山本雅俊 JWP誕生とフロント考 リキッドルームから新宿FACEへ

皆様御存知のようにプロレスは現在スクランブル時代の真只中で、その興行が団体の提供のものであるのか、或いは一夜限りのイベントであるのか、一見の観客には判別しにくい事もしばしばです。

かつては馬場・全日本、猪木・新日本のように、プロレスの興行を行うのはあくまで団体であり、それ以外の大会はイレギュラーなものとしてマスコミなどに取り上げられる事はまずありませんでした。

しかし、プロレスの人気が凋落して以降プロレスはジャンルとして生き残る為に様々な試行錯誤を繰り返して、結果新日本の様な大規模なものとそれ以外の中小の団体、そしてレスラー自身が運営する自主興行に大別されたと自分は考えています。ただ、業界全体としてはレスラーも含めてプロレスに関わる人達の生活は最盛期に比べるとまだ大きな差がある現状である事は否めません。

以前はレスラーが有名になるとレスラー自身も、また選手を支えるフロントも一般のサラリーマンを遥かに凌駕する収入や待遇が得られた時代が確かにありました。それは、もしかすると欲望に傾いた異常な世界であってその揺り返しが今来ているのかも知れません。
しかし、良かれ悪しかれ。一攫千金のロマンはプロスポーツの世界の大きな醍醐味であり、その世界がぼやけてしまうとジャンル自体のパワーが連鎖的に失われてしまうのは仕方の無い事だと思います。

自分は、どの世界でもそうですがスポーツ・競技或いはエンターテイメントの分野の繁栄の為にはスタープレーヤーの存在は必須であり、尚且つそれを支える優れたサポーター・フロントが絶対に必要で 、選手或いはフロントどちらかの発想だけで登り詰めていくのは非常に難しいと考えています。

プロレスも勿論そうで、アントニオ猪木・新間寿の様な有名な例以外に、表には出ずともプロレス全盛期には各団体・プロモーションにはそうしたレスラーと事務方の好連携が多く存在していました。現在は大半のレスラーが自身の生活を支えるだけで残念ながら精一杯の現状なので、業界に憧れてスタッフとして働きたい人はまず普通の生活や収入を諦める覚悟をしなければいけません。

自分のJWP時代を思い返すと、やはり生き残る為に必死な中でフロントワークとしてプロレスに可能であろう色々な企画や様々な実験を業界内で日々繰り返していました。

プロレス会場としての開拓!新宿リキッドリームと京都KBSホール

その中には勿論、刹那的なアイデアとして時代の中で消化されていったものもありましたが、大半がヒット企画としてファンの支持を得て団体の懐を確実に潤す事が出来たのは事実です。そして自分が正に今のプロレス業界にも貢献出来たと信じ、自分自身の業績として自負しているのは、リキッドリーム(現・新宿FACE)と、主にコンサート会場として使用されていた京都KBSホールの、プロレス会場としての発見と開拓です。
特にリキッドルームに関してですが、既存の体育館と比べてディスコやライブハウスは照明機材と音響設備に関しては比べものにならない程高い水準のものが常備されていて、さらにおしなべて使用料が安い事(当時)。
さらにどのイベント会場も「プロレスの大会開催」の経験が無かったので、規制が体育館ほどプロレスにうるさくなく、こちら側の要望をほぼ100%聴いてくれていろいろな面で融通が利きました。

勿論会場を傷付けたり壊したりと言うのは論外ですので、こちら側も誠意を持って借用し確実に会場の現状維持を心がける事は当たり前だという意識あっての事です。

ひとつだけ問題があるとすればライブハウスには体育館のように観客用の椅子が常備されておらず、お客様にはスタンディング=立ち見を御願いしなければいけないと言う事でした。
お客様に座って頂く為に椅子を外部から借りて並べた場合は、今度はフロアが体育館ほど広くないのでリングを中央にドンと置いてしまうと、それだけ収容人数・動員=売るチケットの枚数が減ってしまうというパラドックスが産まれます。実はこれは今でもクリアしきれていないテーマで、お客さんの「たまには立ち見もいいだろう。」或いは「好きなプロレスだからそれも有り。」という考え方に結局は甘えている形です。


さてその中で、実はここからが本題なのですが、これからフロントとしてプロレスに関わりたいと業界を目指す方々に、ここからの文章は史実として御認識頂きたく思い掲載をお願いした次第です。
白夜書房「BUBKA」の2016年6月号に尾崎魔弓選手へのインタビュー(聴き手は吉田豪氏)が掲載されており、文中に下記の部分があります。

吉田  新宿FACE(新宿リキッドルームを格闘技用に改装したイベントホール) が出来たのにも堺屋(堺屋太一氏=作家)さんが関係してるって聞きましたよ。

尾崎 そうそう。もともとリキッドルーム時代に初めてリングを置いてイベントをやったのがウチ(OZアカデミー)ですから。

という記載があります。
しかし、これは前記の様に純粋な自分のフロントワークの成果です。

リキッドルーム初使用の当時は、OZアカデミーはJWP内のいちヒールユニットであり、このユニットと本隊の抗争の一環としてOZアカデミー主催の大会をやってみたいと自分は考えました。さらに、アナーキーで攻撃的な、OZアカデミーのイメージにふさわしいのは、後楽園などプロレスが頻繁に使用する会場よりも、CLUB、DISCOなどの会場がふさわしいと考え、尚且つプロレスがその会場を使うのが初めてでないとインパクトに欠けると考えた自分は、リキッドルームを思い付きました。

リキッドルームに電話を入れ、プロレスに使用出来るかどうかのコンタクトから始まって各種の折衝を行い、観客の安全確認などを経て、ようやくリキッドルームの許可を得る事が出来て大会開催となりました。
当時はJWPが使用していたリングのサイズが大きく、鉄柱や各パーツがリキッドルームのエレベーターに入りきらず、アルバイトを通常の倍の人数に増員して階段を使い、手作業で搬入していました。あの時のアルバイトの皆さん、搬入・搬出どちらも大変にハードな作業だったと思います。本当にありがとうございました。
さて、改めて明言致しますが、新宿FACEの前身のリキッドルームをプロレス及び格闘技の会場として開発したのは自分・山本雅俊であり、借用名義はJWP女子プロレス=JWPプロジェクトです。
これは事実ですので明確に申し上げておきます。

OZアカデミー命名ヤマモの「クリエイティブでやりがいのある仕事」

しかし、自分は尾崎選手に抗議したいとか彼女が意図的に事実で無い事を言ったとは勿論考えていません。また、新宿リキッドルーム閉鎖に際して格闘技会場へのシフトチェンジを御提案された堺屋先生の功績も本当に大きなものだと感じ、感謝の念に絶えません。
ただ、JWPの長いファンなら大多数の方々にとってOZアカデミー=プロレスの興行を自分のアイデアでリキッドルームで初開催したのは周知の事ですので、インタビュー中の「初めてリングを置いてイベントをやったのがウチ(OZアカデミー)ですから。」という発言には、ちょっと話を盛った感があるのは否めません。
補足ですが「OZアカデミー」というネーミングも自分が発案したものです。

では、何故自分がわざわざ発言の機会を頂き事実にこだわるのかと言えば、それはプロレスのスタッフ・フロントは、やり方や発想によっては確たる収入に結び付ける事の出来る興味深い作業であり、尚且つ充分にクリエイティブで生産性の高いやりがいのある仕事だという、自分の実体験をお伝えしたいからです。
プロレス業界が現状を常に変化させて向上させて行くなら、レスラー以外の人材を発掘する事にも、もっともっと積極性を持って臨んで欲しいです。現在は過去よりもレスラー中心の状況に傾き、フロントワークの成果や史実が見逃されてしまったり、発言のニュアンスや記憶違いで間違って伝わる事で、業界に革新を目指す新しい才能が集まって来ない事態はやはり望ましく無いと思います。
業界で今正に最前線でプロレスを運営されている方々や今後プロレス業界を仕事として目指す方々たちのひとつの知識、あるいは参考として僅かながらもお役立て頂ければ本当に嬉しいです。

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初回限定盤type-B remixed by Fight-Metal,June 2016

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