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直前回のNXTにてメインの三つ巴戦を戦う紫雷イオ、リア・リプリー、シャーロットの煽りビデオが流された際、やはり今回はイオだと確信、射程圏内にロックオンしたことを本誌6月11日号に滲ませているが、現地米国の専門媒体は揃って違う予想をどこもしており、そうかなぁ?だったのだが・・・。
もっとも外れてくれた方が「なぜこうなったか」で大騒ぎできるのであって、またも百発百中を続けてしまうと面白くもなんともないと嫌味を言われてしまう始末。ただ、世界最高の女子部門を誇るNXTにおいて、紫雷イオが戴冠したことはやはり快挙には違いない。実際、試合順を見てもおわかりのように、男子の王座戦アダム・コールの録画中継試合、キャリオン・クロスがテイクオーバーの顔トマソ・チャンパ親父を下すカードがセミ、そして女子トリプルスレッドがトリなんだから、結局論客たちをも満足させるメインは至宝女子王座戦に任せられた通りなのである。
そして、3選手はその期待に応えたのだから素晴らしいことだ。負けたリア・リプリーは恐らくRAW入りだろう。来年の『レッスルマニア』ではメインになっているに違いない。お勤めを果たしたシャーロットは役割を果たしてくれた。もう落ちることのない格は変わらないのだ。若くして天才を称賛された紫雷イオは、フィオナ・アップルよろしくそこからが長く待たされたが、Extraordinary Machineと化してのWWEでの「第三章」が始まった。運命を肯定して新たな航海に挑む。
PPV特番としては25年前のIn Your Houseよろしく短くまとめてあり、司会にトッド・ペティンギルが戻ってきたのは昔のも見ている者には喜ばしいこと。風貌が余り変わってないのは凄いことだ。大会はこれは意外とか名勝負があったわけではないが、前日UFCのような無観客大会仕様が目立つこともなく、選手観客の声援といいコンパクトに楽しめた感がある。
■ WWE NXTテイクオーバー:イン・ユア・ハウス
日時:6月8日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド パフォーマンス・センター
<第一試合 6人タッグ戦>
ショッツィ・ブラックハート ○ティーガン・ノックス ミア・イム
9分50秒 シャイニエスト・ウィザード
キャンディス・レラエ ●ダコタ・カイ ラケル・ゴンザレス
最初に出てきたのはミニ戦車に載ってきた緑髪のショッツィ・ブラックハート。実況マウロ・ラナーロは女版イギー・ポップだと・・・キャンディスの両腕を極めたブリッジは絵になった。
最後はティーガン・ノックスとダコタ・カイの抗争続きという順当だった。
<第2試合 シングル戦>
○フィン・ベイラー
13分07秒 クー・デ・グラ
●ダミアン・プリースト
◆ベイラーがクー・デ・グラ2連打もダミアン・プリースト存在感
フィン・ベイラーが因縁のダミアン・プリーストと「NXTテイクオーバー:イン・ユア・ハウス」で激突した。ベイラーはゴング前からドロップキックでプリーストに襲い掛かって先制すると、プリーストもクローズラインからのファルコンアローを決めて反撃。さらにプリーストは2ndロープからのチョークスラムでベイラーを追い詰めたが、ベイラーが放ったエルボーでプリーストが鉄製ステップ上に倒れ込んでダメージを受けると最後はベイラーが必殺のクー・デ・グラ2連打でプリーストに止めを刺して3カウント。勝利したベイラーは倒れ込んだプリーストを指差しながら見下ろした。但し、負けたプリーストが明らかに目立ち、むしろ格が上がっていた。
<第3試合 NXT北米王座戦>
[王者]○キース・リー
20分35秒 ビッグバン・カタストロフィ
[挑戦者]●ジョニー・ガルガノ
※リーの王者防衛
客席とリングサイドのSocial Distanceプラスティックの壁を突き破って小さいガルガノが吹っ飛ばされるなど、予想される展開は全部やったのだが、やや尺が長すぎたかも。
<第4試合 NXT王座戦>
[王者]○アダム・コール
14分55秒 パイプ椅子山積み上でのパナマサンライズ
[挑戦者]●ベルベティーン・ドリーム
※コールの王者防衛
プリンスのギミックのドリームは赤いコルベットではなく黄色いスポーツカーで登場。コールは車体を異常に高くした改造モンスターカーだ。
お約束で車が破壊されるなど予算もかけられ、試合は編集も出来るから凄い内容になればトリにすることも出来たのだが、レスリング重視なら正直イマイチだったかも。ただ、絵的には目新しいことは間違いなく、この週末、またも日本の報道番組と海外のBBCやCNNがあまりにも大きく違ったことまで言及すれば、ユニークなエンタメ試合で現地日曜夜を満足させたことは評価しないといけない。
例によってリング下からデクスター・ルミスがあらわれて、アンディスピュティド・エラの助っ人を片付けるとか都合よくやっていたがそこは不要かも。公式写真はコールが車のウインドワイパーかなにかで腕を切ったのか流血なので白黒になっているが、収録が長引いたのか最後はカラーになっている。つまり、録画で少しづつやったということに他ならない。
<第5試合 シングルマッチ>
●トマソ・チャンパ
6分10秒 クロスジャケット
○キャリオン・クロス
スカーレットと一緒に盛り上げる決まった入場曲といい、キャリオン・クロスが怪物というのを見せしめたカードに。Impact Wrestlingではうまく売り出せていなかったことにもなる。トマソ・チャンパが受け役で役割を果たしてくれていた。
実況のマウロ・ラナーロがトシアキ・カワダ以下、日本選手の名を次々に出して、しまいには「UWFI(Uインター)のスタイルだぁ~!」と、「武士道」刺青のクロスのシュート・レスリング殺法を持ち上げるのが妙にはまる。サイトー・スープレックスの使い手であり、最後は親父を締め落としたのであった。
<第6試合 トリプルスレッドNXT王座戦>
[挑戦者]●リア・リプリー
17分35秒 フィギュアエイトを決められたリアにムーンサルト
[挑戦者]○紫雷イオ
※もう一人は[王者]シャーロット
※イオが新王者
◆紫雷イオが三つ巴戦を制して念願のNXT女子王座を初戴冠!
“漆黒天女”紫雷イオが「NXTテイクオーバー:イン・ユア・ハウス」のトリプルスレットNXT女子王座戦で“女王”こと王者シャーロット・フレアー、因縁のリア・リプリーとの死闘を制し、ついに念願のNXT女子王座を初戴冠した。
ゴングが鳴るとお互いを警戒して睨み合う3人だったが、シャーロットがクロスボディを放ったイオをキャッチして投げ飛ばすと父直伝のチョップを叩き込んで序盤を圧倒した。イオも負けじと619やダブル・ストンプをシャーロットに決めると、リアにはスプリングボード・ミサイルキックや串刺しダブル・ニーで反撃。場外戦ではリアが植木鉢をシャーロットに投げつけてラフファイトとなると、イオがお家セットの屋根上から豪快なクロスボディを2人に放って激しい攻防を展開した。
さらにリアがスーパーリップタイドでシャーロットを追い詰めればこれをイオがカット。続けてリアが必殺のプリズムトラップでイオを捕まえると、今後はシャーロットがノーDQルールを利用して持ち出した竹刀で2人を滅多打ち。これで2人にダメージを与えたシャーロットはリアをフィギュアエイトで捕まえてタップ勝ちを狙ったが、最後はこの隙にイオがコーナートップから必殺のムーンサルトをリアに叩き込んで3カウント。接戦の三つ巴戦を制したイオは「次のNXT女子王者になる」の宣言通りに悲願の初NXT女子王座戴冠を果たし、祝福の紙吹雪が舞う中でコーナーに登って王座ベルトを掲げた。
WWE選手をキャラに使ったアイスクリーム・サンドの宣伝が随所で笑えたことも印象に残る。つまりこの御時勢でも、大口スポンサーがいたから単独PPV特番を日曜夜にやれたということ。WWEの底力が見えた大会となった。
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’20年06月18日号紫雷イオInYourHouse 新日再開 川上スターダム 初代虎SS 昭和回顧