FULL GEAR直前AEW仕込み回!どうなるKオメガHペイジ盟友対決

(c) AEW

 大統領選投票が終わった現地の夜、東部時間では2時20分からドナルド・トランプが「勝った」との一方的な演説をホワイトハウスから宣言してしまう。これが日本時間の流れでは、4日の16時20分からのこと。ただ、さすがにこれはデータに基づいてないと、あのトランプ寄りとされるFOXニュースまでが内容を否定。そして、現地東部時間14時、日本だと深夜4時になるが、CNNニュースがこういう場合に出てくるのはウルフ・ブリッツアー記者の役割なのか、「CNNのメジャーな予想」としてジョー・バイデンの勝利を発表する。
 但し、クオンツと呼ばれる数学の専門家を隔離された別部屋に大量に雇い、あらゆるシュミレーションをさせて当確を出していくのがこれまでの3大ネットワーク対CNNの競争の構図だったが、今回は早く出すことが必ずしも競争の勝ちではなく、間違ったら大変というだけでなくなのしろ郵便投票もあって未知数である。チラリ、チラリと詰将棋においてはもうチェックメイトであることを、明らかに数字に強いキャスターが早口で赤色だった州が蜃気楼でしかなく、青色に変わっていく魔法のロジックを説明はしていたんだが、当確を出すのはあえて慎重に日本時間の深夜4時まで待った感がある。ここが4年前とは違うのだ。

 なぜに前振りが長いかというと、今週のAEW-NXT水曜TV戦争の視聴率は打撃大と予想されること。そんな呑気なプロレス番組どころの騒ぎじゃないからだ。また、選挙ニュースだって最高のエンタメ番組じゃないかという冷静な状況認識も必要だろう。但し一方で、世界リアルタイム時代の再確認でもあった。深夜4時のCNN当確を受けて、記者のEメールがにぎやかになっていく。みんな同じ番組を見ているということ。これがプロレス番組にも言えて、どこに住んでいるかは関係なく、公平に見比べることが可能である時代の変化を意味する。よって、新日本プロレスしかそもそもアクセスできなかった環境から、WWEネットワークでPPVだけでなくNXTも見れますとなって、アメプロ支持者がジワジワ広がっているのは驚きに値しない。

■ AEW Dynamite
日時:11月4日
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス


 今週のDynamite、なにしろ現地土曜夜(日本時間日曜午前)のPPV大会『FULL GEAR』の3日前となり、クリス・ジェリコを実況席に迎えて最後の「見逃せません!」アピールをあの手、この手で告知する内容に。うまくやれてエンタメ度はよく出来ていたと思う。


 番組は、顔が傷だらけのままのジェイク・ヘイガーのベラトールでのMMA勝利から。インナーサークル親分のクリス・ジェリコは、トランプに献金までしているそうなんだが・・・。
 試合はサミー・ゲバラ&オルティーズとMJF&ウォードロウのタッグ戦から。前週のDynamiteでも目立っていたウォードロウの出番が多く、サミー・ゲバラとの絡みが上手い。ジェリコ戦を控えるMJFは出番控え目でやられる場面も多い割合構成に。最後だけMJFがフジワラアームバーをオルティーズに極めるのだが・・・。


 シングルとしては初になる元ルセフのミロと、ベストフレンズのトレント戦では、ジェリコ解説員が先輩-後輩、日本でのYoung boyの使い方をレクチャーする。なんでもNXTの前進FCW時代では、ミロがトレントのKOHAIであり車運転のパシリ君だったとか。負けずとミロもママっ子トレントをあげつらうと。一進一退のデザインにしていたが、トレントが技を失敗したかのような隙をついて、ここはミロのラクダ固めゲームオーバーが極まってタップアウトさせていた。トレントの技ミスは単なるセールなのかガチだったのか? やはりミロの咄嗟の判断でうまくまとめたんだと判定したい。


 王者挑戦トーナメント決勝を迎えるケニー・オメガとハングマン・ペイジには、それぞれインタビューも放送。長引くコロナもあり、オメガはジャクソンビルにもアパート借りたそうだ。後半にはペイジのこれまでの歩みをまとめた紹介のビデオ編集が素晴らしい出来だった。なにしろ、Cinderellaの♪Don’t Know What You Got (Till It’s Gone)が流れ、トム・キーファーの歌声が全国に流れるという・・・。音楽担当の編集者、すべてわかってくれてます。


 同じくFTRとの宿命のタッグ王座戦を迎えるヤングバックスだが、前週からマット・ジャクソンの左足首がやられて不完全というのを今回のプライベート・パーティ戦でも続けている。こちらはヒザ故障のリアルから派生したセールだと思われる。つまり実際にケガもあるのだが、足首がやられているという設定だ。いずれにせよ、これをFTR戦でどのように生かすのか、FULL GEARが楽しみであることには変わりない。試合はマーク・クインにBTEトリガーが決まってバックスのフォール勝ち。当初予定されていたスコーピオ・スカイは、コロナ感染者との接触があったということで隔離措置になり、今回もPPVも出場できなくなったのは気の毒というほかない。

 ちなみに、黒人組にはマット・ハーディが付いてきてるんだが、そのFULL GEARで対戦するサミー・ゲバラに襲撃されるアングルから。但し、こちらのカードはロケ地で行われた映画仕様ということで収録はケガもなく無事だったそうだ。なので時間軸では逆になるんだが、そこれはまぁいいじゃないですか。当初は呪われたカードになるので、AEWは「このカードは二度とやらない」と発表してたんだが、やはり選手たちは「このままじゃ終われない」と望んだようで・・・こちらも楽しみなPPVではある。


 ジョン・モクスリーとエディ・キングストンのAEW王座戦を煽るプロモ合戦では、顔と顔を突き合わせてどころか、オデコだけでなく鼻まで両者くっつけあってののしりあっていた。キングストンのしゃべりは毎度のことながら最高である。
 エディは母ちゃんとの18年前のチャンピオンになる約束とかを持ち出していたが、MOXはキングストンの母ちゃんの名前ルーシーも出していたから、実は昔から家族ぐるみで付き合っていたんだろう。


 英国に閉じ込められていたPACも画面に登場。英国と米国間は、比較的渡航ルールは緩くなったらしいのだが、PACの登場は7ヶ月ぶりと聞いて驚く。コロナが憎い。


 志田光の女子王座に再度の挑戦となるナイラ・ローズには、当然ビッキー・ゲレロおばさんが出てくる。対戦相手は、ブランディ・ローズの連れてきたレッド・ベルベットだったが、これは大一番前のスクワッシュ内容なのはともかくとして・・・。WWE時代と二番煎じになるからエキスキューズ・ミーをAEWでは控えていると思っていたら、リングサイドの志田の前で日本語の「スイマセン!」とやったのは大笑いだった。ケツはビーストボムが決まったのに、あえてカウント途中で頭を持ち上げ、さらに志田の十八番である魂のスリーカウントでトドメを刺していた。
 PPV大会ではセリーナのNWA女子王座防衛戦もラインアップされていて、相手は初登場となるアリシン・ケイだと発表されていた。


 Cody&ビリー&オースティン・ガンのベビーフェイス組には、ダークオーダー4号こと、シングルとしても目立ってきたジョン・シルバー。さらに10号、そしてコルト・カバナという6人タッグ。実況ではビリーの息子オースティンのデビューとか言ってたが、タッグとかバトルロイヤルではすでに何度も出ている。要するにあらためてのオースティン・ガンの売り出しであり、最後に10号にクイックドローを決める役割であった。

 試合後オレンジ・キャシディが現れてジョン・シルバーにオレンジパンチ(スーパーマンパンチ)をぶち込んでいる。この二人のカードは当初プリショー発表だったが、最新の告知によると本戦扱いのようだ。
 絵的な最後は、例によって一人だけポツンと客席で黙って見つめるダービー・アレンとCody。この二人がTNT王座戦なんだが、「副社長としてお前を採用したのはこの俺」とCodyがプロモしてしまうのは、内輪ネタをやってしまうAEWらしいとも言えるものの、一般大衆向け番組にはどうなのかとも思ってしまうのだった。


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’20年11月12日号米国分断とマット界 猪木発明 新日 DeepJewels 藤波辰爾 SEAdLINNNG