[週刊ファイト7月3日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼Sareee朱里下しIWGP女子戴冠 ボジラやはり代々木スターダム転出
編集部編 過去写真などより
・スターダム国立代々木大会!激闘の記録
・「私は逃げない」SareeeついにIWGP女子王座を初戴冠
・Sareeeがアントニオ猪木の墓前で誓った王者の覚悟とイズム継承
・“反則無用”のカオスに覆われた8人タッグ戦、その結末と衝撃の展開
・家族のことで緊急帰国時から「これがマリーゴールド最後」だったボジラ
・ゴッデス王座防衛と正規軍の誇り「未来への確信」
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スターダム国立代々木大会!激闘の記録
■ STARDOM THE CONVERSION 2025
日時:2025年6月21日(土)
会場:東京・国立代々木競技場 第二体育館
<第0試合 シングルマッチ>
○月山和香
9分17秒 ムーンライトドリーム
●姫ゆりあ
<第1試合 フューチャー・オブ・スターダム選手権試合>
[王者]○妃南
12分33秒 マッドスプラッシュ⇒片エビ固め
[挑戦者]●梨杏
※妃南が3度目の防衛に成功
<第2試合 6人タッグマッチ>
水森由菜 ○さくらあや 玖麗さやか
8分47秒 トラースキック⇒片エビ固め
向後桃 儛島エマ ●古沢稀杏
<第3試合 タッグマッチ>
葉月 ●コグマ
9分59秒 冷凍庫爆弾⇒片エビ固め
刀羅ナツコ ○琉悪夏
<第4試合 スペシャルシングルマッチ>
●HANAKO
14分54秒 羅紗鋏⇒片エビ固め
○世羅りさ
<第5試合 壮麗亜美復帰戦 8人タッグマッチ>
●壮麗亜美 レディ・C 八神蘭奈 虎龍清花
16分29秒 スタークラッシャー⇒片エビ固め
○上谷沙弥 渡辺桃 小波 吏南
<第6試合 ゴッデス・オブ・スターダム選手権試合>
[王者]○羽南 飯田沙耶
17分8秒 セブンティーン
[挑戦者]●なつぽい 安納サオリ
※王者組が4度目の防衛に成功
<第7試合 NEO GENESIS vs Mi Vida Loca 8人タッグマッチ(NODQノータッチルール)>
●スターライト・キッド AZM 星来芽依 天咲光由
22分44秒 ジャーマンスープレックスホールド
○鈴季すず 山下りな 青木いつ希 鉄アキラ
<第8試合 IWGP女子選手権試合>
[王者]●朱里
32分49秒 リストクラッチ式裏投げ⇒片エビ固め
[挑戦者]○Sareee
※Sareeeが第5代IWGP女子王者となる
「私は逃げない」SareeeついにIWGP女子王座を初戴冠
2025年6月21日、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されたスターダムの大会において、女子プロレス界の注目を一身に集める一戦──IWGP女子選手権試合が行われ、挑戦者Sareeeが王者・朱里を32分49秒の死闘の末に破り、ついにIWGP女子王座を初戴冠した。2023年3月、アメリカ・WWEからの帰国後、日本マットに再挑戦する形でその存在感を取り戻しつつあったSareeeが、宿願として掲げ続けてきたベルトを自らの腰に巻いた瞬間は、まさに“太陽神”の名にふさわしい輝きと熱気に包まれた。
両者の対戦は、今年3月に開催された自主興行「Sareee-ISM」での30分時間切れドローに端を発している。互いをライバルと認め合う立場で迎えたこの再戦は、前回の消化不良な結末を完全に払拭する、どこまでも削り合い続ける内容となった。試合開始からSareeeは積極的に攻めの姿勢を崩さず、朱里の蹴りに対しても臆することなく前進し続け、グラウンドでの寝技展開にも臨機応変に対応。一方の朱里も、グラウンド式朱雀でSareeeを絞り上げ、ロープ際でギリギリまで粘らせないような徹底した締めを見せ、技術と気迫の攻防が延々と続いた。
25分を過ぎても両者の動きは衰えを見せず、場内には観客の悲鳴と歓声が入り混じった異様な熱量が充満する。そのなかで、試合終盤、Sareeeが頭突きの連打から一気に裏投げを3連発で叩き込み、最後はリストクラッチ式裏投げを炸裂させて朱里から3カウントを奪取。まさに、渾身の一撃で掴んだ勝利であり、感情が剥き出しとなった試合内容に、観る者全てが心を揺さぶられた瞬間であった。
勝利後、マイクを手にしたSareeeは、リングを去ろうとする朱里を呼び止め、「本当に数少ない、絶対に負けたくないと思えるライバル」だと述べ、敬意と再戦への期待を込めて感謝の言葉を伝えた。これに応えた朱里も「負けたけど、必ずそのベルトを取り返す」とリベンジを宣言し、互いを高め合う者同士としての絆と戦う理由を会場に示した。このやり取りこそが、現代の女子プロレスの質と奥行きを体現している場面であり、多くのファンが深く胸を打たれた瞬間であったといえる。
そして、涙ながらにベルトを掲げたSareeeは、「誰が相手でも受けて立ちますよ」「IWGP女子のベルトをもっと刺激的なものにする」と、王者としての責任と覚悟を口にしながらも、自らの闘魂と信念を観客に約束した。その姿は、単なる勝者ではなく、戦いを通じて女子プロレスの“魂”を体現した存在として、多くのプロレスファンの記憶に刻まれたに違いない。
この試合は単なるタイトルマッチではない。過去の因縁、現在の覚悟、そして未来への希望と課題がすべて込められた“物語”であった。Sareeeが“太陽神”と称される理由は、その戦いに真正面から向き合う姿勢にこそある。IWGP女子王座を掲げる彼女のこれからの防衛戦のひとつひとつが、再び女子プロレス界の中心に熱をもたらすこととなるのは間違いない。
Sareeeがアントニオ猪木の墓前で誓った王者の覚悟とイズム継承
2025年6月21日、国立代々木競技場第二体育館で行われたスターダムの大会にて、朱里を32分49秒にわたる死闘の末に下し、第5代IWGP女子王者となった“太陽神”Sareeeが、翌22日、横浜市鶴見区の総持寺にあるアントニオ猪木の墓所を訪れ、自身の戴冠を報告した。IWGPという構想自体が猪木の哲学を具現化したものだという事実を重く受け止めている彼女にとって、この報告は単なる礼儀ではなく、精神的継承を意味する儀式であった。
この訪問には、Sareeeのプロレス観が色濃く表れている。彼女は、父親がアントニオ猪木の大ファンであった影響から、幼い頃より“猪木イズム”に触れて育っており、その生き方や闘い方を体現することを自身の信条としている。彼女が掲げたIWGP女子のベルトは、猪木が掲げた「世界最強を決める」という理念から生まれたタイトルの女子版である。その意味において、彼女にとってこのベルトは、単なる王座ではなく猪木の遺志を現代に引き継ぐ象徴なのである。
総持寺では、猪木家の墓に供花を手向け、猪木像の隣でベルトを高々と掲げながら、Sareeeは「猪木さんにしっかり報告したいと思って朝イチで来た」と語った。その口調には敬意とともに強い覚悟がにじんでいた。彼女は墓前で、「今のプロレス界にもしっかり、戦いのプロレスはありますよ。ちゃんとあります」と語りかけ、「私がこれから先も、戦いのプロレスを守ってつなげていきます」と誓ったという。これは、“プロレスは戦いだ”という猪木の哲学を、次世代が確かに受け継いでいることの証左であり、ただの懐古ではない現代的な意思表示でもある。