[ファイトクラブ]内藤・オーカーンが10連勝で大阪決戦へ ダブルドームの骨格は見えたか?

[週刊ファイト11月12日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼内藤・オーカーンが10連勝で大阪決戦へ ダブルドームの骨格は見えたか?
 新日本プロレス11・2後楽園ホール
 photo & text by TERUZ
・ジェイが飯伏から権利証ケース強奪 BCリーダー争いにも伏線
・タッグ王者タイチ&ザック防衛は35分 「終わるのは一瞬」にあらず
・BOSJ顔ぶれは肩透かし ワールドタッグに“久々の有力選手”ある?
・ダブルドームへのカウントダウン ピースはどこまで揃うのか!?


■ 新日本プロレス Road to POWER STRUGGLE
日時:11月2日(月)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆696人(主催者発表)

 権利証戦、2冠戦がともにラインナップされた11・7大阪府立体育会館大会が待ったなしだ。例年の位置づけでは“年内最後のインターコンチネンタル王座戦”となるが、2冠がセットで進行中であるため、大阪においても“2冠への挑戦権利証”“2冠”が争われる。移動なくこのままドームでの「内藤哲也vs.飯伏幸太」2冠戦が実現するのか。それとも!? ソールドアウトとなった11・2後楽園ホール大会、その周辺、ダブルドームへ向けた展望を確認したい。

 
 ジェイが飯伏から権利証ケース強奪 BCリーダー争いにも伏線

<第4試合>
チェーズ・オーエンズ
KENTA
○ジェイ・ホワイト
  12分25秒 ブレードランナー⇒体固め
●本間朋晃
棚橋弘至
飯伏幸太

<第5試合>
SANADA
○内藤哲也
  11分23秒 デスティーノ⇒体固め
●高橋裕二郎
EVIL

 いよいよ11・7大阪府立体育会館大会が近づいてきた。大阪ではダブルタイトル戦を内藤哲也とEVILが争い、権利証を飯伏幸太とジェイ・ホワイトが争う。その前哨戦となるタッグ戦がこの日の後楽園ホールでも組まれ、意地を張り合った。当事者顔合わせでの直接フォールこそなかったが、内藤がデスティーノ、ジェイがブレードランナーで勝利することで勢いを見せつける。

 首都圏ラスト前哨戦を終えたことになり、大阪大会までは11・3静岡、11・5高知大会を残すのみ。ジェイは権利証が入ったアタッシュケースを強奪して控室に下がり、飯伏に揺さぶりをかけた。勝利を確信し、ジェイの気持ちはドームへ。控室では「EVIL、大阪のメインはお前の試合だな。口だけじゃないと証明してくれよ。バレットクラブのリーダーの座を狙ってるんだろ? じゃあ、結果で証明しろ!口だけじゃなく結果で見せてみろよ。俺はロッカールームからお前を応援してるよ。EVIL、頑張ってくれよ。そして東京ドームで会おう。もしEVILが大阪で負ければ、俺の東京ドームの相手はナイトーってことだな」とコメントする。バレットクラブのリーダー争いを含むそれぞれの試合への伏線を改めて張ってみせた。

 
 タッグ王者タイチ&ザック防衛は35分 「終わるのは一瞬」にあらず

<第6試合/IWGPタッグ選手権試合>
[第67代王者]
ザック・セイバーJr.
○タイチ
  34分50秒 ザックメフィスト⇒片エビ固め
●YOSHI-HASHI
後藤洋央紀
[挑戦者]
※タイチ&ザックが2度目の防衛に成功

 メインはIWGPタッグ選手権試合。先日のNEVER6人タッグ王座獲得で勢いに乗る後藤洋央紀&YOSHI-HASHIが挑戦を表明しての一戦となった。YOSHI-HASHIのキメ台詞「物事が変わるのは一瞬だ」を逆手に取った「メインが終わるのは一瞬だから」とのコメントでタイチが挑発していた。

 試合は一瞬どころか35分に及ぶシーソーゲームに。タイチのアックスボンバーを仁王立ちで受け切り、バタフライロックでグイグイ攻めるYOSHI-HASHIの姿がクライマックスとなる。王者組の連係攻撃ザックメフィストにYOSHI-HASHIは沈んだが、NEVER6人タッグ戦に続く後楽園メインの熱狂を牽引してみせた。

 興奮冷めやらぬリングに、なぜか矢野通がリングイン。4つのコーナーパッドを外すのは一瞬だ。矢野はマイクで「この数日間、来る日も来る日も私・矢野がコーナーパッドを外してはコイツ(ザック・セイバーJr.)が来て(取り付けなおす)!! 外しては来て!! 外しては来て!! さぞザックはイライラしてたでしょう・・・しかし、100倍、1000倍、いや2000倍、俺の方がイライラしてたんだよ!!」と告白。11・7大阪府立体育会館でのKOPW戦がノーコーナーパッドルールに決定した。

 防衛成功に水を差されたタイチは気を取り直し、マイクで「ベルト持ったまま、タッグリーグ出てやるよ」とタッグ最強証明に乗り出すことを宣言している。

 
 BOSJ顔ぶれは肩透かし ワールドタッグに“久々の有力選手”ある?

 11・2後楽園大会では『BEST OF THE SUPER Jr.27』出場メンバーの発表も行われた。

■『BEST OF THE SUPER Jr.27』出場メンバー

●15年連続17回目の出場 田口隆祐(2012年優勝)
●初出場 マスター・ワト
●3年連続3回目の出場 SHO
●2年連続2回目の出場 ロビー・イーグルス
●2年ぶり5回目の出場 高橋ヒロム(2018年優勝)
●5年連続8回目の出場 BUSHI
●2年ぶり4回目の出場 エル・デスペラード(IWGPジュニアタッグ王者)
●4年連続4回目の出場 金丸義信(IWGPジュニアタッグ王者)
●2年連続2回目の出場 DOUKI
●3年連続4回目の出場 石森太二(IWGPジュニアヘビー級王者)

 初出場はマスター・ワトのみ。いわゆる“コロナ明け初参戦”はロビー・イーグルスだけとなり、顔ぶれとしては肩透かしに感じたファンも多かった。TJP、ACH、エル・ファンタズモはBOSJ終了後の『SUPER J-CUP 2020』配信に登場する(米国での収録)。このあたり、コロナでの制限から往来はまだ自由ではないということなのだろうか。

 玉突きのようにワールドタッグへの出場選手に期待が集まるが、タマ・トンガ、タンガ・ロア、バッドラック・ファレらの登場はあるのか。例年の段取りからファンは見透かしており、「ダブルドームは11・7大阪府立で2冠戦はじめヘビー級シングル王座戦の顔ぶれが決まるだろうから、大阪明けにタッグ出場チーム発表だな」などと構えている。

 例年ならそれだけに終わらず、ジョン・モクスリー、クリス・ジェリコ級のドーム要員投入だが、難しい情勢。

 それだけに、ダブルドームの成否を左右する最大のポイントは、2冠戦をどうコーディネートするかだろう。1年前のドームでは「2冠戦を行ってほしいかどうか」のファン投票とともに、2冠同時戦はアリかナシかがファンで議論となった。2021年のドームは2連戦とも2冠戦にならなければインパクトがなくなるが、やるやらないに関係なく、やり方自体に団体としての姿勢が出るものである。

 11・5高知大会まで含めると、前哨戦で内藤哲也とグレート-O-カーンが10連勝となったことの“答え合わせ”も大阪となる。内藤とオカダ・カズチカはどのようなアプローチで“ドームでの2冠戦”に絡むことになるのか。ファンに「そう来たか!!」とヒザを叩かせるような納得度の高い展開を期待せずにはいられない。