小川直也独占インタビュー 今回のゼロワンとの確執…真相は? IGF・猪木との亀裂、石井が米国から五輪挑戦…そして先輩に引導を渡す?

 9月10日深夜。都内某所の飲食店で小川と出会うことになった。取材というよりは友人同士の会食であったため、彼の口調は冒頭から激しかった。
「俺の言った『どインディ』を書いたか?」
「いや…さすがに書けないよ。俺ごときが『どインディ』なんて書いたら、なにを言われるか……」
「それだから駄目なんだよ! せっかく俺が最初に教えたのに、高尾ちゃんもまだまだ駄目だね! そういうことをドンドン攻めていかないと、いい物書きになれないぞ!」 
「わかった! 今度は書くよ!」
と、説教から始まった会食は、今回のゼロワンとの場外乱闘へと話はすすんでいった。
 これは、当初の早い段階から『どインディ』というドキツイ表現を私は耳にしていながら、当ブログ欄では出さなかったことに対するもの。金曜日に発売された『マット界舞台裏9月16日号』には、この間の経緯も詳細してあるのでここでは繰り返さない。ただ、やはりスポーツ紙のほうがセンセーショナルな見出しを使うのだなぁと、妙に感心した点は記しておく。
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「で、どうなの? ゼロワンと試合する気あるの?」
「やるって言っても、俺とやって面白い試合が出来る相手なんかいないだろう!」
「確かに……。でも、空想だけど、橋本大地との絡みがあれば、平成初期のファンは喜ぶと思うけどな…」
「ん……そんなもんかね?」
「花道を、赤いガウンに鉢巻きをした橋本大地。その横を小川直也。そして、入場音楽は当然『爆勝宣言』。もうこれだけで、往年のファンは涙すると思うよ」
「そんなもんかな?」
「それに、橋本大地が持ち上げた相手に…『俺ごと刈れ』なんてやった日には、もう…涙もんだよ!」
「そりゃ~無理だよ」
「なんで?」
「大地が壊れるだろう(笑)。あの体で受けきれるはずがないよ(笑)」
「確かに(笑)……」
 あの場外乱闘以来、かなわぬ夢となってしまったZERO1vs.小川直也。両者の抗争を望むファンは少ないとしても、橋本大地との絡みはやはりファンの夢となるのだろうか? 小川vs.ZERO1の場外乱闘はいつしか、IGFとの確執、猪木との確執…「引退勧告」。そして、石井・澤田との師弟対決にまで発展していった。
「話しは変わるけど、IGFとか猪木さんとの関係は大丈夫なの? だいぶスポーツ新聞をにぎわしていたけど」
「大丈夫だよ。猪木さんが試合を組んでいるわけじゃないし。俺が直接やり取りしているのは、猪木さんじゃなくてフロントだから。やっぱりここで一回リセットしておかないとね……。仲が良くなりすぎると、『協力関係』という意味合いが強くなり過ぎて、色んな事がいい加減になっていくだろう? この世界のいい加減さを俺は十分にわかっているけど、あまりにもいい加減になり過ぎることね…この業界にとっても俺にとっても良くないって思うわけよ」
「それはギャラとか?」
「まあ、お金の事もあるけど、マッチメークにしても…やりたくないやつや、面白くないやつとやると、また無気力試合なんて言われるからね」
「それを猪木さんは『何様だ? 上から目線か?』と、言っているようだけど」
「まあ、そういう見方もあるけど、結局今のプロレスに魅力がないのは、かみ合わない同士や面白くない奴同士がやっているから魅力がないんだよ。金のためには興行をたくさん打たないといけないから、あきられるような試合…あきられるほどの試合数をやらないといけないだろう! まあ、おれほど試合数が少ないやつはいないけど、もうちょっと試合の価値観を高めないとね!…カート・アングルやハルク・ホーガンを呼べとは言わないけど、試合前からお客さんがワクワクするような相手とやらないと、選手の価値が落ちていくばかり…つまり、プロレス人気が落ち込むばかりだよ」
「石井との関係はどうなの?」
「本当に笑っちゃうよね。国内で一試合しかしていないやつが俺に引退試合? 何なんだろうねその自信は? ビッグマウスもいいんだけど、軽いよね、発言が! プロレスも出来ないくせに、なに言ってんだあいつ!」
「アメリカからオリンピック目指すって言っているようだが」
「あれも笑っちゃうよね! 新聞読むと、知人からその企画を教えてもらったみたいに書いてあったけど、その知人って、俺と共通の知人なんだよ。で…その知人に俺が囁いたんだよね…その企画。そうしたらあいつ、そのまま新聞に話すもんだから…もう、笑うしかないよ。俺の手の中で踊っている感じだね」
「そうなの! で、石井とやる気はあるの?」
「ないよ! だって、石井とやってもお客さん呼べないぜ! 将来俺が引退する時は、そんな小物ではなくて、もっと大物を考えているよ」
「え…だれ?」
「秘密だよ(笑)」
秘密というよりは、まだ引退を考えていない現時点では、相手の事など考えてもいないのだろう。
「でも、今週末になって石井も澤田も騒いできたね。俺は小川家騒動って言っているんだけど」
「あいつらも、ここら辺で騒いでおかないと、今回の騒動に乗り遅れるだろう! 参加するのが遅いくらいだよ!」
 マスコミに取り上げられてナンボの世界である。よくわかってないファンがああだこうだとしたり顔で論評するのを横目に、裏では澤田らをスポーツ紙ネタになるようけしかけている兄貴分が垣間見えた。
 9・25『INOKI GENOM 13』は、小川家騒動で始まるのか? 小川vs.澤田。小川vs.石井。小川祭はここからが始まりのようだ。
 出場してもしなくても、とにかく話題の多い小川周辺。最近、話題の少なかったIGFマットだが、今、最も面白いマットとなりつつある。なにしろ前回大会は5月9日の大阪府立体育会館なのだ。試合数が少ないのが残念であり欠点にも感じるが、団体の価値を保つためにも、このペースで試合を開催するという経営陣の判断か? それとも、運営をしていく余裕がないのか?
 
私は最後に聞いた。
「引退はしないよね?」
「しないよ!」
「でも、試合をやらないと引退とか書かれるし、ブログ『見たくない奴は見に来るな!』なんて、本当に言っていたら、ファンも逃げていくよ」
「そうだな。まあ、心配しなくても試合はやるから」
「え? いつ?」
「相撲の試合に出る」
「なんだ? 相撲って!?」
「ぬるぬる相撲」
「はあ? なんだそれ!?」
「TBS感謝祭のぬるぬる相撲!」
「それはバラエティーだろう!(笑)」
 結局、バカ話で終わった今回の会食を終えて感じた事は、『小川引退』などという言葉は、スポーツ新聞が作り上げた空論でしかないと。
 小川自身がどういうシナリオを描いているのか? 今後のIGFは見逃せない様相だ。
                   高尾淳
■ 『INOKI GENOM 13』
日時:9月25日(土)
会場:JCBホール
【対戦予定カード】
ジョシュ・バーネットvs.ティム・シルビア(元UFC王者同士対決)
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