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日本時間の深夜2時から3時間半強のWWE『クラウン・ジュエル』は、歴史的な価値では女子カードが解禁されたことだろうか。そもそも前回も、ナタリアとアレクサ・ブリスが現地入りして許可を待っていたのだが、やはり当局は動かなかった経緯がある。ナタリアは二度目の遠征になり、そういう場合はアップにしろよとも思う通り、米国のプログラム集大成としてナタリアがレイシー・エバンスにお返しの勝利。まぁケツどうでもいいか。二人ともコスチュームの上にTシャツ姿という肌を見せない配慮が、逆に歴史的意義の強調にはなったということだろう。
9・16『ヘル・イン・ア・セル』の”フィーンド”ブレイ・ワイアットvs.セス・ロリンズの深紅映像演出は不評だったハズなのだが、今回の決着戦サウジでもハロウィンなのか? その赤い映像にパイロが効果ということなのかもだが、結末はすでに「完全決着ルール」と謳われた以上、今回はこうするしかないとアチコチで予想された通り、ブレイ・ワイアットがユニバーサル王座奪取の幕切れとなった。
日本からの視聴者目線だと、9チーム参加で「世界一のタッグチームを決める」カードで優勝カップを手に入れたのが、失礼ながら意外にもアンギャロ(ルーク・ギャローズ&カール・アンダーソン)だったことか。最後はバイキング・レイダースを抑え込んだ。こちらは予想を外したと記さざるをえない。
■ WWE クラウン・ジュエル
日時:10月31日(現地時間)
会場:サウジアラビア キング・ファハド国際スタジアム
◆9年越しリベンジ!レスナーがヴェラスケス相手にキムラロックで王座防衛
PPV「クラウン・ジュエル」のオープニング戦として “ザ・ビースト”こと王者ブロック・レスナーと元UFCヘビー級王者ケイン・ヴェラスケスがWWE王座をかけて激突した。9年ぶりとなる因縁の再戦でヴェラスケスは蹴りを中心とした打撃で攻め込めば、レスナーはタックルでヴェラスケスの懐に入り込んでコーナーに追いこんだ。しかし、ヴェラスケスが強烈なヒザからハイキックを決めてレスナーをダウンさせるとチャンスとばかりにパウンドで攻め込んだが、逆にレスナーはヴェラスケスの腕を取って得意の寝技に引き込むとそのままキムラロックで仕留めてタップ勝ち。わずか2分10秒のことであり、試合順含めてあっけなかったか。
王座防衛と9年越しのリベンジを果たしたレスナーだったが、試合後もヴェラスケスへの攻撃を続けると、負傷したセコンドのレイ・ミステリオがパイプ椅子でレスナーを襲撃。しかし、レスナーはミステリオを蹴散らし、ヴェラスケスにパイプ椅子攻撃連打からのF5で止めを刺したが、ミステリオが息子を襲われた恨みを晴らすべく再びパイプ椅子で攻撃してレスナーをリングから追い出した。この寸劇が予定されるから、肝心の試合は「短くまとめろ」という構成なんだと推測はするが、目玉カードの割には消化不良を起こさせた感が残る。
◆ボクシング元ヘビー級王者フューリーがWWEデビュー戦に勝利
謝罪を巡り大乱闘を展開したボクシング元ヘビー級王者タイソン・フューリーと“巨獣”ブラウン・ストローマンがPPV「クラウン・ジュエル」で激突した。アラブ衣装で入場してきたフューリーが大笑いというか、ますます「無敗」記録が揺らぐことはないとの念押しに見えてしまうのだが・・・。
パワーに勝るストローマンはWWEデビュー戦となるフューリーを「カモーン」と煽るとビックブーツやヘッドバッドで攻撃。しかし、ストローマンのショルダータックルがポストに誤爆すると、フューリーはカウンターのキックやビックブーツで反撃した。互角の攻防を展開する両者だったが、試合終盤にストローマンがランニング・ショルダータックル2発で追いつめるも、フューリーが電光石火の右フックをストローマンにクリーンヒット。場外で倒れ込んだストローマンはリングに上がることができずにリングアウトとなり、フューリーが遺恨戦に勝利した。しかし、試合後に起き上がったストローマンは背後からパワースラムでフューリーを襲撃すると、そのままリングを後にした。
◆AJスタイルズがバトルロイヤル勝者カリーヨを撃破
PPV「クラウン・ジュエル」キックオフショーでUS王座挑戦権をかけた20人バトルロイヤルが行なわれた。試合序盤、戸澤陽はアポロ・クルーズや因縁の元盟友ブライアン・ケンドリックと競い合うと、リング狭しと暴れまわるルーク・ハーパーとエリック・ローワンに「カモーン」と叫んで果敢に挑んだが、体格に勝るローワンに捕まったところでハーパーのスーパーキックを食らって脱落。試合中盤には共に脱落したRトゥルースがスニル・シンを背後から丸め込んで24/7王座を奪い返す一幕もあったが、ローワン、ハーパー、ウンベルト・カリーヨの3人が残ると、ハーパーがカリーヨに襲い掛かったところでローワンがハーパーを押し出して脱落させたが、カリーヨがその隙にローワンも脱落させて20人バトルロイヤルで勝ち残った。
同日のPPV大会で王者AJスタイルズとダークマッチに勝ち残ったカリーヨがUS王座をかけて激突することに。AJスタイルズには当然、「タッグチーム・タームオイルマッチ」で強豪9チームを退け優勝したカール・アンダーソン&ルーク・ギャロウェイがThe O.C.がセコンドにつく絵図になる。カリーヨがハンドスプリング・エルボーやクロスボディを繰り出して果敢に攻め込んだが、スタイルズがカーフ・クラッシャーでカリーヨの左ヒザを痛めつけると、最後はフェノメナール・フォアアームでカリーヨをKOして王座防衛。スタイルズが王者としての格の違いを見せつけたんだが、ケツはともかく、WWEはベビーフェイスの売り方がイマイチかも。AEWは同じラテン系のサミー・ゲバラが、こちらはヒール軍なんだが、大半にとっては新人として出てきて、早くも顔と名前を覚えられているとかの対比は出てくるだろう。ウンベルト・カリーヨは、果たして覚えられたのだろうか?
◆ナタリヤ、レイシー・エバンスに歴史的勝利
PPV「クラウン・ジュエル」でナタリヤとレイシー・エバンスがサウジアラビアでWWE史上初となる女子による対戦を行なった。試合はナタリヤがシャープシューターでレイシーからタップを奪い勝利。試合後はナタリヤがレイシーの手をあげハグをし勝敗は関係なく歴史的一戦を戦った2人は喜びを分かち合うと、多くの女性も詰めかけた満員の観衆は大きな拍手で応えた。
◆チーム・ホーガンがチーム・フレアーに逆転勝ち
チーム・フレアーとチーム・ホーガンの5対5タッグ戦がPPV「クラウン・ジュエル」で行なわれた。チーム・フレアーとして参戦した中邑真輔はショーティGにスピンキック、アリにはけいれん式ストンピングからのスライディング・ジャーマンスープレックスを決めて攻め込むと、勢いづいたチーム・フレアーは捕まえたアリやリコシェを交互に攻撃して試合の主導権を握った。さらに試合終盤にはチーム・フレアーのランディ・オートンがローマン・レインズにRKOを決めるもカウント2。さらに止めを狙うオートンだったが、ショーティGがオートンの足を掴んでレフェリーの注意を引くと、その隙にリコシェがオートンを攻撃し、続けてレインズがふらついたオートンにスピアーを決めると勝負あり。レインズがピンフォールを奪ってチーム・ホーガンがチーム・フレアーを撃破した。
実況陣までフレアー軍のほうが強力メンバーだと一般向けに解説していて、なおさら結局は当初発表のセス・ロリンズから替わったローマン・レインズがピンフォールする絵になることは末端のファンでも見え見えだと思うのだが、それよりもリコシェに、またあのコミック系「スーパーヒーロー」のスーツを着せたり、チャド・ゲイブルはショーティGの落伍バスケ少年のコスチュームとか、漫画的にしてギーク過ぎるキャラ設定と思うんだが。大人のファン目線だと、最初に出てきたのがそのショーティGと中邑真輔のレスリング攻防からで、冒頭は大いに満足だったのだが・・・。チャド・ゲイブルが新日本プロレスに転出したら、即トップだと思えるのに勿体ない。
◆ロリンズが王座陥落!ワイアットが新ユニバーサル王者に
PPV「クラウン・ジュエル」のメイン戦として王者セス・ロリンズと“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアットがユニバーサル王座をかけたフォールズ・カウント・エニウェア戦で激突した。ロリンズは序盤から客席での攻防でカーブ・ストンプを決め、さらに持ち出したスレッジハンマーでワイアットの顔面を強打して攻め込むも、ダメージを受けた様子を見せないワイアットはコーナートップからロリンズをテーブルに投げ飛ばして反撃。ロリンズはその後も場外マットを剥がしたコンクリートにカーブ・ストンプを決めると、ステージ上の攻防ではカーブ・ストンプ連打からスーパーキックでワイアットをステージ下へ突き落した。ロリンズは機材に落ちたワイアットに追撃を狙うも、飛び散った火花で目をやられたところで起き上がったワイアットにマンディブル・クローからシスター・アビゲイルを食らってしまい3カウント。
ロリンズは敗れて王座陥落してワイトアットがベルトを掲げて新王者。RAWの赤いユニバーサル王座を戴冠した。
Ruler of the universe.#WWECrownJewel #FallsCountAnywhere @WWEBrayWyatt pic.twitter.com/VDQqcHAaXi
— WWE (@WWE) October 31, 2019
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’19年11月14日号新日 サウジSD-RAW-AEW-NXT ノア KnockOutRiseラウェイ 坂口杏里