志田光、米国移住後の初陣飾る!初代AEWタッグ王座はルチャ兄弟下したSCU戴冠

(c) Lee South/AEW

「水曜生TV戦争」の第5回である。初回とかは興味本位もあるのであまり数字の深読みは禁物なのであるが、そろそろWWEとの戦争が真価を問われ、視聴率競争が意味を持ってくる。「ワールドシリーズ第7戦」が究極の裏番組だったハンディはあるが、内容を公平に冷静比較ができる序盤戦を語るには試金石回であろうか。

 それにしてもAEWはよくやっている。なにしろ、これまで何の実績もなかった新興プロモーションなのである。それが期待感だけで先行したPPV大会からして会場満杯が続いており、その勢いはお茶の間向けテレビ番組制作という課題をつきつけらたら、化けの皮が剥がれるという観測すらあったものの第一関門突破である。いきなりWWEの対抗馬として登場して、戦わずにゴボウ抜きで2番手プロモーションという認識になり、実際、その通りにメジャー感のある番組を提供しているのだからもの凄いことだ。
 そりゃケニー・オメガだ、ヤングバックスだとエリート軍が核なんだから、レスリングの質が高いとかは最初から前提条件なんであるが、それだけだと米インディーでも中身を売りにしている団体は多々ある。しかし、いざ映像で見てみたら、「TVプロダクション」がしょぼくて、会場で見たら凄かったのに映像作品としては見劣りしてしまうジレンマが普通なのだ。ところが、TV番組経験のない幹部ばかりのAEWなのに、地上波FOXでやってるSmackDownに引けを取らない照明などの舞台演出がやれているのだから、ライト層がたまたまチャンネルをカチャカチャやっていたら出くわしたとしても、立派に豪華な印象を植え付けられているのは誉めるしかないだろう。

 例えば、NXTとの競争になっている米国の4分と長いCMをどう処理するかにしても、AEWはうまいこと違う趣向を混ぜて使い分けている。つまり、画面分割の手法により大きい方と音声はCMなんだが、リング上の試合は続いているという場合、終わった試合のハイライト・ダイジェストを流す場合、完全に切って通常のCM時間にする場合と、飽きさせないように工夫しているのだ。録画ができる時代になって、意外と、裏番組で激突するNXTとAEWをカチャカチャ変えまくって見てる視聴者は、当初想定していたより少ないというデータがあるのだが、要は番組に熱中させているか否かであって、AEWは裏番組に関係なく、うまくやっている。また日本からの視聴の場合、そんなチャンネルをカチャカチャ切り替えてはそもそも出来ないから、先にAEWを見て、あとからWWEネットワークになるが、米国内でも意識的な大人のファンの順番は同じらしいから、その観点からもAEWは「繋ぎとめている」ことになろう。

■ AEW Dynamite
日時:10月30日(現地時間)
会場:サウスカロライナ州チャールストン ノースチャールストン・コロシアム


 番組はサミー・ゲバラとハングマン・ペイジから。後者のカーボーイは地元なので最初からの会場声援だし、11・9『Full Gear』PPV大会のカードも発表されているからケツはわかっているのだが、AEWはちゃんとサミー・ゲバラを売り込めている、負けようが印象を残している点だろうか。ちょうどWWEが、同じくラテン系のウンベルト・カリージョを売り出そうとしているんだが、やはりどう見せるかであって、本誌にせよ最初にサミー・ゲバラを見た時は、こんな奴いたっけ?と記憶になかったのに、もうちゃんと覚えられていると。この違いは大きいのではなかろうか。


 日本からの視聴者にとっては、米国に移住してからの初陣になる志田光だろうか。相手はスターダムにも来ているポルトガル出身のシャナで、うまくまとめていたかと。本誌は活字で展開を追ったりはしないし、どうかAEWも自分の目で見て下さいという専門媒体としてのスタンスになる。


 ロックンロール・エキスプレスが出てきて、今宵の目玉であるタッグリーグ決勝戦を前にベルトをお披露目して、「チャールストンの同じ会場でフォー・ホースメンから王座奪取した」とかマイクやるんだが、元LAXらインナー・サークルのヒール軍にやられるも、ヤングバックスが救出に。変にいまさら試合させるより、これでいいのではなかろうか。
 そしてベストフレンズがオレンジ・キャシディと組んで、QTマーシャル&ジョン・シルバー&アレックス・レイノルズとの6人タッグなんだが、ハロウィン・コスチュームのネタ元が本誌はわかりません。映画やメタルならすぐにわかるのだが、試合にも感情移入できないままになってしまった。


 本誌はどこよりも先行してベビーフェイスCodyが来ていると活字に残してきたのであるが、11・9『Full Gear』PPV大会のクリス・ジェリコ戦も見逃せないと思わせる調印式も番組に盛り込むと。ジェリコの悪態ぶりも最高なのである。
 対してケニー・オメガとヤングバックスのエリート軍も6人タッグ出陣なんだが、勝って当然にせよ、しゃべりもないから印象に残らない。図書館員組を蹴散らかすだけの出番のジョン・モクスリーが目立ってしまうのであった。


 メインのタッグリーグ決勝戦は、結局はやはりSCU(ソーカル・アンセンサード)とルチャ・ブラザース(ペンタゴンjr&フェニックス)の百戦錬磨の職人組対決となった。途中、エプロンで頭打ってしまってとボッチしたスポットもありはしたが、高度な攻防を見せてスコーピオがピンを取ってSCUが初代王者と。これでいいのだ。


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’19年11月14日号新日 サウジSD-RAW-AEW-NXT ノア KnockOutRiseラウェイ 坂口杏里