[週刊ファイト06月18日]期間 [ファイトクラブ]公開中
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▼本誌顧問・ターザン山本が新日本プロレス株式譲渡ニュースに提言!
ターザン山本公式 編集部編
・ターザン山本「売り逃げ。素晴らしい」に見る新日本プロレスの転換点
・ターザン山本が投げ込んだ“成長の限界”という爆弾
・テレビ朝日とサイバーエージェント――ターザン山本が見ている「次の時代」
・ターザン山本が問いかけるプロレスの価値
・ターザン山本が本当に見ているもの―変化の瞬間に立ち会う面白さ
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ターザン山本「売り逃げ。素晴らしい」に見る新日本プロレスの転換点
※本稿は2026年6月7日にターザン山本氏がSNS上で発信した内容をもとに、その発言の背景や思想を考察したものである。記載されている見解はターザン山本氏の発言や過去の論調から読み解いたものである。また、ブシロード、新日本プロレス、テレビ朝日、サイバーエージェント各社の経営判断や意図を断定するものでもない。
「売り逃げ。素晴らしい。」
この一言に、多くのプロレスファンは驚いたのではないだろうか。
ブシロードが保有する新日本プロレスの株式をテレビ朝日とサイバーエージェントへ譲渡したニュースに対し、ターザン山本氏は次のように投稿した。
「ブシロードが新日本プロレスの株をテレビ朝日とサイバーエージェントに売った。これはある部分、売り逃げ。素晴らしい。別の見方をすると日本のプロレスはビジネスとしての限界を感じた。その判断とも取れる。では、これからのマット界はどうなるのかだ。面白い!」
一見すると過激で挑発的な言葉に見える。だが、長年ターザン山本氏の文章や発言に触れてきた者であれば、この「売り逃げ」という表現を単純な批判として受け取ることはないだろう。
なぜならターザン山本という人間は、昔から経営者や興行主の判断を道徳論で裁くことを好まなかったからだ。むしろ彼は常に「勝負師」として経営者を見てきた。プロレスラーがリングで勝負するように、経営者もまた市場で勝負する。その結果として利益を得ることもあれば、撤退することもある。その判断そのものを善悪で語るのではなく、「面白いか」「時代を映しているか」という視点で見てきたのである。
だからこそターザン氏の「素晴らしい」という言葉は、ブシロードへの皮肉ではなく、むしろ経営判断としての鮮やかさに向けられた評価と解釈することができる。
考えてみれば、2012年にブシロードが新日本プロレスを買収した当時、団体は現在とは比較にならないほど厳しい状況に置かれていた。格闘技ブームの余波は残り、地上波テレビからは遠ざかり、業界全体が縮小局面に入っていた時代である。
しかしその後、新日本プロレスはV字回復を果たした。東京ドーム大会は定着し、海外進出も成功。グッズ販売や動画配信事業も拡大し、プロレス業界のトップブランドとして国内外で存在感を高めた。結果だけを見れば、ブシロードによる新日本プロレス経営は大成功だったと言っていい。
だからこそターザン氏は、その成功物語の最終章として今回の株式譲渡を見ているのではないか。事業というものは永遠ではない。どんなに成功した投資にも出口がある。むしろ投資家や経営者にとって最も重要なのは入口ではなく出口である。
いつ参入するかよりも、いつ去るか。どこで利益を確定させるか。それを見誤れば、どれほど成功した事業でも失敗に変わる。ターザン氏の言う「売り逃げ」とは、まさにその出口戦略を指しているように思える。
もしそうだとすれば、この発言の本当の焦点はブシロード批判ではない。むしろ逆である。なぜブシロードは今、このタイミングで株式を手放したのか。そして、その決断の背景には何があったのか。ターザン氏が本当に興味を持っているのはそこだろう。
だから投稿の後半で彼はさらに踏み込んでいる。
「日本のプロレスはビジネスとしての限界を感じた。その判断とも取れる」
ここから先が、この問題の核心である。
新日本プロレスは成功した。だが、その成功は今後も右肩上がりで続くのか。国内市場はどこまで拡大できるのか。チケット価格はどこまで上げられるのか。動画配信サービスの会員数はどこまで伸びるのか。海外戦略はどこまで収益化できるのか。
ターザン氏は今回の株式譲渡を、一企業の所有権移転としてではなく、日本プロレス界全体の成長限界を示すシグナルとして見ている可能性がある。
そしてだからこそ最後に「面白い!」と書いた。悲観ではない。失望でもない。むしろ大きな時代の転換点に立ち会う興奮である。
新日本プロレスを中心に回ってきたこの十数年の物語が終わり、新たな物語が始まろうとしている。ターザン山本が見ているのは、その先の未来なのである。
ターザン山本が投げ込んだ“成長の限界”という爆弾
ターザン山本氏の発言が興味深いのは、「売り逃げ」という刺激的な言葉そのものよりも、その言葉に対するファンの反応が真っ二つに割れたことだろう。
SNS上ではすぐさま議論が始まった。
「ブシロードのおかげで新日本プロレスは復活した」「倒産寸前だった団体をここまで成長させたのだから十分すぎる功績だ」「売り逃げという表現には悪意を感じる」。
そうした反論は決して少なくなかった。実際、その指摘は間違っていない。2012年にブシロードが新日本プロレスを買収した時点で、団体は決して安泰とは言えない状況にあった。そこから14年間をかけてブランド価値を高め、東京ドームを満員にし、海外市場を開拓し、動画配信ビジネスまで確立した。プロレス史全体を見ても、ここまで見事な再建劇はそう多くない。だから多くのファンは「売り逃げ」という表現に違和感を覚えたのである。
しかし、興味深いのは一方でターザン氏の見方に共感する声も少なくなかったことだ。
「最後の売り時だったのではないか」「ここからさらに大きく伸びるイメージが見えない」「コンテンツとしての価値がピークに達したタイミングかもしれない」。
そんな意見も目立った。
これは単純なブシロード支持か反ブシロードかという話ではない。むしろ、多くのファン自身がどこかで感じていた疑問が表面化したとも言える。
新日本プロレスは本当にまだ成長産業なのか。あるいは、すでに成熟産業になっているのではないか。ターザン氏が「ビジネスとしての限界」という言葉を使った背景には、まさにその問題意識があるように見える。
もちろん、「限界」という言葉は誤解を招きやすい。プロレス人気が終わったという意味ではない。新日本プロレスが衰退するという意味でもない。だが、成長率という視点で見た場合、話は別になる。