UFC152  若き最強王者ジョーンズ 4度目の防衛成功

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(C)Photo Courtesy of UFC
※速報中はリロードしてお楽しみください。
 若き最強王者ジョン・ジョーンズ4度目の防衛戦の相手は、元王者で強打のビクトー・ベウフォート。新しくUFCに新設されたフライ級の初代王者も決定する!
 オクタゴンと呼ばれる金網に囲まれた八角形のフィールドで行なわれる、世界最高峰の総合格闘技大会 UFC。全米を中心に世界各国で開催され、世界中の格闘家たちが”最強”を目指しリアルファイトを繰り広げる!
 UFC152のメインイベントでは、4度目の防衛戦となる若き最強王者ジョン・ジョーンズが登場する。ショーグン、ランペイジ、リョート、エバンスといった元王者を次々と撃破し、現在3連続防衛中のジョーンズ。9月1日(現地)の大会で、皇帝ヒョードルを破ったダン・ヘンダーソンと対戦予定だったが、ヘンダーソンの負傷により中止に。今大会で4度目の防衛戦を行なうこととなった。そして、今回の挑戦者ビクトー・ベウフォートも元UFC王者。強烈なパンチでヴァンダレイ・シウバをもTKOしたハードパンチャーだ。今や総合格闘技界の”パウンド・フォー・パウンド(最強)”候補のひとりといわれるジョーンズが過去同様、元王者を仕留めるのか、それともビクトーが王座に返り咲くのか?注目の一戦だ。
 その他、2012年3月にUFCに新設された最軽量フライ級の初代王座を決める決定戦、トップ戦線を争うマイケル・ビスピンとブライアン・スタンのミドル級の一戦など、豪華なカードがそろった今大会を日本時間9月23日11:00よりWOWOW UFC-究極格闘技-で生放送!
WOWOW UFC-究極格闘技-

(C)Photo Courtesy of UFC
ジョーンズvs.ベウフォート 青写真
 ジョーンズは日本時間9月23日、そのライトヘビー級戦線における名声を不滅のものとするべく、オクタゴンに帰還する。挑戦者ビトー・ベウフォートを相手に防衛に成功すれば、連続防衛記録を4とし、チャック・リデルやフランク・シャムロックといったレジェンドと肩を並べるのだ。ジョーンズが昨年9月のクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン戦で初防衛を果たしてからまだ1年すら経過していないことを考えれば、これは驚きの記録といっていいだろう。
 ただ、記録達成について今から考えるのは、早計に過ぎる。確かに下馬評では大きく上回ってはいるものの、勝利は確実ではない。元ライトヘビー級王者で、ヘビー級トーナメントの優勝者であるベウフォートは誰にとっても簡単な相手ではない。もちろんそれはジョーンズにとっても同様だ。さらにいうと、ベウフォートはジョーンズがこれまで対戦した相手のなかで、最も危険なストライカーであることをここに強調しておきたい。

 もちろん、ジョーンズはライトヘビー級史上最も才能に恵まれたファイターだ。しかし10年前は、ベウフォートこそが史上最高の天才だと評されていた。さらに5年さかのぼれば、このブラジル人ファイターはMMA史上最強の男になると期待されていたほどの才能の持ち主だった。
 UFC 12でベウフォートがデビューした時を思い返そう。彼はギリシャ神話の登場人物のような肉体と、マイク・タイソンばりのパンチ、そしてカールソン・グレイシーの黒帯を誇っていた。トレイ・テリグマンとスコット・フェロッゾを倒すのに合計で120秒しかかからず、楽々とヘビー級トーナメントを制してみせた。“天才”の異名も説得力のあるものだった。
 もちろん、ベウフォートがそのキャリアにおいて大きな浮き沈みを経験したのは周知の事実だ。勝てるはずだった試合をいくつも落とし、さらに競技に対する姿勢そのものを問われたこともあった。その潜在能力を最大限に発揮したとは言えないのが現状だ。
 しかし、そのキャリアが終焉に近づきつつあるとベウフォート本人が自覚したとき、すべてが変わった。過去の栄光を捨て去り、ミドル級へ転向する道を選んだのだ。それは疑いようもなく劇的な変化であった。彼は自らと同じ体格の選手たちの対戦を楽しんでいるようだった。それは最初の10年間、ヘビー級やライトヘビー級で戦っているときには味わえなかった感覚に違いない。
 この結果、ベウフォートは6戦で5勝を記録した。しかも、勝利した試合は相手を圧倒した。それは15年前にファンが夢見た彼の将来像と完璧に合致していた。そして再びミドル級王者アンデウソン・シウバと対戦する道を選ぶ代わりに、ダン・ヘンダーソンの代役としてライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズに挑む道を選んだのだ。
 さらに言うと、ベウフォートは代替え出場のオファーを受け入れたというのではなく、ダン・ヘンダーソンの欠場が発覚したあとに、自らUFC側に出場を懇願した。リョート・マチダらライトヘビー級の有力ファイターが出場を断ったあととあって、UFC上層部もジョン・ジョーンズ自身も、快くその挑戦を受け入れた。

 そして、ジョーンズvsベウフォートの一戦が実現した。パウンド・フォー・パウンドに手をかける現王者と、その輝きを取り戻しつつある元王者。ここで再度強調させていただくと、私はベウフォートがこの一戦に勝つことは十分可能だと思っている。この一戦は宝くじのようなものではない。ジョーンズの欠場を狙って、王者の足元にバナナの皮をしかける必要もない。もちろん、ジャッジを買収する必要もない。私の言っていることの意味が分かっていただけるだろうか?
 ベウフォートはジョーンズのあごを狙うべきだ。これはシンプルな話だ。“天才”ベウフォートはその爆発的なパンチでジョーンズをキャンバスに沈めることが勝利への近道であることを、よくよくご承知のはずだ。リッチ・フランクリンを相手にそうしたように、パンチで相手の意識を奪うのか、それともアンソニー・ジョンソン戦のようにパンチからサブミッションへつなげるのか、とにかくスタンディングでの攻防が勝利へのカギを握るはずだ。

 ジョーンズがスタンディングの魔術師であることを考慮すれば、それは絶望的な作戦に聞こえるかもしれない。ジョーンズは破壊力にこそ欠けるものの、ライトヘビー級において最も予測不能かつ効果的な打撃を繰り出せる選手として名を馳せている。さらにジョーンズには大きなリーチのアドバンテージがある。言い換えれば、点数を稼ぐキックボクシングでは、ベウフォートは勝てないだろう。ダメージを受けずに相手にダメージを与えることは不可能だ。打ち合うのは得策ではない。
 だからベウフォートは、すっかりお馴染みとなった最近の彼の戦法に頼るべきだ。それは距離をとって、カウンターを狙うという戦い方だ。35歳で16年のキャリアを誇るベテランであるにも関わらず、ベウフォートは依然としてMMA界でも屈指のスピードを誇っている。つまり、ジョーンズの不用意なジャブや、長いリーチを誇る右ストレートをかいくぐって、決死の覚悟でカウンターパンチを繰り出すべきなのだ。
 そして一度でも効果的な打撃を命中させたら、そのまま一気呵成に攻め込む。ジョーンズはこれまで攻め込まれた経験がない。そのような状況にジョーンズがどのように対処するかは、ジョーンズ自身も含めて誰も知らない。これまでジョーンズはあまりに簡単に勝利を収めてきた。このため、劣勢に立たされた状況への対応力こそが、その能力に対する唯一の疑問符として残っている。
 ただ、ベウフォートは自らがパンチを繰り出す際にも用心を怠ってはいけない。ジョーンズもカウンターを合わせるのが得意だからだ。さらに言えば、ベウフォートはむやみにパンチを繰り出すべきではない。そうすれば、ジョーンズにクリンチするチャンスが生まれ、テイクダウンされる可能性が高まるだろう。ベウフォートはサブミッションの達人だが、ジョーンズにトップを取られたくないはずだ。誰だってその状況には耐えきれまい。

 つまり、ベウフォートはその位置取りに注意しなければならない。しかし、それはベウフォートにとっては難しいことではない。彼は常に慎重に戦ってきたからだ。アンデウソン・シウバに挑んだ際には、3分間は様子見に専念したほどだ。もしベウフォートがジョーンズにカウンターを当てることができれば、彼は2ラウンド以内に勝利することも可能だ。だが、試合が3ラウンド以上にもつれ込めば、勝利のチャンスは薄れるだろう。というのも、ベウフォートは過去10戦UFCで勝利しているが、そのどれもが最初の2ラウンド以内に記録したものなのだ。
 ベウフォートは確かにジョーンズに対して劣勢だ。10回中8回は負けるかもしれない。ただ、王者になるためにはたった1回の勝利で十分で、その1回が週末の一戦で巡ってくる可能性もある。
By Michael DiSanto(UFCオフィシャル コラムニスト) 
UFCオフィシャルページ

■ UFC 152: Jones vs. Belfort
日時:9月22日
場所:カナダ・トロント
<ライトヘビー級タイトルマッチ>
○ジョン・ジョーンズ(王者)
 4R 0分54秒 アームロック
●ビクトー・ベウフォート(挑戦者)
 対戦相手を選び、チェール・ソネン戦を拒否してUFC151を中止させた戦犯として大ヒールと化した絶対王者ジョン・ジョーンズが、現在はミドル級に階級を落としている元ライトヘビー級王者ビクトー・ベウフォートを迎え撃つタイトルマッチ。下馬評は当然、ジョン・ジョーンズが圧倒しているが、声援はこれまた当然、ビクトーも集中する。ビクトーのボクシングを警戒したジョーンズが早々とテイクダウンするが、なんとベウフォートが下から腕十字を極める。普通の相手なら極まっていたのだが、リーチが長いジョーンズは何とか耐えて脱出する。その後はグランドで肘打ちで攻めるジョーンズ。2Rからは、ジョーンズはベウフォートが踏み込めない様に、長い足を利用した関節蹴りで制空権を奪い優位に試合を進めるジョーンズ。ベウフォートもキックを上手く利用して得意のパンチで攻める場面を見せるものの、試合はジョーンズが支配する。ベウフォートは引き込みでグランドに誘い老獪なテクニックで試合を決めさせない。しかし、4R、ベウフォートのハイキックから引き込みを、逆にジョーンズが利用してマット・ヒューズポジション、そしてアームロックを極め遂にジョーンズが勝利した。
 試合後、ジョーンズは1Rにベウフォートに極められた腕十字で腕が麻痺していたと告白。現在も腕の感覚がなく病院に行くと語っている。また試合後も、観客の声援はベウフォートに集中した。相次ぐ欠場や大会が増えた事による注目カードが分散などで、ここ数大会は興行的に落ち込んでいたUFCだったが、今回は超満員となっており、有名人・芸能人もこの試合に注目しているというコメントを出していた。PPVの数字も恐らく良いものになると思われる。ひとつの要因として、北米で高い人気を誇るベウフォートが、階級上の若くて強い王者、しかもヒールキャラとなったジョーンズに挑むという、ロッキーの様なシチュエーションに注目が集まった面もあるのだろう。その為か、選手、関係者からはベウフォートを称賛するコメントが次々と届いている。

<フライ級タイトルマッチ(トーナメント決勝)>
○デミトリウス・ジョンソン
 判定 2-1
●ジョセフ・ベネビデス
 最軽量の階級となるフライ級の王者決定戦。軽量級なので共にWECからUFCへという道のりで勝利を重ね、遂に王座決定戦まで勝ち上がってきた両者。
 試合は、軽量級らしくスピーディな展開で、お互いにラウンド、ポイントを取り合うというジャッジ泣かせの展開。テイクダウンを奪っているのはジョンソン、打撃を当てているのはベネビデスという感じで判定へ。非常に接戦だった為、ジャッジも割れ、スプリットでジョンソンが勝利。初代フライ級王座に輝いた。

<ミドル級>
○マイケル・ビスピン
 判定 3-0
●ブライアン・スタン
 激戦区ミドル級の中でも、タイトル戦線に近いトップ選手2人が潰し合う壮絶なカードが組まれた。
 1Rはスタンドでややスタン有利で、ビスピンはテイクダウン狙いに出る。手こずったもののなんとかテイクダウンを成功させたビスピンだが、スタンが上を取り返し、ラウンド終了直前にはフックでビスピンをふらつかせるスタン。しかし2R以降は、ビスピンのテイクダウンが決まる様になり、グランドで上を支配し、試合のペースを握る。有効打もビスピンがリードし、試合は判定となり、ビスピンが勝利した。

<ライトヘビー級>
○マット・ハミル
 判定 3-0
●ロジャー・ホレット
 2連敗で一度は引退を口にしたが、撤回し、復帰戦となるマット・ハミルに対するは、ローカル大会で連勝しUFCとの契約を勝ち取った地元カナダ選手、ロジャー・ホレットがUFCデビュー戦として登場した。
 試合は1年以上ブランクがあるハミルがスタンドでプレッシャーをかけ、テイクダウンに成功。亀の状態になったホレットをKO寸前まで殴り続けた。その後、2R、3Rもスタミナ切れ気味ながら、テイクダウンして上をキープしたハミルが判定で勝利した。

<フェザー級>
○カブ・スワンソン
 1R 2分40秒 KO
●チャールズ・オリヴェイラ
 名門ジャクソンズMMA所属のカブ・スワンソンと、ブラジル出身、ブラジリアン柔術黒帯チャールズ・オリヴェイラがオープニング・ファイトだ。
 試合は1R、スタンドの攻防で、スワンソンが弧を描くような右フックをオリヴェイラに叩きこみ命中、ワンテンポ遅れてオリヴェイラが崩れ落ち、豪快なKOでスワンソンが快勝した。

プレリミナリーカード
<ライトヘビー級>
○ヴィニー・マガリャエス
 2R 1分14秒 腕十字
●イゴール・ポクライエク

<ライト級>
○TJ・グラント
 判定 3-0
●エヴァン・ダナム

<ウェルター級>
○ショーン・ピアソン
 判定 3-0
●ランス・べノイスト

<フェザー級>
○マーカス・ブリメージ
 判定 3-0
●ジム・ヘテス

<ウェルター級>
○セス・バジンスキー
 1R 4分10秒 KO
●シメオン・ソーレセン

<バンタム級>
○ミッチ・ゲイグノン
 1R 1分09秒 チョークスリーパー
●ワレル・ワトソン

<ウェルター級>
○カイル・ノーク
 1R 0分45秒 TKO
●チャーリー・ブレネマン

詳細版はマット界舞台裏10月4日号Archieve6インリン引退’08初代虎NPW別冊WNC REINA BJW最侠に収録されました。

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