[ファイトクラブ]ジーン・ラーベルさん89歳逝去!猪木アリ戦レフェリー「ケーフェイは墓まで持っていけ」

[週刊ファイト8月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ジーン・ラーベルさん89歳逝去!
 猪木アリ戦レフェリー「ケーフェイは墓まで持っていけ」
 by タダシ☆タナカ


 ジーン・ラーベルさん(October 9, 1932 – August 9, 2022)の訃報が飛び込んできた。一般的なプロフィールでは「柔道十段、柔術九段の武道家で、プロレスラーとしても活躍。アリvs.猪木戦ではレフェリーを務めた」となろう。

 多くの格闘家を指導、元UFC女子バンタム級王者ロンダ・ラウジーにも指導(ちょっと大げさ)していたことがあり、UFCではロンダのセコンドについてヒール軍団やっていた姿の方が今のファンには馴染みなのかも知れない。

 本誌は本稿担当含めて歴代記者がロスのオリンピック・オーディトリアムで何度も直接の声も聴いている方なので、89歳の大往生だったのかぁとの感慨は深い。

 もちろん兄のマイク・ラーベルがプロモーター。プロレスラーだったと紹介されることもあるが、セキュリティー係りや受付にいた印象の方が現場感覚になる。ハリウッドの場所柄、のちに俳優としても複数作品に登場。スティーブン・セガールと揉めたとか、ドキュメンタリー系のテレビ番組なら出番は無数にある。2012年制作の『I Am Bruce Lee』では、「ブルース・リーが総合格闘技の父というなら、俺は祖父だ!」と大言壮語をやって、直接知ってる記者は失笑したものだ。


 2012年の頃にはいつの間にか猪木アリ戦が「世紀の凡戦」から「総合格闘技の元祖」に祭り上げられていたので、かの試合のレフェリーをやったジーンさんの言い分にも一理はある。もっとも、巷で定説にされている論旨をことごとく徹底的に破壊するシュート活字による『プロレス芸術とは 徹底検証! 猪木vsアリ戦の”裏”2009&2016-40周年』は、週刊ファイト!ミルホンネットのロングセラー作品なので、「ケーフェイは墓場まで持って行って下さい」だけに留める。
 ほかにも、故・ドン・中矢・ニールセンにも教えたことがある逸話は、『鷹の爪賞2017』にて稲垣收が紹介していた。

ドキュメンタリ映画『350 Days』レッドカーペットにてオリンピック・オーディトリアムのジャケットを見せびらかすジーンさん。photo: Wrealano@aol.com
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 もっとも本誌と近い人物だからといって、美辞麗句だけに終わるのも不味いこと。1976年の私立探偵ロバート・デューク・ホール殺人事件では、ポルノ販売業者と一緒に殺害容疑で起訴されている。本人は「オマケで現場に居ただけ」と主張したが、のちにこれは却下。この3名はビジネス・パートナーであり、仲間割れの裏切り殺人だった。またこの件は大量の盗聴テープがホールの自宅から発見されたことに始まり、それがかのリチャード・ニクソンのウォーターゲートにも繋がるなど、本当のオマケはビバリーヒルズ・コップ長官の辞任劇にまで発展した大スキャンダルに。現地のLAタイムズ紙ではかなり長期に渡って何度も何度も記事にされており、そこでの悪名もあることは指摘しないと空白期間の辻褄が合わないことになろう。
 オリンピック・オーディトリアムは、記者が行っていた時代は異常に治安の悪い地区にあり、そのシマでラーベルさんが裏の顔役だったことは当時から知っていた。あとから伝説の格闘家にされるのは、他でもいくらでも例がある。そういうモンなのである。

 合掌。

※詳細拡大版収録、以下にファイトクラブ公開
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’22年08月18日号G1大阪 ノア旗揚げ記念 宮原VM諏訪魔 訳ありタイヤF Gラーベル追悼

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