[ファイトクラブ]正面衝突NXT圧勝!Cローズ アスカJシナLAナイトUテイカー投入

[週刊ファイト10月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼正面衝突NXT圧勝!Cローズ アスカJシナLAナイトUテイカー投入
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■ WWE NXT
日時:10月10日(現地時間 日本WWEネットワーク木曜以降)
会場:米フロリダ州オーランド Capital Wrestling Center

 すでにアチコチでニュースになり、数字が独り歩きしている風ですらあるが、MLBプレーオフの影響でAEW Dynamiteが今週だけ火曜夜に移動したため、再び裏番組での「火曜生TV戦争」が勃発。結果はNXTの圧勝で平均視聴者921,000に対してAEWは609,000、平均視聴率でも重要な18-49歳デモグラフィック比較でNXTが0.30%なのに対して、本来は若者層に強いAEWが0.26%だった。ちなみにNXTは、もともと「昔からWWE見てます」の50歳台、60歳台がもっとも強固な固定客デモグラフィックなので、そっちで見たらAEWは壊滅的にやられたことになる。

 もっともこれは当たり前であって、いくら前週段階から「来週は火曜です」としつこく念を押そうが、どうしても忘れて見逃した方が少なくないのは仕方ない。ただ、NXTが、アンダーテイカーら事前に告知しなかったスーパースターまで、これでもか、これでもかと投入、だから勝ったと分析しても、それは大きな間違いになる。なんといってもレスリングの質の向上を抜きに、NXT-AEW戦争は語れないからだ。未だに、「プロレスは日本の方がレベルが高い」という神話を信じて、食わず嫌いに陥っている諸氏には猛省を促すしかない。先に、長年SmackDown-Rawを見てきた年季の入ったファン層が、むしろNXTをもっとも楽しみにしているのはなぜか? 
 ボクシングが15Rから12Rに、いや、もっと短いラウンドのも頻繁に行われるようになり、キックボクシングも5Rから、旧K-1が台頭した時代には3Rになったように、大勢の大衆が見る番組を制作するとなれば、どうしても試合時間を短くして、その試合時間合計よりも長いスキットで因縁の抗争アングルの周知徹底を図るようになる。マニアだけ相手では人気大河ドラマ番組にならないから、これは仕方ないフォーマットなのだった。
 そこに不満を感じる昔からのプロレスファンは少なくない。若手の登竜門だからという体裁から尺の長い本格的な試合を見せるようになったのがNXTである。あるいは、そもそもケニー・オメガやヤングバックスなど、新日本プロレスをくぐってきた人材を軸に始まったAEWは、日本流の本格的な試合を見せますというのが当初の売りだった。もっとも、このところは日本のデスマッチ路線で、派手な流血戦を毎週、毎週やり出して、「当初の話と違うじゃないか」との陰口もあったのだが・・・。一方、今週の正面戦争に関しては流血戦ナシで、真っ向勝負していたのは興味深いのだが、この件は長くなるのでこれくらいにしておく。

 さて、本誌は克明に経緯を詳細報道してきた通りで、もう8月頃からニック・カーン社長(AEWのトニー・カーンとは無関係)から「逆転作戦」の指令がくだり、現地9月16日のベッキー・リンチ登場から、すでに詰め将棋がロックオン状態になっていた。予定外だったLAナイトまでレフェリーで登場とか事前宣伝してなかったのだから、視聴者数の差をさらに広げたかもにせよ、こうなることは予想出来たことなのだ。
 
 超右肩上がりで4年間の急成長を遂げたAEWであるが、CMパンクのゴタゴタを持ち出すまでもなく、やや躓きが見え隠れしていたものだ。もっとも、元エッジのアダム・コープランドを獲得するなど、会社組織としてのAEWの危機対処能力の凄さもまた、特筆せねばならない。実際、負け戦(いくさ)がわかっていながら、この正面衝突回、Dynamiteは死力を尽くして徹底交戦した。底力を見せつけたのだ。これは普段の倍の増量ページにて、本誌が詳細してある通りなのである。

 但し、次週のNXTは2週に渡って恒例の『ハロウィン・ハボック』であり、大リーグも終わってもとから視聴者が増えるのみならず、攻撃を緩めないだろうから、この逆転劇は続くと目されている。いずれにせよ、競争が今の新アメプロ黄金時代を作ったのであり、熾烈な戦争はto be continued…真の勝者はプロレスファンである事実が最重要なのだった。


 前振りが長くなってしまったが、番組はゲストGMのコディ・ローズから。なにしろ親父ダスティ・ローデス(定着しているので日本表記)は旧NWAのブッカー(現場監督)として、WAR GAMESや『グレート・アメリカンバッシュ』他、数々のアイデア発案者として知られている。「すでに始まっている女子のBreakoutトーナメントだけでなく、”ダスティ・クラシック”のタッグ杯トーナメントもやります」と。本誌は昭和プロレス回顧のコラムで何度も取り上げている。だから息子コディが、旗振り役に就任したと冒頭の登場となったのだ。


▼既存の内臓疾患にコロナが襲い後期NWAジム・クロケットjr.76歳没

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 そこに現NXT王者イリヤ・ドラゴノフが現れ、さらにマミー、リア・リプリーと、ブーイングされまくるヒールのドミニクが、「皆は俺を見に来ているんだ」と生意気やって、この対決が決まる流れに持って行っていた。うまくやったモンである。
 さらにコディは、「イリヤ対Judgement Dayになってしまうから、特別レフェリーはLAナイトだ」と”決定!”するから、予備知識ナシに見ていた記者は「聞いてないよ~」と同時に、こりゃ次から次へとスーパースターが出てくると悟ったのであった。


 そこでアスカからだったのも喜ばしい。アスカが出ることは事前告知されていたが、ロクサーヌ・ペレスをアスカ・ロックで締め上げたあと、打撃技を連発してフォールした。また戦車で登場はショッツィだ。ちょっとあっちの番組では出番に恵まれてないが、解説席に座ってくれた。『ハロウィン・ハボック』のホストがもっともハマっていただけに、今年はホストの一員として復帰することもアナウンスされた。
 単にジョン・シナが出てくれたから視聴者数が増えたんではない。満足度指数を問うなら、ショッツィや、ちらっとだけだったがティーガン・ノックスも番組出たことの方が嬉しいのである。いや、今週のRAWで1週間延期されていたベッキー・リンチにティーガン・ノックスが挑戦したことはフォロワーは皆さん知ってますって。でも、そんな勝つハズのないマッチメイクよりも、かの50歳、60歳デモグラフィックの固定客にはこっちに出てきた方がニンマリなのである。


 アスカに話を戻せば、実況で「NXTにデビューしてから8年」と言われて、もうそんなに月日が流れたのかと驚いたのと、「NXTでは無敗のまま」が強調されたのが極めて興味深い。


 このカードはオマケ付きで、キアナ・ジャームスが出てきたところをショッツィがガツンとやるのと、負けたが健闘したロクサーヌの手を挙げる絵を作ってくれて、単に数字だけでなく、顧客満足度でも今週はNXTの圧勝を確信したのであった。単にSmackDown-RAWの選手を投入したのではなく、その出番に工夫と配慮があり、構成が実に良く練られていたということです。


 続くPub ruleなる、凶器ありのトリオ戦はBrawling Brutes(ブッチことピート・ダン&リッチ・ホランド)にタイラー・ベイトが加わって、ガラスを成敗するマッチメイク。あえて実況は触れなかったのだが、6人全員が英国人であり、再開のメドがたってないままなんだが、NXT UKを引き継いだのが今のNXTなんだとのアピールにもなっていて、またも練りに練った複雑な構成回なのでした。「Pubなんだから、そりゃ英国だろうに」と突っ込む方がいるかもだが、ダーツ発祥の地として、そのダーツを手に突き刺す場面もあるんだが、そこはAEWとWWEの見せ方の違いであって血は出ません。出しません。


 にもかかわらず、職人の6人が繰り広げるド派手な試合のバイオレンス度は強烈。プロのお仕事は凄いのであります。


 ジョン・シナ様の登場。今宵はカーメロ・ヘイズのセコンドに付くと。ヒールのブロン・ブレイカーと対峙するんだが、「お前はアスリートとして恵まれているし強いが、態度に問題がある」と諭すのです。
 乱闘になりと、試合こそしないものの、さわりをやってくれてシナ様は大サービス。LAナイトも出てきて、メインの布石が打たれたのでありました。

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