闘魂政界を去る…猪木イズム継承はトリックスターか?! 須藤元気当選!!

 7月21日(日)『第25回参議院議員通常選挙』の投開票が行われ、立憲民主党から比例代表で立候補した元総合格闘家の須藤元気氏が見事当選を果たした。

 立憲民主党全体としては改選前の9議席から17議席へと躍進したが、比例代表で獲得したのは6,697,707票。結党直後の2017年衆議院議員選挙での11,084,890票から430万票減となっており、順風の選挙戦とは言えない厳しい闘いを勝ち抜いての当選であった。
 須藤元気議員は同党比例代表次点の元モーニング娘。市井紗耶香候補より2万票多い73,787票を獲得しており、格闘家を引退してから13年間の行動と、選挙戦での地道な活動が国会に押し上げたと言えよう。

 プロレス・格闘技ファンにとってはアントニオ猪木が政界を去った…という意味でも意義深い今回の参院選だった訳だが、当選した須藤元気議員はスポーツ誌紙のインタビューに応えて闘魂継承を宣言し、
「元気があれば何でもできる」
の使用許可を求めたいとも述べている。


 そもそもアントニオ猪木が参院選に立候補したのは平成元年、1989年の第15回参議院議員通常選挙』で、スポーツ平和党として993,989票を獲得、大量の『アントニオ猪木』名での無効票も集めており、仮に現在と同じ個人名での投票が許されていれば更に議席を上積みした可能性もあり、その後の都知事選出馬を巡る不透明な動きなども変わってきたかもしれない。
 しかし、新間寿幹事長とのすれ違いもあって仕掛けられた猪木スキャンダルで95年の参院選で落選、18年のブランクの後、第23回参議院議員通常選挙で日本維新の会から立候補、同党最多の3,506,606票を獲得して議員に返り咲いた。同党の分裂で『次世代の党』『日本を元気にする会・無所属会』『無所属クラブ』『国民民主党・新緑風会』と渡り歩き、今回体調面などを理由に政界引退となった。

 幼い頃亡くなった父が横浜市議会議員だったアントニオ猪木が
「天の声を聞いたからです」
と政界へ打って出たのはまさに天啓で、その後湾岸戦争におけるイラクの人質解放、北朝鮮・朝鮮民主主義共和国との独自のパイプを築くなど、外交面での議員としての実績はプロレスラーとしてのそれに勝るとも劣らないものであった。2期12年という年月以上に、記憶に遺る名議員だったと言えるし、18年間のブランクが無ければ政界でもっと活躍出来ただろう事は想像に難くなく、その間にプロレス・格闘技界ともっと距離を取っていたとしたら世界の格闘技界も今とは違った景色だったであろう。

 このアントニオ猪木の偉大な航跡を考えた上で、政界における猪木イズム後継者としての須藤元気議員を考えてみたい。
 先ずプロレスラーと総合格闘家という、似て非なる競技の選手としての実績を単純に比較することは難しいが、それぞれ引退を期に現役生活にピリオドを打ったところは共通していると言える。
 猪木はプロデューサーとして関わり、須藤元気議員はレスリング指導者として最高監督賞を10度受賞、同じく議員だった大仁田厚の“引退芸”に比べるとその差は明らか。
 また、須藤元気議員のパフォーマンスユニットや語学学長としての海外での活動、書家でもあり、寿司職人の修行をし、魚屋を開店するなど、様々な方面に興味を抱いて行動するところは、猪木を彷彿とさせるし、むしろ実業家としては失敗も多かった猪木を凌いでいるとも言える。
 何より、与党自民党に与する事を良しとせず、野党立憲民主党に所属しているところは反骨の猪木イズムを継承するに相応しい姿勢ではある。

 馳浩は自民党所属の国会議員だ。近年の自民党政権がその政権を維持する為に韓国、北朝鮮との軋轢を利用している事は明らかで、馳浩はその安倍晋三総理誕生を後押し(総裁選の決選投票)、その内閣で文部科学大臣にも就いた。馳をプロレスラーにしたのはジャパンプロレス時代の長州力だが、長州がその出自に長く苦しんできた事をどう考えているか。いずれにせよ、猪木の30回を数える北への渡航との間にはあまりに大きな隔たりを感じる。(馳の方も“猪木イズム”を継承したいなどとは思ってもいないだろうが…) 

 因みに現在把握しているプロレス関係の議員は、

 大阪和泉市議会議員2期目のスペル・デルフィンは無所属で自民党系明政会。

 KYワカマツこと若松市政は3期つとめた芦別市の市議会議員に返り咲き、完全無所属。

KYワカマツ(中)

 品川区議会で2期目の木村健悟議員は自民党から分派した最大会派、自民・無所属・子ども未来に所属 ※旧民主党を離党した松原仁議員の『ガンバル』に所属している関係からと思われる。なお、妻の木村洋子目黒区議に変わって子息の木村寛紀氏が同区議会選挙に立候補したが落選している。

 土方隆司は自民党推薦の無所属で狭山市議会議員3選目で会派は新政みらい。

土方隆司

 KENSOの内助の功を受けて当選の鈴木ひろ子千葉県議会議員は自民党に所属。

 文京区議会議員の西村修は国民新党⇒無所属でぶんきょう未来所属。

西村修

 といったところ。やはり自民党系が目立つ。

 かつて故I.Y編集長は政治を改革するなら政党政治を徹底的に打破し、政治家個人による政治にするしかないと喝破していたが、間接民主制で、投票する指針として政党による色分けが一定の基準となるのが現状ではある。
 比例代表制で立憲民主党から当選した須藤元気議員がいかに政治における猪木イズムを継承していくか、期待と批判精神をもって見つめていく必要があろう。

 なお、今回の選挙結果を受けて推進される消費税増税によるプロレス・格闘技界に対する大きなインパクトとしては、インボイス方式導入で、これまで消費税納税を免除されてきた売り上げ1000万円以下の中小零細企業、個人事業者が事業継続に当たって大きな決断を迫られるという事がある。
 大きな団体、所属レスラーはともかく、小規模でやってきた興行や兼業レスラーの中には廃業せざるをえなくなる場合もありそうで、政治に無関心でいられても無関係ではいられないという事がはっきり身に染みる夏となった。
 


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