力道山研究の巨匠、入魂執念の作『力道山史 否!』制作秘話、その熱き想いを語る。

 今年の11月25日(土)闘道館にて力道山本のこれこそまさに真打ちと言える『力道山史 否!1938-1963』が闘道館にて発売された。(一般販売はなし)
 堂々完成された作品は全784ページに渡るまるで辞典のような写真や新聞記事などを収集、それに加えてキャプションを入れたすさまじいほどの内容充実ぶりがうかがえる労作。力道山愛好家はもとより昭和プロレス信者にはジャイアント馬場、アントニオ猪木という巨星以前にまず国民的大スターであった力道山という存在をさらに深く知ろうという姿勢は、魔訶不思議な世界! プロレスリングをさらに探求したいという愛好家にとっては価値ある一冊と言えよう。
 なお購入特典として闘道館イベントスペースにて2年前に催された「運命の1963・12・8」の語り、仲兼久忠昭氏のトークイベントDVDがもれなく特典で付いている。
 本の値は18000円という高額ながら、買う後悔よりも買わぬ後悔になるであろうことが請け合いになることと思われる…

 本日17日(日)、当日含む購入された方限定のトークイベントが闘道館イベントスペースにて約30人近い来場者が駈けつけ催された。
 司会はご存知、レトロプロレス博士!流智美氏。
 兵庫県神戸市在住の仲兼久氏は来場者に心よりの感謝の言葉を語らうところからイベントが始まり、このような大それた本を何故作成しようと思ったきっかけ(後押しされた理由、刺激を受けた事柄)を語る。さらにタイトルに関して今まで刊行された英雄伝説的なものにはしたくはなく、むしろ人間臭さをより浮き彫りにしたかった。否!という言葉を付け加えることにより気が楽にもなった。力道山を取り上げる出版物として独自性を持たすのにあたり、今までの書物は正確に記されてはいないのではないかというところからメスを入れていった。

 力道山の格闘家生活の出発点、相撲時代の探求には特にこだわりがあった。相撲時代やシュライナーズクラブに導かれた時代、海外修業時代の一般的に伝えられている話を別視点で語る。
 当時プロレスを熱心に報道していた媒体については、スポーツ毎夕という新聞が特にすばらしく、次にスポーツタイムズで後年プロレス報道の代名詞となったこともある東京スポーツは1963年頃より目立つようになったとのことである。

 私的力道山番記者ベスト3、子供の頃に観た軽快な大男ドン・レオ・ジョナサンにはびっくりしたこと、ジョニー・バレントが何かしら影響に残っていること、ミスター・アトミックの出現には下火になりつつあったプロレス人気の再浮上の胆になったということ、などが語られた。ワールド・リーグ戦を五連破しているもののスカッとした会心の勝利ではなくすべてが薄氷の勝利であったこと、第二回ワールドリーグ開幕戦のレオ・ノメリー二対サニー・マイヤ―スの一戦は、リズミカルな互いを引き出す最先端のこれぞプロレスという思いがして、外人選手同士の対戦は特に注目したものだということが、リアルタイムで観た者の視点で水が流れるかの如く次から次へとノンストップで語られた。

 閉話休題で話題かつ物議を醸している柳澤健氏が紹介された。

 力道山書物のマーケットは小さくなっている中で、仲さんの本は非常に値打ちがある事を司会の流氏は強調した。

 当初は千ページにはなる予定が絞りに絞った上で最終的にはこのような形になったが、散漫にならず結局はそれでよかったと思っている。本が完成されていない中で告知して、それでも購入を決めていただいた方に意気に感じる思い…
 そこにはプロレス愛好家の緊線に触れ、揺り動かすものが何かしらあったということなのだろう。

「力道山の名勝負と言えるものは田園コロシアムの対ミスター・アトミック戦以外には特に思い浮かばない。あとは横一線だ」と語り、とかく力道山は当時の時代背景からとにかく凄かったものだと妄信しがちな答えが出なかったのには、氏のこだわりが垣間見える感がする。

 本の制作にはコストがかかりにかかり、よくぞ完成にこぎつけたという思い。最初で最後の本になるであろう、今は精魂尽き果てて考えられない!
 ジャイアント馬場の時代のトップ外国人レスラーと、もし力道山が闘わばのシュミレーション的な話や、ワールドリーグ戦の星取勘定表には辻褄が合わないことがある、インターナショナル戦の防衛回数の謎など、プロレスマニアはああでもないこうでもないと推察して語るのもこれもまた楽しい。

 なお本には余白があるが、レコードブックは完全ではなく今後の研究課題でもあるとのことである。
 プロレスとは週刊ファイト元編集長・井上義啓先生の言葉を借りれば“底が丸見えの底なし沼”であり、本当の事はオモテには安易に出ないものなのだ。
 パズルを埋めるような探求心もまた楽しや、一生モノの贅沢なる娯楽でもある。
 トークイベント終了後も熱心な愛好家の方たちはさらにより多くのものを得ようとするかの如く、仲兼久氏に話しかけていたのは印象的でもあった。


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 つい先だって新間寿プロデュースによる『原点回帰』が開催された。初代タイガーマスク、佐山サトルはプロレスは真剣勝負ではないが、一生懸命な闘いというのを観せている。学芸会ではないと主張した。プロレスは格闘演劇であってもそこには勝負論をないがしろにしてはならないのである。それを後押しした形のリアルジャパンプロレス顧問の新間寿さんは力道山を直に観て知る世代であり、このような力道山書の刊行のタイミングの妙といったらない。