[ファイトクラブ]NOSAWA論外 月曜魔術炸裂!ノア『Monday Magic』初回大会を斬る

 動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEの加入者促進企画も兼ねたNOSAWA論外プロデュースの『MONDAY MAGIC』初回放送大会が、2023・10・9新宿FACEで開催された。当日カード発表に加え、一部情報を除き全容が当日まで不明だった興行は、チケット代の安さに反比例するかのような豪華絢爛な面子が多数集う、初回からフルスロットル全開な興行となった。大会後に次回大会のチケットを求めるべくチケット売り場に行列も出来た『MONDAY MAGIC』初回大会の全試合を斬る。


[週刊ファイト10月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼NOSAWA論外 月曜魔術炸裂!ノア『Monday Magic』初回大会を斬る
 photo & text by 鈴木太郎
・会員登録不要初回放送で見せた豪華詰め合わせ
・噂の佐々木憂流迦出ずとも盛り上がり止まぬ会場
・月曜魔術はNOAHの起爆剤となるか?
・GHCヘビー挑戦控える拳王グレート・マミーとの異色マッチ制し本戦弾みへ
・タイトル戦匹敵豪華3WAY制したGLG10・28福岡Jrタッグ挑戦へ
・サプライズ初参戦Marvelous彩羽匠、桃野美桜ら印象刻む女子プロ戦
・動員をマベラーに頼らない強気姿勢
・ジェイク・リー大岩陵平刺激的マッチもLJ・クリアリーGLG入り踏み台に
・豪華主力ヘビー集う6人タッグマッチも勝敗行方は若手Jrに託す
・Terry YAKI顔見せもニンジャ・マック圧勝ハードコア王座決定戦名乗り
・GHCハードコア王座は『MONDAY MAGIC』象徴になるか?


■プロレスリング・ノア『MONDAY MAGIC ep1』
■日時:2023年10月9日(月・祝) 19:00開始
■会場:東京・新宿FACE
■観衆:未発表

 2023・2・21東京ドームの武藤敬司引退興行にて、武藤より一足早い中盤戦でマット界に別れを告げたNOSAWA論外が、久々に表舞台に登場。新たに発足するNOAHの新ブランド『MONDAY MAGIC』のプロデューサーに就任して、全5大会で辣腕を振るう事になった。

 ブランド発足発表時のVTRで意気込みを訊かれた論外は「自信はあるよ」と、2022年1月の『新日本プロレスvsプロレスリング・ノア』で武藤敬司が述べた名文句を引用する形でコメント。大会当日まで全貌は明かされなかったものの、全5大会が行われる新宿FACEのチケット代は全席3,000円~4,000円という破格の料金設定がなされた。
 10・9は真裏に新日本プロレス両国国技館ビッグマッチ、GLEAT後楽園ホールが被っており、どちらもABEMAやYouTubeにて無料視聴可能という状況ではあったが、対するNOAHも初回大会を動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEの会員登録不要で視聴可能という太っ腹な対応を見せた。

 大会前に『MONDAY MAGIC』で判明していたのは、①NOSAMA論外プロデュース、②大会アンバサダーにファンキー加藤が就任、③大会当日の拳王による来場挨拶、といった試合の大筋に関わらない点のみ。全容が大会終了後まで全く掴めない状況だったが、初回大会を見終えて筆者が感じたのは、スピンオフを謳いつつも通常興行の時流に関与してくる、2020年~2021年頃に行われたNOAHのコンセプト興行だったというところだ。

 同時期に新型コロナウイルス禍による無観客興行や配信を余儀なくされていたNOAHでは、ジュニアヘビーだけを集めた『Spotlight』、GHCナショナル王座次期挑戦者決定トーナメント、参戦選手数を絞って組まれた『NOAH the Sanctuary』など、通常興行とは別枠のコンセプト興行を多数配信してきた。思えば、今回のような全カード当日発表の手法は年始恒例の『REBOOT』で既に実施済だし、後楽園ホール以下の規模で初めて組まれたNOAHの女子プロレスマッチやメインの『拳王vs.グレート・マミー』の悪ノリ感は、通常興行だと中々出せなかったし組めなかったカードと言えるだろう。
 専門誌の論外インタビューでは、総合格闘家の佐々木憂流迦の名前も飛び出していたものの、初回大会では試合はおろか、佐々木のサの字すら出なかった。しかし、それでも佐々木の噂を感じさせないくらい興行は盛り上がったし、筆者も指摘されなければ気付けなかったほどである。
 筆者が抱く数少ない懸念材料としては、興行のチケット代の安さや席数の少なさに反比例するかのように、初回から他団体参戦組を多数登用してきた点だ。果たして採算は採れているのだろうか? それとも、先行投資としての意味合いも踏まえた大会なのだろうか? 謎多きMONDAY MAGICの次回大会では、初代GHCハードコア王座決定戦と、2023・1・22NOAH横浜アリーナ大会以来となるグレート・ムタ降臨が既にアナウンス済だ。中嶋勝彦退団に揺れ、ジェイク・リーvs.拳王の10・28福岡GHCヘビー戦で攻めの姿勢を見せるNOAHに、果たして月曜の魔法は勢いをつける起爆剤となるのだろうか・・・?

GHCヘビー挑戦控え拳王グレート・マミーとの異色戦を制し本戦へ弾み

<メインイベント シングルマッチ>
○拳王
(8分24秒 P.F.S⇒片エビ固め)
●グレート・マミー

 大会のオープニング挨拶に登場した拳王が、観客の反応の良さに気を良くした事からメイン出場を宣言した一戦。その相手はグレート・マミーなるミイラ男であった。10・28福岡国際センター大会でジェイク・リーの持つGHCヘビー級王座に挑戦が決定している拳王に謎の選手を当てるマッチメイクは通常興行なら顰蹙と批判を買いそうなものだが、そうならなかったのはスピンオフ興行という特性と拳王の懐の深さに起因する面が大きかったか。

 試合中、逆水平チョップを浴びせて対角のコーナーに相手を飛ばしてエルボーアタックを喰らわせたグレート・マミーにどよめく会場。直後に見せたカッター系統の技の動作で、観客はマミーの正体を見破った。会場から自然発生するコジマコールに、顔を覆っていたマスクを脱ぎ取る小島聡。後半は完全に『拳王vs.小島聡』の様相だったが、P.F.S.で動揺を振り切った拳王に軍配が上がった。試合後、10・28福岡決戦で相対するジェイク・リー率いるGLGが入場口に登場して無言のアピールを見せた事で、本戦に向けた前哨戦の始まりを予感させたのである。

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