“読み手研鑽”『タダシ☆タナカ+シュート活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』

“読み手研鑽”『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』~ファンタジープロレスの愉悦、シュート活字の鮮烈Ⅱ
 
 “ファンタジープロレス”
 造語として知られる、この意味合いは「最強幻想論」に覆われていた昭和のプロレス、その“曖昧性”を指す。
 “曖昧性”……ガチなのか?ヤオなのか? 勝敗があらかじめ決しているのか?いないのか?、これらを最重要視せず、勝敗論を飛び越え、その背景にある人間関係だとか、その試合へ向け、両陣営が仕掛ける駆け引き等、諸々こそを愉しんで見てみよう!!、ゆえに、そういった観点から記された記述物は“ファンタジー活字”とも呼ばれ、多くのプロレスファンから賞賛されもした。

 その後、往年の新日本プロレス来日外人レスラー、彼らの滞在時の身の廻りの世話を焼く、担当兼メーンレフェリーであったミスター高橋氏ら、多くの関係者によって試合自体の実態や輪郭、中枢がやんわりと或いははっきりと語られるようになり、いまやこの“ファンタジープロレス”という概念はかなり弱まり、その威勢を無くしてしまった。
 もう、ほとんどの現行ファンが「結果が先に有りき」と了承したうえで愉しむ時代が来たのである。
 こういった観点から照らすと、かつての昭和のプロレスが情報開示を迫られるのは時代の趨勢だと考えてよいだろう。

 かすみがかった“あの”試合の一部始終……まさしく自身のプロレス観を改めて紐解かれる事態となり、敢えて誤解を怖れず記せば、それはまことに筆者にはこのうえなく愉しい作業だったと言わざるをえない。
 「やはり、事実はこうだったのか?」
 だが、かつて焦がれたプロレス浪漫の根底にあるものは揺るぎが無いから、“知る権利”を行使するだけだとの想いも強い。こういった意味合いからも『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』はまさしく打ってつけの読み物であるとここに改めて記しておきたい。
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 猪木vs.アリ戦、そののちの様々な検証物こそ、“ファンタジープロレス”“ファンタジー活字”の範疇を成すものであり、中にはしっかりと腰を据え、その全貌解明へと突き進もうとした好書物もあったが、大抵は関係者発表を鵜呑みにした考察のこの字も感じられぬかのような、まがいもの風情の物も数多くあったことも事実であろう。

  『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』
  一部で信じられているがんじがらめルールという作り話
  アリ猪木戦の真実①ケツは決まっていた!
  アリ猪木戦の真実②15Rのフル中継は伝達されていた!
  アリ猪木戦の真実③13Rの攻防はスポットなのか否か
  アリ猪木戦の真実④茶番劇の裏方たち~通訳
  アリ猪木戦の真実⑤茶番劇の裏方たち~ボブ・アラム
  疑問点の徹底検証①がんじがらめのルールとは?
  疑問点の徹底検証②嘘つきなのか間違いなのか?
  疑問点の徹底検証③視聴率という大衆感情操作の魔術
  疑問点の徹底検証④北米クローズド・サーキットの実態

 なんとも扇情的な目次が並んでいるが、昨今のネット社会の形成、ブロガー族の氾濫によって、この目次だけを見て記述したのではないのか?と思わせるかのような記述物も先だって他所で目にした。
 読みもしないのに真相はこうだった!!とか、未だに猪木vsアリ戦においてもこの範疇にて語られている記述物も多く、ネット社会の弊害がこの一戦にまで及んでいるということは、やはり一筆一筆に傾注を傾けていると自負している私なんぞには噴飯ものだったりする。

 敢えて再度、苦言を呈するとするならば、読了のち、自身のプロレス観に照らして「……だが、私はこう、思う」といった按配の反証物ならいざ知れず、ただたんに他所の引用に終始し、二言、三言の見解ごとで文を閉じるならば、誤解認識が広がる一方で、真摯に究明に明け暮れている者たちに失礼ではないだろうか? 
 殊更に糾弾する気まではないが、時代背景が“曖昧性”を許さない今、だからこそ自身のプロレス観や、先の「猪木vsアリ戦」の事実認識が曖昧なまま、論じてはなるまいだろう。

 視点を変えれば、『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』は著作者・タダシ☆タナカ先生並びに+シュ-ト活字委員会の私たち、昭和プロレス者たちへの“挑戦”でもあると思えるのだ。
 ここはまさしくプロレス流に“受ける”形で一気に読了し、自身のプロレス観と照らし、勝敗ごと、論理を新たに構築されてはと、未だ読了されておられない方々には一筆したためておきたい。

 1976・6・26、33年もの時空を超え、語られる「vsアリ戦」の首謀者・アントニオ猪木。
 この一戦にこぎつけた猪木の野望・執念を思うとき、またこうして語られることはやはり“本望”であろうと私には思える次第である。
筆記・美城丈二

 ⇒『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 プロレス芸術とは①大衆感情操作ゲーム』
 ⇒『タダシ☆タナカ+シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦』
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