AEW2周年Bフィッシュ契約セリーナ志田光50勝目阻止Hペイジ復帰

photo by George Napolitano

■ AEW Dynamite
日時:10月6日(現地時間)
会場:米ペンシルベニア州フィラデルフィア リアコウラス・センター

 AEWが2周年を迎えた。しかも、WWEに肉薄というレベルにまで驚愕の急成長を見せている最中でのアニバーサリー・ショーである。そして選んだ約束の地はフィラデルフィア。お客さんが作る側の望むリアクションをしてくれない場合がある鬼門とされるうるさい客が多い土地になる。本誌はジョージ・ナポリターノ記者を現場に派遣した。


 会場は『AEW DARK』の収録を経てすでに出来上がっていたとの報告だ。そしてエリート軍の新派閥スーパークリック(ヤングバックス、アダム・コール、ケニー・オメガ)と、ジャングルボーイ&ルチャザウルス、現Impact Wrestling王者クリスチャン・ケイジ、そしてブライアン・ダニエルソンのベビーフェイス組が激突する8人タッグの幕が開く。


 なんと素晴らしい試合なことか。超高速で目まぐるしく8人が入り乱れる展開だ。国内プロレスの所属選手の人数調整で顔見世をやる8人タッグとはまるで別世界なのである。こういう業界用語spot-fesの内容を、「打ち合わせプロレスだ」とOld Schoolの古参選手は悪く言う場合が多いが、「だったら師匠が10歳若かったとしても、ここまでやれるんですか?」と問いたい。あるいは「これ全部覚えられるのか」と。8人全員が同じ方向に向いてないと共同スポーツ芸術は完成出来ない、場外にも飛びまくるから大ケガになりかねない順番である。


 ブライアンとケニー”NO BALLS”オメガの絡みが軸ではあるんだが、目立ったのはルチャザウルスだった。大型なのに動ける、飛べる、タッグ屋になっているが十分に凄い試合をやれることを証明したのが強く印象に残った。その重いルチャザウルスを皆で持ち上げてパワーボムで落とすspotは失敗に。ただ、パーフェクトにやれた試合だけが凄いのではない。なにかミスがあった時に、どう対処して何事もなかったかのようにすぐ次に移れているか否か。ここでヒール軍がいかに超一流のプロ組であるかが垣間見えるのである。
 試合はまず、クリスチャンを場外でのツームストーン・パイルドライバーならぬインディ・テイカーで過去に問題のある首をやったことにして3対4になる。最後はヒール4人がBTEトリガーをジャングルボーイに決めて、アダム・コールがフォールを取るというもの。非常に良く練られた刺激的なオープニング・マッチとなった。

 CMパンクのプロモ・セグメントは、多分本人が言い間違ったんだと思うが、フィラデルフィア名物チーズ・ステーキをチーズ・ケーキと言って、なんかそれにこだわってチーズ・ケーキを言うから、シカゴ登場回のように自腹でアイスクリームバーを配ったように、この日の会場客にチーズ・ケーキが帰りに貰えるのかと思った(笑)。まぁ許してやってください。WWEと違って原則自分でプロモ考えてアドリブ交じりでやるAEWなのだから。


 それにしてもパンクは修業時代、「3年フィリーに住んでいた」と、いかにこの地に戻ったことを嬉しく思っているかを語っていたし、あとのセグメントではオハイオ出身のジョン・モクスリーもまた、「ここは俺のホームだ」とやっていた。彼の場合はCZW時代とか、東部地区のインディ団体はニュージャージーやフィリーが拠点なので嘘偽りのない事実になる。

 ちなみに、事前収録のコディ・ローズの新邸宅にて、前週なんか「銃でぶっ殺してやる」とプライムタイム(日本表記ゴールデン)で放送される番組で、そんな物騒なこと言っていいのかと本誌は先に指摘済みなんだが、アーン・アンダーソンがCodyのガウンとかを燃やすスキットも。ハリウッドに傾いたCodyを矯正するということで、出てきたパパのピンクのネクタイも燃えるドラム冠に捨てられてました。


 サミー・ゲバラのTNT王座戦は、やはりというかNXTを解雇されたボビー・フィッシュの初登場となった。本誌独占取材のMLWテーピング、オペラカップの準決勝で、日本でもお馴染みのデイビー・リチャーズに負けた試合は番組収録済みだ。
 試合はGo To Hellが決まっての王座防衛だが、大物を採るだけでなく中堅の職人を加入させるのは層の厚みには重要である。


 もはや恒例となったMMA総本山ATTのダン・ランバート会長らのセグメント。フィラデルフィアにも御一行がやってきました。美貌ペイジ・ヴァン・ザントのカラフルな衣装と胸元に目が行きます。このカットだけ公式写真使います(笑)。
 乱闘になるとクリス・ジェリコらが駆けつけ、フィラデルフィアの客は全員が♪Judasの大合唱となるのだ。凄い光景である。そしてついに、ブラジルのJDSことジュニオール・ドス・サントスのプロレス初試合が発表される。スコーピオ・スカイ&イーサン・ペイジと組んで、インナーサークルとの6人タッグ。UFC王者はもはやプロレス転向がお約束なのか。さらにマイアミ大会では、ジェリコに真空飛び膝蹴りを見舞ったホルヘ・マスヴィダルが最前列で観戦なんだって。いよいよである、そういうことなのだ。


 ダービー・アレンがTHE FACTORYのブルーザー・ブロディ似ニック・コモロトにコフィン・ドロップで仕留める試合は、CMを挟んでいたんで現地では1分も放送されてないと思う。要はそのあとで親分のQTマーシャルまでスティングに急所打ちされるは、スコーピオン・デスドロップ決められるはと散々な目に合うセグメントに。
 ただ、ダービーの別のインタビューのセグメントで、前回にMJFになじられた「飲酒運転でおじさんを亡くして、お前が死ぬべきだった」とやられていたのは事実なんだそうで、だから以来、自分の半分は死んでいるとの骸骨メイクになったと話していた。どっかには出ていたのかもだが、記者は知らなかったなぁ。


 ところでなんだが、今回のDynamite前にトニー・カーン代表から重大発表があると煽られていたので、なんだろうがあったのだが。なんのことはない、すでに有料の専門媒体を購入しているマニアには周知の、女子の2本目のベルト「TBS王座」の新設であった。Dynamiteは2022年から同じグループ内ではあるが、TNTからTBSに移行するのである。もっとも最初の頃のような女子部門は弱いと指摘されてきた時代からはマシになったとはいえ、なんで女子部門に2本のシングル王座なのかは疑問ではあるのだが・・・。
 その他では、若手で売り出し中のダンテ・マーティンが「誰の挑戦でも受けてやる」とプロモやると、場内暗転になって後ろからマラカイ・ブラックというセグメントも。ちなみにしゃべれるし、凄い試合が出来るリオ・ラッシュがダンテ・マーティンを預かるそうで、それは凄いチームになりそうである。また、金持ちキャラになったリッキー・スタークスが、ブライアン・ケイジとの「フィラデルフィア・ストリートファイト」をアピールしていた。これは引き続き現地で収録されるRampage用だろう。


 さて、お待ちかねの志田光の50勝目を賭けたセリーナ戦である。ちょうどAEWの2周年目とも重なった。これは重要だと志田光も招かれたコンベンションも本誌は取材したのだが・・・。

 なのでセリーナの必殺セレニティ・ロックになり、志田のヒザをガンガンとマットに叩き続けても返すんだろうと思ったのだが、そのままタップに。あとから思えば、事前に「50勝目になる」と煽られていたこと、花道に記念のガラス製プラークが花道に置いてあり画面に映ってはいたのだが・・・。そのプラークを持って試合後も志田の頭を殴るのだ。セリーナのヒールターンである。

 担当エージェントのオメガさん、そう考えましたか。思い出せば、途中で志田がリング下からパイプ椅子を取り出し使おうとして、セリーナがそれをリング下に戻してしまうのだ。当然フィラデルフィアの客は大ブーイングである。つまり、すべては計算されていたのだ。これで50勝目は持ち越しに。なるほどなのであった。


 番組トリがAEW独自のカジノ・バトルロイヤルだ。ランブルのような時間差登場でもある。勝者がオメガのAEW世界王座に挑戦できる権利を得る。試合はオレンジ・キャシディvs.PACから始まり、アンドラデ、マット・ハーディと続く。ハシゴマッチは見飽きたと思うかもだが、なかなかどうして、パイプ椅子もテーブル壊しも出てくる展開は、こんなのあったっけ?と斬新なspotをこなしながら派手になっていくのだ。


 続いてランス・アーチャー、ジョン・モクスリーが例によって客席から登場するとランスが客席に出迎えの襲撃に向かう。そして最後に登場はJOKERというAEW流の隠し玉なのだが、音楽が鳴って大歓声に包まれての登場はハングマン・ペイジである。トニー・カーンの重大発表は肩透しだったのだが、ここにサプライズが用意されていた。日本でも男も「育休」を取りなさいという風潮になりつつあるが、フィラデルフィアでの復帰だったとは・・・。ちょうどダークオーダー軍も仲直りになったことが番組中のセグメントでも念を押されていた。
 PACにはデッドアイ、MOXはハングマンにパラダイムシフトを見舞うが、場外では狂人ハーディがテーブルに寝かせたオレンジ君にレッグドロップで二人とも場外のままに。


 そしてペイジがトップロープ超しの豪快なバックショット・ラリアットでランスを場外に追い払う。最後はMOXだったが、ラダー上で振り落とすとカウボーイがゆっくりと頂上へ登った。大満足のHappy Endingである。AEWは特に最初と最後に凄いカードを組み込んで2周年アニバーサリー大会を成功させた。


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