第33回プロレス文化研究会。難攻不落の如きテーマは「力道山対プロレス」

「力道山」を何らかの形で知りえる者にとってこのシンプルな3文字の響きにはどのような思いがあるのだろうか?
 戦後10年ほどたった頃に表舞台にお目見えしたプロレスリングなる格闘芸術。マット界不滅の鉄人、ルーテーズの自伝のタイトルの冒頭にある「奇怪な世界の・・・」。
 善と悪、光と影の両面を併せ持つ戦後の英雄的人物・力道山、これまでにも家族や側近者そしてライター諸氏により、思い出が語られ、調査もなされ、数々の伝説は色々と紐解かれてはいるが・・・。
08.11.5rikidozanBook.jpg 力道山の日本における約10年間に及ぶジェットコースターさながらの濃密なプロレスラーとしての歩みを中心として、これまでとはまた違った視点をもって考察がなされた単行本が刊行された。数々の力道山物の著作に加えて当時の読売、毎日、朝日の主要3大新聞、それに雑誌の報道記事をふまえ、著者・岡村正史独自の解釈がほどこされた入魂の1冊であるミネルウ”ァ書房刊「ミネルウ”ァ日本評伝選・力道山」が好評発売中である。
 単なる力道山史に終わらせず当時の文化・世相史、無論プロレス史としても一級の仕上がりになっており、数々の力道山物著作を御覧になった方にも充分お勧めしたい内容である。
 力道山に関心があってこれから色々と知りたいと思われている方には当時の時代背景をも知る手引きにもなり、手にとって読むに値する優先されるべき一冊であろう。
 ちなみにミネルウ”ァ書房は正確な史実に基づいた歴史上の人物に焦点をあてた評伝に定評がある出版社とのことだが、プロレスの世界においては力道山が選ばれたこと、ならびにその執筆者には活字プロレスの第一人者で研究者としても知られる岡村正史が担っていることは、プロレス愛好家は大いに誇ってよいであろう。
 去る11月1日(土)に京都三条のル・クラブ・ジャズで開催された第33回プロレス文化研究会は、氏自らのわかりやすい著書の解説を交えた講演であり、集まった研究者諸氏、愛好家にとっては贅沢なひと時を迎えることができた。
 最後にプロレス文化研究会はプロレスの歴史や文化等を深く追求し語り合う場であるということを伝えておきたい。
                                               レトロ狂時代
ミルホンネット刊力道山関連書籍
タダシ☆タナカ『マット界の黙示録☆真正文化史① 54年力道山~沢村忠キックの誕生』
TOSHI 倉森『カリフラワー・レスラーの誇り』アンドレ・アドレーと力道山
週刊マット界舞台裏’07年8月07日号カール・ゴッチ追悼~力道山とのトラブル
誰も書かなかったプロレス興行の仰天裏情報:昭和プロレスの裏側⑤日本プロレスと山口組