RampageブライアンEキングストン四天王プロレス再現に試合中standing ovation

(c) AEW

■ AEW Rampage
日時:10月29日(現地放送時間、録画番組)
会場:米マサチューセッツ州ボストン アガニスアリーナ


 実況席のタズ、エクスカリバーに、リッキー・スタークス、銀髪コスプレのクリス・ジェリコが加わり、番組はブライアン・ダニエルソンが先に、そしてエディ・キングストンが出てくる。一応はトーナメント準決勝なのだが、大人のファンにはそれはどうでもイイ。またまたブライアンが、タイプの違う相手と試合する。果たしてどうなるのか。


 エディは全日本プロレス「四天王プロレス」のVHSを見てプロレスラーになった選手である。そして小橋建太のチョップがブライアンの胸を真っ赤に染めていく。解説のエクスカリバーが「コバシ!」を叫び、ジェリコが「ミサワとコバシだ」と続ける。川田利明のストレッチ・プラムも出てくる。それをわかって受けまくるブライアンが凄い。

 そして試合は神話の域に突入する。これまで試合後に両者の健闘を称え合って会場客が立ってスタンディング・オベーションというのはあることだ。しかし、試合のまだ途中なのに、お客が総立ちになって拍手という光景を2021年に見ることになるとは。しかも、これは「四天王プロレス」へのオマージュなのである。
 なんたる壮観をリアルタイム配信時代の画面に享受していることか。AEWの出現によってWWEとの2強時代が到来し、そこで日本流の展開が行われ、お客さんが感動しているという信じられない情景に、プロレスの神様に感謝としか言葉が見つからない。


 やがて神話劇は、向かってきたエディをブライアンが下から三角締めに捉え、さらに後頭部にエルボーを何度もぶち込むことで、ぐったりした様子を見てレフェリーが試合を止めるのだ。パーフェクトである。


 録画番組のCM明け、FITE TVにCMはなくとも録画番組どこで切ったかはわかるのだが、ブライアンが握手を求めるが、エディはそれを拒否して去って行く。らしいキャラである。タイツを開けた背中には、カップ療法のアザが・・・。以前住んでいたので記者は知っているが、昔は「東洋医学は認められない」と一部の州なんか違法扱いだったくらいで、今もあまり米国では知られてない。カップ療法やって貰うにはチャイナタウンに行かないと医者がいないのだ。どこまでも忠実なる日本のプロレスの研究家たるキングストンなのであった。ここに神話が完結する。


 当初の予定ではサイダル兄弟と、ダンテ・マーティン&リオ・ラッシュ組だったのが、弟の負傷により急遽3度目のダンテとマット・サイダルのシングル戦に。参謀リオ・ラッシュが付いたことで、今度こそ・・・というカードになった。

 例によって両者が飛びまくるのだが、これもイイ試合であり、もはや名勝負数え唄になっている。

 上記左からの2枚は2名のカメラマンが別角度から捉えたものなのだが、最後にムーンサルトが綺麗に決まって、ついにダンテのマット・サイダル越えが果たされるのであった。


 RampageはSmackDownが終了した東部時間の夜10時からなので、当然に冒頭の試合にメインを持ってくる編成になる。今回も女子戦がトリということで、女子部門も力入れてますというアピールなんだが、期待してなかったのが正直なところ。だいたい、ハロウィンだからとどこも何らかの趣向をやるのだが、同じAEWのDynamite、中澤マイケルも着ぐるみに入って場外でちょっかい出すコスプレ8人タッグ戦は、やや悪乗りの展開に。同じ金曜夜8時からのSmackDown、今年は誰がやるのかと思っていたら、なんと中邑真輔がかぼちゃの巨大マスク?被せられて加わっていたものの、試合を専門媒体として評価せよと言われても・・・。
 ところがである。最初は怪奇ギミックのアバドンがトリ抜擢となって、そりゃハロウィンだからこうなるのかと冷ややかに見ていたのだが、なんでもありルールだからと椅子で頭殴られても、ギクっとやって落ちそうになった頭を元に戻す?以下、中でやってる女子選手、異常にタフで凄いのだ。しかも自身が企画するジェリコ・クルーズのプロレスに参加したというアバドン、クリスによると「一日中ずっとあのメイクだった」そうで、プロなのである。素晴らしい。


 もちろんアバドンはレスリングも出来る。結構非情なヒールなのだが人気のあるDr.ブリット・ベイカーD.M.D.があらゆる凶器でボコるのだが、平然とするゾンビでもあるのだ。

 二人して場外のテーブルに落下して、真っ二つに割れるハズになるのだが、これが割れなかったのだ。やる側・作る側から見ている記者だど、思わず画面に向かって「痛ぁあ」と声が出たのだが、さすがプロの二人、咄嗟の判断で再度アバドンを叩きつけてとやるのだが、それでも割れないのである。DynamiteはJRこと大御所ジム・ロスが実況するが、Rampageは選手ばかりの4人なので、なんと「こっちの方がやばい」、「今回の最強はあのテーブルだぁ~!」と、ケーフェイを全国放送でしゃべってしまうのだから二度ビックリ。アバドンは屈強である。


 そしてやっぱり、アバドンがズタ袋をリング下から取り出して、実況が「小さい蛇かも」とか煽るんだが、中身は画鋲なのだった。ベイカーが叩きつけられるのである。この人、歯医者ギミックはリアルで大学院も出ているインテリなんだが、サンダー・ロサ戦といい根性はある。アダム・コールと同棲するようになってレスラーとしては、当初はまだまだグリーン過ぎると揶揄されてたんだが、大流血戦やるようになってから一皮剥けた。また、そうでなければチャンピオンにはなれていなかった。下段の写真は別のカメラマンの違う角度からになる。


 極め付きの残虐なspotが、アバドンの首を椅子に挟んでカーブストンプする場面。パイプが折れてしまうし、やばいことやったのだ。


 さらに、ズタ袋に残っていた画鋲やリングにあるのをありったけすくって、D.M.D.がアバドンの口にねじ込み、そこにお約束ロックジョーとなって、それだけでも新しいパターンと思っていたら、なんと手に噛みついて必殺技をフィニッシュにさせなかったのだ。実況はAEW DARKなどでアバドンの勝率がいかに高いかを紹介していたが、そこまで見てなかったのでこの攻防はまたも「二度ビックリ」である。


 最後は顔面キックをぶち込んで、そうするとまだ口中に残っている画鋲が吹きだすのだが、なんとか丸め込んでのD.M.D.の辛勝に。ただ、録画番組なのでなにを最後の絵にするかは編集可能なのだが、アバドンの顔アップをエンドマークにしていた。アバドン、恐るべしなのであった。

 WWEとの戦争、数字結果はともかく、内容的にはまたもAEWの圧勝であったことは間違いない。


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