[週刊ファイト11月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼KオメガHペイジ+Jモクスリー防衛『FULL GEAR』
DアレンTNT-YバックスAEWタッグ新王者に
(c) AEW by タダシ☆タナカ
・驚きの第1試合順!ケニー・オメガ-ハングマン・ペイジ至宝戦から全開
・両者化けた代名詞サングラスのオレンジ・キャシディとジョン・シルバー
・新人をスターにするCody職人芸でダービー・アレンがTNT王座戴冠
・魂のスリーカウント志田光:ヴィッキー・ゲレロがナイラ・ローズ引っ叩く
・単行本発売ヤングバックスFTR戦:試合で物語を伝えるベストマッチ賞
・映画仕様:ノースカロライナ自宅マット・ハーディDELETEサミー・ゲバラ
・入場曲会場合掌クリス・ジェリコ親分MJF勝たせインナーサークル入り
・ジョン・モクスリーAEW世界王座防衛トリ:エディ・キングストンと流血戦
・BUY-INセリーナNWA女子王座防衛アリシン・ケイの意味
・絶賛総括考:コロナに揺れた2020年AEW最後のPPV大会
■ AEW FULL GEAR
日時:11月7日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス
ずっとTV番組Dynamiteをフォローしている諸氏には、結果に関しては容易に推定できるカード編成だったにせよ、当然ながら問われるのは中身である。最初から最後まで、濃厚な内容で見ごたえ十分のPPV大会となった。唯一、BUY-INと称されるプリショーまで入れたら9試合と長丁場になってしまったこと。東部時間だと本戦だけで夜12時を超えて4時間オーバランになっている。さらに本戦開始がバイデン新大統領の勝利宣言と重なったため、数字的には影響が予想されよう。海外からの視聴者は時間差ありなので大統領選挙後のニュースを一通り見終わってからじっくり堪能した方が多いかと。エンタメ度としてはバラエティにも飛んでおり楽しめる大会となった。
驚きの第1試合順!ケニー・オメガ-ハングマン・ペイジ至宝戦から全開
<第1試合 AEW王座挑戦者決定トーナメント決勝戦>
○ケニー・オメガ
16分25秒 片翼の天使
●ハングマン・ペイジ
実況解説席に、999円新日ワールドの英語版、今はImpact Wrestlingの副社長になったドン・キャリスが、カナダは同郷のケニー・オメガをよく知るということで席に着いたことが舞台裏的には大きいか。AEWはImpactとも共闘路線なのか。今後が楽しみということになる。
そして始まった至宝戦。新日本にいた時はまだ芽が出てなかったペイジが、酒飲みギミックから大化けのベビーフェイスに。ここはクリーナー掃除人のケニーがややヒール役割でストロングスタイルをアメリカの客に魅せる。北米でのファンベース母屋を盗られたとの分析通り、これがあればわざわざ外国のプロモーションを追う必要がないということか。
途中で足をくじいたかのような場面もあったのだが、なんだって臨機応変にやれる二人である。最後は片翼の天使が決まった。
両者化けた代名詞サングラスのオレンジ・キャシディとジョン・シルバー
<第2試合 シングルマッチ>
○オレンジ・キャシディ
9分40秒 ビーチブレイク
●ダークオーダー4号ジョン・シルバー
サングラス姿でポケットに手を突っ込んだまま飛んだりするインディー野郎のオレンジ・キャシディ君。当初は、小さい会場ではウケても全国放送のプロレス番組では無理だろうと、採用に反対する幹部も少なくなかったそうだが・・・。今回もポケットに手を突っ込んで試合しようとするから、怒ったジョン・シルバーがジーンズのポケットを破いてしまう。
当初は”その他大勢”の扱いで、ダークオーダー4号として覆面かぶっていたんだが、ジョン・シルバーも受けてしまいPPV大会のシングル戦へ。オレンジ君が勝つことは誰もがわかっていたと思うが、一進一退の攻防をやらせてもらえるんだからもの凄いスピード出世である。日本に比べたらWWEも行けると思ったらプッシュは早いんだが、AEWはもっと敏感にお客のニーズをかぎ分けているということか。SmackDownやRAWはもう見ないと、こちらに流れている現実を具現化したカードなのだった。
ベストフレンズとはチームというかユニットなのはTV番組上のことかと思っていたら、なんとオレンジ君はトレント家に居候しているらしい。ふ~ん。
新人をスターにするCody職人芸でダービー・アレンがTNT王座戴冠
<第3試合 TNT王座戦>
[王者]●Cody
17分00秒 丸め込み⇒返し⇒丸め込み
[挑戦者]○ダービー・アレン
死者の日メイクのダービー・アレンもまたCodyが採用したインディー選手であり、スケートボードに乗って危険極まりないスタントをやる命知らずの若手なんだが・・・。
そしてレフェリーにはWCWのマイク・キオーダが復帰。嗚呼! ベビーフェイス対決になるカードであるが、先週の番組トリで発表された段階で大人のファンはケツを確信でたであろう。まして本戦の最初の2試合が順当の結末なので、3試合目になにが起きるかは予想出来ただろう。そしてCodyがダービーの技を受けまくるのだ。その観点から見ている者には涙がこぼれてしまう。
試合後タズが登場。軍団のブライアン・ケイジ&リッキー・スタークスがアレン&Codyの両ベビーフェイスを衝撃。しかし黒人大型のウィル・ホッブスが救出に。次回への繋ぎの布石をも仕込み、これぞ正しいプロレスの王座交代劇であった。
魂のスリーカウント志田光:ヴィッキー・ゲレロがナイラ・ローズ引っ叩く
<第4試合 AEW女子王座戦>
[王者]○志田光
14分10秒 魂のスリーカウント
[挑戦者]●ナイラ・ローズ
AEWは「タッグ部門は世界一の陣容を誇る」と自慢しているが、女子部門を問われるとチャンピオンの志田光はともかくとして・・・。なにしろ里歩も、魔法少女・坂崎ユカも、人気ドラマ『S.W.A.T』の東京回で印象に残る中島翔子も呼べないんだから仕方ないんだが。今回のカードも他の候補を当たったが結局はナイラ・ローズとの再戦に。
解説のエキスカリバーが志田の必殺ランニング・ニーをTAMASHII, TAMASHIIとだけ連呼するのが妙にオカシイんだが、最後、やや何度もやりすぎになってしまった反省はあるにせよ、そつなくまとめられてはいた。試合後ヴィッキー・ゲレロおばさんがナイラを罵っている。これは仲間割れなのか。ナイラは反抗せずに帰っていった。