山本ヤマモ雅俊の鷹の爪大賞2021:郷愁、悲嘆そして若獅子希望の光

大岩陵平 photo by 西尾智幸

偏見に満ちたMVP:新日本プロレスのヤングライオン、中でも大岩陵平

 スマホのYahooニュースに混じって、新日本の第一試合の動画が出て来る事がありますが、自分はメインどころの選手達の試合よりも数倍の力で映像に引き込まれます。

 坊主刈で黒のタイツにシューズ。
 技と佇まいを制限された中で、だからこそ光る彼らの闘志と、あくまでも基本に忠実に戦う姿は素晴らしいです。
 新日本のヤングライオンの選手の名前は実は大岩陵平選手だけ覚えていて、今の彼は自分にとっては大スターです。

 また現在のプロレスで多用される限界系の大技や場外ダイブは、それが好きだと言う人がいるのは理解出来ます(前は自分も好きだった)が、今の自分のプロレス感にはあまり必要なものではありません。

2021年いまいち選手グレート-O-カーン

 彼がOカーンに変身する前に、ブシロード所属としてキックボクシングJ-NETWORKのアマチュア大会に出場した(自分がリングアナを担当)のですが、対戦相手を全く寄せ付けず1Rが始まって直ぐにノックアウト勝利しました。他のアマチュア選手と確実に一線を画した高いポテンシャルの持ち主で驚きました。

 プロレスデビューの前にいろいろな格闘技で腕を磨いているとマスコミ伝えに聞いていたので、どんな凄い選手になるのか期待していたのですが、格闘の才能があり過ぎるのか、今の彼はむしろそれを変にセーブしている様に見えるのと、また、海外修行で得たキャラクターを活かした「怪物」になりきれていないと思います。
 結果、試合に深みが感じられず、自分的にはまだグリーンボーイのランク止まりです。

ここ数年での不思議な事象:長州力、猪木さんリスペクトへの急な高まり

 ジャパンプロレス旗揚げ時や、WJ設立直前の猪木さんに対するあの罵詈雑言は果たして何だったのかと思うほど猪木さんにラブラブです。

 ただ元々、長州さんは猪木さんへの尊敬の念それ自体は深い方ですから、年齢を重ねて猪木さんと和解してもおかしくはないと思いますが、それにしても極端です。

 また逆に自身の発言や行動に全く一貫性と責任を持たないと言う点で、だからこそプロレスラーとして大成出来たのかもと変に感心したりもします。

’19年07月04日号WWEヤバッ AEW/新日 長州/猪木引退 リアルジャパン 闇営業/逃亡者

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WJに、ビックリした!!
ヤマモvs.茨城清志 ジャパン女子~W★ING復活の軌跡

危機的状況だと思う事:プロレスマスコミの団体・レスラーへの過剰な忖度

 自分はプロレスブームを終わらせた遠因となったのは新日本プロレスが、ターザン山本体制の週刊プロレスを取材拒否した事にあると思っています。

 ターザン山本氏が退いてから、特にメジャー団体に関するマスコミのアプローチはまるで腫れ物に触るよう(週刊ファイトを除く)に見えます。

 例えば他のプロスポーツの野球や相撲などは、不調なチームや力士にはマスコミは容赦なく批判をします。そしてプレーヤーはその批判を跳ね返す為に自己を磨き、成績を上げていくという循環の形があるのですが、ここ数年のプロレスにはそれがほぼ見られません。

 確かにプロレスは特殊な分野であって、起きた事柄だけで単純に物事を語れません。
 また、安易な批判や悪口には何の意味もありませんが、マスコミが団体や選手の在り方を専門的に評論する事をやめてしまって、まるで団体のパンフレットの様な記事しか提供しないのでは、ジャンル自体の切磋琢磨が無くなってしまうと思います。

 このところ、昭和プロレスの振り返りや選手の自伝などの出版物が好調に見えます。

 単なる懐古趣味の美談仕立てではなく、書き手が起きた事象や人物達の行動の善し悪しをちゃんと評論しているので、遥か昔の事とは言え、登場する選手及び関係者達の心情や人間模様がリアルに伝わって来ます。

 その意味では逆に自分のようなオールドファンは、昔の事で未だにリアルに興奮出来るので、かなり幸せな人種だと思います。

▼[Fightドキュメンタリー劇場⑯]ハッキリ言えば取材拒否をくらった第一号は私(井上義啓)ですよ!

[Fightドキュメンタリー劇場⑯]ハッキリ言えば取材拒否をくらった第一号は私(井上義啓)ですよ!

2021年絶対に忘れられない出来事: 風間ルミさん他界

 これは格闘技ライターの布施鋼治氏からのメールで知りました。
 その時に自分は旅先の軽井沢にいたので、眼の前の静かで美しい風景とあまりにもショッキングな訃報のギャップに、その場に立ちすくんだのを覚えています。

 悲しみと共に大変な衝撃を受けました。

 風間さんとはジャパン女子時代から団体やマッチメークの在り方で意見の相違がありました。

 レスラー達にはレスラー達の間でなんらかのすれ違いがあったのでしょうが、自分的にはジャパン女子がJWPとLLPWにセパレートして行ったのは「プロレス観の相違」が全てでした。

 風間さんが亡くなったと知った時に「では俺のヤマモという個性は、一体誰のおかげで成り立って行ったのか」と瞬時に自問自答していました。
 自分は風間さんを否定したり風間さんの対極に居る事で、逆に自分を確立させていた時期がありました。
 風間さんが亡くなってそれに気がつく。
 自分は馬鹿ですが、人生と言う物も全く不条理です。

 とにかく風間さんが亡くなった事が残念です。
 痛恨の極みです。
 御冥福をお祈りするとか、そう言う次元にはまだ自分の気持ちはありません。
 納得し難い日々があれからずっと続いています。

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映画『フィギュアなあなた』

▼本誌追悼収録号
’21年09月30日号AEW制圧NYC RIZIN G1大阪Stardom ブッチャー+砂男ECW復興 風間ルミ


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▼山本ヤマモ雅俊に聞く:業界現状-ファン気質の変化-風間ルミさんのこと

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’21年12月02日号RIZIN沖縄 WWE感謝祭 ゼウス15周年 ヤマモ鷹の爪 NJKF岡山Jキック