程度入ったこともあるのか、クリス・ジェリコの入場には♪Judasの大合唱に。必ず良い仕事をしてくれるフランキー・カザリアンとのシングル戦である。カザリアンがボストンクラブで絞り上げ、ジェリコ先生の顔と上半身が真っ赤になるとMJFがタオルを投げそうに。当然、サミー・ゲバラが「なんてことをするんだ」とばかりタオルを取り上げる布石があり、ジューダス・エフェクトでケリをつけてもインナーサークル軍は揉めている。
ということで親分ジェリコは次週、インナーサークルの分裂か継続かを試合で決めると。
女子戦はロシア生まれだが、アメリカ人の家庭に引き取られてレスリングからプロレスに転向してきた”LEGIT(本物)”レイラ・ハーシュが、Dr.ブリット・ベイカーとの一騎打ちに。
途中、段取り忘れたのか見合ってたりと、両者グリーンのままなんだが、ロックジョーが決まったあとにサンダー・ロサが出てきてかき乱していたから格好はついた。
Codyとダービー・アレンが組んで、タズ軍団のリッキー・スタークス&ウィル・ホッブスと闘うタッグ試合。特番だから顔見世もあるんだろうが、あれもこれも詰め込み過ぎとの印象は残るのだが・・・。結末はアレン君のコフィン(棺桶)ドロップが決まるんだが、当然に正規軍とタズ軍の乱闘に。そして会場が暗転する。
厳しい冬の情景がバックスクリーンに映し出され、雪か嵐かと。そして、出、出、出、出ましたスティング! これで「月曜生TV戦争」を想起させるお膳立てが揃ったのだ。
トリのAEW世界王座戦が始まった時点で、今回は様々な次回の布石を詰め込んだせいで2時間番組のケツは残り30分。「60分やる! オカダ戦を超える」とケニーが嘯いていたこともあり、どうするのかと思ったがが、解説席のエクスカリバーが「60分1本勝負、試合が長引いた場合は中継延長します」と明言するのだ。ふ~む。あと、リングアナウンサーのジャスティン・ロバーツのことを、俳優ジョージ・ハミルトンの息子だと実況が言っていた。確かに横顔は似てるんだが・・・。
さらに、前回の対決はアンサンクション・マッチということで、凶器自由の流血デスマッチだったわけだが、今回は紳士協定で一切ギミックなし。レスリングで勝負することも事前に公約されていた。
この二人が悪い試合をやるハズもないんだが、記者の好み的にはMOXのパラダイム・シフトが決まっているのに、フォールせずにリング外に降りてイスを探し二脚投げ入れるとか、勝負論のロジックが破綻しているのが気になった。そのイス、紳士協定はどうなったのかと思っていたら、それを攻撃には使わず、二人が座ってビンタをお互い延々とやり出すと。終いにはグーパンチになってと、「新日の試合かよ!」という場面もあったりで・・・。しかし、決してイスを凶器に使ってはいないからこちらのロジックは破綻してないんだと、物語は伝えているデザインにはなっている。
フィニッシュは、リングエイプロンに降りてきたドン・キャリスがマイクを奪ったが、結果的にMOXにバンプ取らされてそのマイクがケニーのもとにいくという展開。これで紳士協定を破ったケニーが、マイクでMOXのオデコを叩くと音声が拾うだけでなく、お約束で流血になる。そこからVトリガー、片翼の天使の必勝攻撃で新AEW世界王者が誕生。
但し、そくさくと花道から消えてしまい、前出のように駐車場の方で”火曜夜”の登場を拡散するのであった。
ほんの少しだけLIVE中継の尺が余ったからなのかもだが、エディ・キングストンが出てきてMOXに詰め寄り挑発、「ランス・アーチャーと今すぐやらせろ」と吠えていた。取って付けただけで余り意味はなかったんだが。
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