[ファイトクラブ]プロレスの入場料金は適正か!?他のスポーツと比較して検証する

[週刊ファイト3月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼プロレスの入場料金は適正か!?他のスポーツと比較して検証する
 by 安威川敏樹
・甲子園で最も安い席は大人1,900円、子供600円
・両国国技館で最も安い席は、甲子園で最も高い席よりも高い!
・キャパシティの問題があるが……
・時代は自前の球場(会場)を保有すること
・あらゆる人に楽しまれるプロレス会場は可能か


 先日、本紙の『ファイトクラブ』での記者座談会で、プロレスの入場料金について語られていた。あまりにも高すぎるという苦言が呈されていたのである。

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 実は筆者も以前『ファイトクラブ』でのオフレコ対談で、プロレスの入場料金に関して言及したことがある。筆者もやはり、プロレスの入場料金は高いと感じていたからだ。

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 しかし、プロレス団体にとっても入場料を高くしなければならない事情があるのかも知れない。そのあたりを他のスポーツと比較しつつ、検証してみる。

甲子園で最も安い席は大人1,900円、子供600円

 日本を代表するプロ・スポーツと言えば、やはりプロ野球(NPB)だろう。年間で1チーム143試合を行い、2017年度の12球団平均の観客動員数は1試合当たり約2万9千人。最も多いのが阪神タイガースで約4万2千人、最も少ないのが千葉ロッテ・マリーンズで約2万人となっている。
 NPB本拠地球場の収容人員数は3万人~4万5千人ぐらい。つまりNPBでは年間に143試合も行いつつ、毎試合で満員に近い観衆を集めていることになる。

 一方、プロレスでの平均観客動員数はわかりづらい。団体によってあまりにも差があるし、実数発表ではない場合も多い。
 会場のキャパシティも様々だ。千人ぐらいしか入らない体育館から、実数発表になってから約4万~45,000人入るという東京ドームを使用する場合もある。したがって、1試合における対価費用はわかりにくい。

 一応ここでは阪神タイガースと、プロレス界で最も人気のある新日本プロレスの入場料金を比較してみる。タイガースの本拠地球場は阪神甲子園球場で、収容人員数は約4万7千人。
 新日本プロレスの常打ち会場は後楽園ホールで約2千人と表記されるが、リングを置けば実際は約1600人が限界だ。大きな会場では両国国技館の約1万1千人。ドーム大会もあるが、年にそう多くはないので、今回は無視する。

 まずはタイガースの甲子園での入場料金から。甲子園の場合、ネット裏の席は全て年間予約席になっているので、それ以外の1人用の席で最も高いのは、一、三塁側内野席の4,800円(土日祝および巨人戦。平日は4,500円)。
 最も安い席は外野席の大人1,900円、子供600円(平日のみ。土日祝および巨人戦は大人2,200円、子供700円)。
 なお、年間予約席で最も高い、ネット裏中央でグラウンドが間近の席は65万円で、1試合あたりに換算すると約1万円となっている。年間予約席は企業が買い取り、接客に利用するのが常だ。

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 他にも、高校野球期間中は大阪ドームを使用するが、その場合には年間指定席はなく、その部分にあたる最も高い席はネット裏の特等席で10,000円。
 そして1試合だけ岡山の倉敷マスカットスタジアムで行うが、年間指定席にあたる最も高いネット裏の特等席が4,800円という超安値だ。しかも、最も安い外野席は大人1,500円、子供500円に設定されている。地方開催ということで、滅多にプロ野球を見られないファンのために配慮しているのだろう。

両国国技館で最も安い席は、甲子園で最も高い席よりも高い!

 次に新日本プロレスの後楽園ホールでの入場料金を見てみよう。最も高い席が特別リング・サイドで9,000円。甲子園で最も高い席の約2倍だ。リング・サイドでは7,000円となっている。指定席は5,000円だ。
 最も安いのは立ち見で大人が3,500円、小中学生が2,500円。立ち見なのに、子供料金が甲子園の外野席の4倍以上である。

 それでも、後楽園ホールは常打ち会場だけあって、まだ敷居は低い。問題は両国国技館だ。
 両国国技館で最も高い席が、相撲でいう砂かぶり席(溜席)で、なんと16,000円。甲子園で最も高い席の3倍以上だ。
 アリーナA(相撲でいう桝席)が11,000円、アリーナB(桝席)が9,000円である。桝席は4人掛けだが、4人で座るには非常に狭く、リングは間近で見られるものの快適とは言えない。仮にアリーナA席でゆったり座ろうと3人で1桝を独占すると、1人頭で約14,700円になってしまう。
 体育館でいうスタンド席、2F特別席が8,000円で、最も安い2F指定席が5,000円。なんと、両国国技館で最も安い席が、甲子園で最も高い席よりも高いのである。

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