CharaExpo USA 2018盛況! ケニー・オメガ泣かせる強行参戦は残留宣言か!?

 11・10&11にアナハイムコンベンションセンターでブシロード北米進出の橋頭堡、『CharaExpo USA 2018』が行われた。
 日本政府からの援助も取り付け(CharaExpoに金魚すくいを持ち込むお役所仕事はご愛敬)、TBS、電通、アニメイト、アニプレックス(ソニー系列のアニメ会社)といった企業を伴って日本企業発のアニメ・ゲーム・マンガのキャラクターを大々的に発信した形。ジャパニメーションと言われるぐらいに世界中に浸透している日本のアニメ。実際制作されるTVアニメの本数自体は増えているが、制作するプロダクション個々の予算が増えるでもなく、ブラックな体質が蔓延して現場は慢性的にマンパワーが不足して死屍累々といった惨状だ。

 本来であれば長引く不況で個人消費が冷える国内市場の穴埋めを海外市場で補うべきところだが、ネット時代の弊害としての海賊版の横行と、権利関係を現地のライセンサーや大手配信サイトに安く買い叩かれるダブルパンチで国内への利益の還元がままならない現実がある。 
 そんな中、北米進出にあたって、TCG(トレーディングカード)の『ヴァンガード』、アプリとライブというしっかりしたマネタイズのできる『バンドリ! 』プロジェクト、新日本プロレスという、不安定なアニメパッケージ以外の方法で収益を上げる戦略は流石ブシロードといえる。
 今回の『CharaExpo USA 2018』にしても、アニメのキャラクターや映像を告知するというよりは、声優による握手会やトークショー、ライブなど、実際に会場に来る事自体にしっかり意味づけを持たせている印象が強い。



三森すずこが登場した『少女歌劇レヴュースタァライト』のトークステージ。宝塚への夢叶わず、ディズニーのミュージカルに出演していた少女の三森すずこが、本場アメリカでミュージカル女優になるという、シンデレラストーリーの側面もある。


木谷オーナーの整理券もアッと云う間に無くなった『大握手会』

相羽あいながボーカルを務めるバンドリ! プロジェクトのRoselia

同じくバンドリ! プロジェクトのガールズバンドRAISE A SUILEN

 そんな中、新日本プロレスは立ち見を無料で開放して、普段プロレスを観戦する機会の無い新たなファン層獲得に注力した。
 2日目のメインである台試合はケニー・オメガがデビッド・フィンレーとシングルで対戦。場外でブレーンバスターも見舞うハッスルぶりで特別興行を締めた。

■ 新日本プロレス Lion’s Break Project1
日時:11月10日(土) 開場10:00
会場:アメリカ・アナハイムコンベンションセンター ホールB

<第1試合 10分1本勝負>
△カール・フレドリックス
 10分00秒 時間切れ引き分け
△アレックス・コグリン

<第2試合 10分1本勝負>
●ロッキー・ロメロ
 9分24秒 前方回転エビ固め
〇田口隆祐

<第3試合 20分1本勝負>
●獣神サンダーライガー
 8分40秒  Prima Nocta⇒片エビ固め
〇デビッドフィンレー

<第4試合 30分1本勝負 スペシャルシングルマッチ>
〇後藤洋央紀
 12分54秒 GTR⇒片エビ固め
●ACH

※第4試合で後藤とシングルマッチが予定されていたジェフ・コブが、飛行機遅延のため欠場。第3試合のデビッド・フィンレー&獣神サンダー・ライガーvs.クラーク・コナーズ&ACHがライガーvs.フィンレー、第4試合でACHvs.後藤戦となった。ヘビー対Jr.戦士のシングルマッチ2試合を観れたファンはラッキーだった。

日時:11月10日(土) 開場10:00
会場:アメリカ・アナハイムコンベンションセンター ホールB

<第1試合 10分1本勝負>
〇ACH
 5分08秒 ジャーマンスープレックスホールド
●カール・フレドリックス

<第2試合 10分1本勝負>
〇獣神サンダー・ライガー
 5分09秒 脇固め
●クラーク・コナーズ

<第3試合 15分1本勝負>
●ロッキー・ロメロ 後藤洋央紀
 17分15秒  ツアー・オブ・ジ・アイランド⇒片エビ固め
〇ジェフ・コブ 田口隆祐 

<第4試合 30分1本勝負 スペシャルシングルマッチ>
〇ケニー・オメガ
 12分41秒  片翼の天使⇒片エビ固め
●デビッド・フィンレー

 注目したいのは、試合後のケニー・オメガのマイクアピール。なんと当初出場予定のなかったケニー・オメガの方から新日本プロレスに出場を直訴して乗り込んで来たのだという。

 さらに恒例の「Good-bye and Goodnight」を「Good-bye and Goodnight Bang-Dream! 」と言い換える心憎い演出で魅せた。
 この辺りは木谷オーナーとしては感涙ものの心配りだろうが、同時にここ最近のWWE転出説への間接的な否定のようにも思える。


 
 金銭的、あるいは世界的なステータスを考えれば、現状、新日本プロレスは逆立ちしてもWWEには適わない。中邑真輔は転出時に木谷オーナーに
「お金じゃなく、世界最高峰に挑戦したい」
という様な意味の事を語ったそうだが、ギャラ以外の部分でも負けているとなるとますますWWEからの誘いを断らせるのは困難だ。
 だが、新日本プロレスがWWEに唯一勝る部分があるとすれば、それは親会社が日本有数の、つまりは世界でも有数のキャラクタービジネスの企業であるブシロードだという部分。無論、キャラクタービジネスでもディズニーなど北米の企業に比べれば世界的なビジネス規模としては余りにも脆弱なもの。しかしプロレスラーとしての原点が日本の格闘ゲームにあるケニー・オメガにとって、キャラクターといえば日本のアニメやゲームなのだ。
 既報の様に、ケニー・オメガは11月末にリリースのブシロードのアプリ『九州三国志』にも登場。後漢の中国大陸の風景に金髪青眼のケニー・オメガが登場する事には驚きを禁じ得ないが、ゲーマーにとって最もしっくりくるプロレスラーはケニー・オメガである事も確かだ。

 新日本プロレスの北米侵攻に欠かせない絶対エースのケニーオメガ。失えば新日本プロレスにとって片翼をもがれるどころの騒ぎではないが、ことケニー・オメガに限っては、新日本プロレスを、というよりはブシロードを自ら離れる事は無いのではないか、そう改めて思わせる『CharaExpo USA 2018』だった。
 それは同時に、新日本プロレスがWWEに互して闘う為に必要なものがなんであるかを指し示しているとも言えるのだ。
 
 

 


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