[ファイトクラブ]ロンダ・ラウジーWWE複数年契約とTV更改交渉、そして女子革命

[週刊ファイト2月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ロンダ・ラウジーWWE複数年契約とTV更改交渉、そして女子革命
 現地取材!『ロイヤルランブル』アスカ、中邑真輔優勝!『レッスルマニア』へ
 photo by ジミー鈴木 text by タダシ☆タナカ
・サプライズの為に南米から”インスタ映え”!情報漏洩を防いだWWE
・メイン女子革命頂点!昔のDIVA顔見世~アスカ優勝、そしてロンダ様
・フィン・ベイラー、ジョン・シナ、ロマン・レインズ 男ランブルは中邑真輔
・第1試合AJスタイルズWWE王座戦1対2~Kオーエンズ、Sゼイン
・ブロック・レスナー、ケイン、ブラウン・ストローマンの3way王座戦だが…
・TNAジェレミー・ボーラッシュがNXTへ ロンダRAW出ず南米へ戻る
・XFLの挫折を描いたThe REAL放送!そしてビンスはまた100億円を


 現地時間1月28日、フィラデルフィアより『ロイヤルランブル』が開催。メインが女子のランブル戦という構成になり、最後はアスカがベラ・ツインズを蹴散らして優勝。SmackDown王座のシャーロット、Raw王者のアレクサ・ブリスのどちらを『レッスルマニア』で選ぶのかとなった時点で、大型スクリーンにはロディ・パイパーのHot Rodのロゴが映し出され、ジョーン・ジェットの♪Bad Reputationが鳴り響く。「あれ?」「え?」となったところで、映画『マイル 22』撮影のため南米コロンビアにいるハズのロンダ・ラウジーが登場、リング上にアスカら4名が並び、『レッスルマニア』のロゴを指さして終わるエンディングに。男子のランブル戦が3試合目だったことを思えば、WWEの女子革命が頂点を極めたことを象徴する大会となっている。

 大人向けの本誌が繰り返し分析してきたように、現在のマット界、WWEとUFCの最大の収益源は興行収益でもなければ、PPV収入でも、ましてや金額は大きいとはいえグッズ販売でもない。テレビ局からの放送権料なのだ。UFCがズッファ社から邦貨にして約4100億円という高値でWME-IMGグループに売却されたのも、次の契約更改期にさらなる高額契約が見込めると踏んだからこそ。あるいはWWEの株価が本稿執筆時点で34.84ドルと、異常な高値を記録しているのもまた、次の更改期に大幅な放送権料が見込めるという期待感からである。
詳細はバックナンバーに譲るが、そういった背景を活字にせずに、日本のファン目線で中邑真輔とアスカが男女のランブル戦に優勝とか書いても、なんの深淵分析にもなっていない。

 例えば本誌は、『ロイヤルランブル』当夜の裏番組が『グラミー賞60周年記念』だったことをエントリーに入れたが、マット界のニュースじゃない、趣味を書いているんじゃないかと文句を言う方がいる。しかし、果たしてそうなのか? 本誌通信員に関しては、ジミー鈴木記者がフィラデルフィアに向かい、ジョージ・ナポリターノ記者が地元ニューヨークMSGに回帰したグラミー賞の末端の仕事を貰ったこともあるが、当地に合計17年暮らしていた筆者にせよ、MSGやマンハッタンセンターのイベントなら、どこから撮ったら最適から楽屋の位置まで勝手知ったる庭のようなものだから、他ジャンルの仕事を貰いやすいという武器もあるが、それだけではない。要は、プロレスやUFCが市民権を得ている街の生活実感であり、一般ニュースの注目報告である。そこではグラミー賞がどうだったかと、UFCロンダ・ラウジーがWWEと複数年のフルタイム契約をして『ロイヤルランブル』に登場したことが、確かに話題にされたのだ。これがいかに大きなことかは、翌日のWWEの株価であり、最大の収益元である放送権料の契約交渉に大きく影響する以上、避けて通れない話題でもある。

サプライズの為に南米から”インスタ映え”!情報漏洩を防いだWWE
 ロンダ・ラウジーがいかに世間一般に認知されているかは、恐らく日本の感覚からは理解しがたいかも知れない。マーク・ウォールバーグ主演の映画『マイル22』、特殊工作員チームの一員役などメガ作品の出演オファーがひっきりなしというだけでなく、彼女が出てない映画のや海外ドラマの台詞にも、普通にUFCがどうたらとか、ロンダ・ラウジーという固有名詞が会話に出てくることを洋画マニアは知っている。日本で想像されるよりもロンダの名前ははるかに絶大だと考えて欲しいのだ。

 さて、ロンダがWWE入りすることは、本誌のような専門媒体にはもう随分と前から何度も活字にしてある。ブライアン・ケンドリックがLA道場でコーチしていることや、フロリダのパフォーマンス・センターにも習いに来ていることも報道している。よって、『ロイヤルランブル』登場は、サプライズではない。それどころか、女子ランブルはロンダが登場して、無敗街道のアスカに土をつけて優勝するというシナリオが、専門媒体にはまことしやかにアチコチでささやかれていた。
 さらには、アスカが昨年12月になってフィニッシュ技を腕十字に変えた辺りから、ロンダの登場は来年からではなく、年内にも出てくるとも観測され、さっそく本誌は活字にもしたほどだ。しかし、専門誌がそういった細かい情報まで知っているというのと、一般ニュースに「ロンダ・ラウジーがWWEとフルタイム契約」と報じられるのは、また次元の違う話になる。
 だから、『ロイヤルランブル』で誰が勝って負けたかとかよりも、ロンダ登場が一般ニュースに駆け巡ったことや、同じ日にグラミー賞も話題にされと、全体像を見渡して欲しいのである。次回の放送契約交渉のテーブルに、世間に知られているロンダ・ラウジーという駒を揃えたことが、ビジネスとしてのWWEにいかに巨大なことか。

 また、ロンダ本人がESPNに答えたように、「カネだけならもっと違う道があった」と。これは要するにアクション映画のことだ。同じく本誌では、ロック様がすべての映画スターのなかでダントツに世界No.1の稼ぎ頭であることを重要だと報道してきている。アカデミー賞なり、ゴールデングローブ賞といった、作品を評論家などが評価する世界では、アクション映画が作品賞に輝くことなどないのだが、box officeという興行収益に関するなら、大衆がカネを払って映画館に行くのはアクション映画であって、収益配分からもアクション俳優の稼ぎがシリアスなドラマの性格俳優より良いのは仕方がない。グラミー賞が、HIP POPばかりになってきたのも、ようやく実際の売り上げを反映するようになったからという分析もあり、女優の稼ぎNo.1は、『アベンジャーズ』のブラック・ウィドウ役、スカーレット・ヨハンソンだったりする。
 つまり、ロンダはアクション映画に専念したほうが、稼ぎは良いことになるが、彼女は昔からプロレスファンだったし、あまり女優業は楽しんでないらしい。なにしろ、ロディー・パイパーからしゃべりを学んだと公言して、WWEでは“ラウディ”ロンダ・ラウジーのキャラでやっていく。パイパーもまた、”柔道”ジーン・ラベルに習っていた繋がりもある。彼の息子から父親の、ちょっと袖の長いジャケットを貰い、それを着用して出てきている。また、入場曲は♪Bad Reputationがジョーン・ジェットから正式に公認された。
 唯一、専門媒体までもが裏をかかれたのは、本人がインスタグラムを活用して、南米コロンビアの映画現場を投稿、『ロイヤルランブル』は撮影中なので無理との偽情報を流したこと。これで女子ランブルはアスカの無敗街道は止まらず優勝すると、先週号には活字にしたのが本誌である。ところが、男子ランブルが第3試合に始まって、ということは女子ランブルがトリというのは見ていてわかった。日本のやり方と違って試合順まで発表されてなかったこともあるが、ではトリにした女子ランブルには、どんなサプライズがあるのだろうかとやきもきさせたのは事実である。
 30番目に出てきたのはDIVA時代の女神トリッシュ・ストラタス。ママになってとかの情報はマニアは知っていたが、相変わらずの美貌で、観客をがっかりさせなかった点はもの凄いことだとは思うが、正直、これで終わりかぁと思ってトリにしたことを納得させようとしていたものだが、真のサプライズは試合終了後にあったという仕掛けだ。なんでも南米コロンビアの撮影は本当なのだが、前日にひっそりとフロリダ経由で誰にも悟られずに帰国。関係者も固く秘密を守ったために、マスコミも裏をかかれる登場になったことは間違いない。すでにTシャツも売り出したというから、情報漏洩を防いだ点ではお見事だった。


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