石川直生「俺のための舞台。楽しみでしょうがない」7・17NJKF『15周年記念シリーズ NEW JAPAN BLOOD 7』

 約一年前の7月5日、『K-1 WORLD MAX 2010』63kg級トーナメントの優勝候補とまで騒がれもの、代々木第一体育館で才賀紀左衛門に負けてしまった石川直生。それから連敗したりしてドン底に落ちたかに見えたが、7月17日(日)に後楽園ホールで開催される『NEW JAPAN BLOOD 7』で再起を誓う。
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──試合10日前になりました。練習の調子はいかがですか?
石川 いつも通り10日前はピークで、脱水に気をつけながらいい感じで追い込めていて、いい時期ですよ。充実してます。
──順調なんですね。
石川 はい。減量に苦しむことなく、あと、こういう時ってどんどんどんどん心が孤独になっていくんですけど、自分のコンディションがいい時は前向きないい顔ができるんです。今回はモチベーションがものすごく高いですね。
──タイトルマッチであったり中須賀選手との試合であったり、NJKFという他団体のリングであったり、この試合にはいろんな側面があると思うんですが、一番モチベーションを上げているのはどの要素ですか?
石川 いっぱいあるけど、一番なのは、キックボクシングのタイトルマッチができる。そこが一番高いですね。対戦相手は誰でもいい、とにかく2年ぶりにキックボクシングのタイトルマッチができる。そこですね。僕はタイトルマッチは4回目なんですけど、挑戦者として闘うのは初めてなんですよ。3回ぽっちしか闘ってないんですけど、タイトルマッチは負けたことないんです。そんなのはただの結果論ですけど……ポカが多い選手なんですけど、こういう時は強いですよ。
──5月にリング上での挨拶でも言われてましたが、期せずしてデビュー戦を行った団体なんですよね(99年1月19日、高間秀明戦。3R判定勝ち)
石川 そうなんですよね。デビュー戦だけNJKFでやらせてもらって、そこから本当にいろいろあって、去年はK-1ルールに挑戦してどん底に落っこちちゃって、そこで巡り巡ってキックボクシングのタイトルマッチっていうのが、奇しくもデビュー戦をやらせてもらったリングで。何か、自分のためのストーリーが書かれていて。そこでしっかり主人公を演じるだけですよね、僕は。
──5月に対戦が発表された直後、チャンピオンの中須賀選手が目の前で負けました。あれを見た時はどう思いました?
石川 うーん……。「うーん……」って思いましたよね。「おい、おい、おい、おい!」って。まあ、あり得るし、僕だって去年、周りからしたら負けるわけないだろうと思われるような試合で負けちゃったし、だけどそれが格闘技だし、それがたまたま僕の目の前で前哨戦で負けちゃった「だけ」と言えば「だけ」だし。だけど向こうは向こうでカッコ悪いところを見せちゃったから、気を引き締めてくるだろうし、この試合に向けて気持ちがしっかりしてると思いますよ。
──対戦相手としての中須賀選手はどう見ていますか?
石川 中須賀選手もキャリアはすごく長いし、団体は違えど、ずっと同じ階級で闘ってる選手なんで、ずっと見てはいたし。いつかやるかな、って気はずっとしてました。前にあった「真王杯」っていう大会でも、僕は出てなかったけど決勝まで行って、そこまで僕と闘ったことのある選手(ラスカル・タカ)とかと競い合ってたから、いつかやるだろうという気はずっとしてました。それがたまたまこのタイミングできたという感じですね。強敵ですよ。僕、50戦以上やってるんですけど、自分より身長が1cmでも大きい選手とやったことがないんですよね。4cmだけだけど向こうの方が大きいし、だからちょっと……もちろん対策も練って、相手を想定したスパーとかもしてるけど、本番はどうなるか分からないから、そこは警戒してますよ。準備もいっぱいしてるし。まあただね、そんな準備はプロとして当然なんで。だけど石川直生のキックボクシングをやれば、負ける相手じゃないです。それが自分の冷静な分析ですね。
──5月29日には久々のキックルールでの試合を行いましたが、山あり谷ありの展開になりましたね。
石川 危なかったですよね(笑)。危ない場面もあったし、やっぱりそれが、結果から見ると……1R目はぐらついちゃったし、キックボクシングとK-1の距離感の違いというものを闘いながら感じていこうかなと思っていたんですけど、余裕を持ってやっていたわけじゃないんですが、あんな場面になっちゃって。
──1R、相手のヒザでぐらついた場面ですね。
石川 でも、ヒジが当たる距離、掴んでいい距離、パンチをどのぐらい使えばいいのかとか、K-1とキックだとだいぶ違うんで、割合が。その割合によって距離感が数cm変わってくる。それによってああやって危なっかしい場面が生まれてしまって、でもその後は自分の得意な方に強引に持っていって、倒してしまったんで、そこは反省があるんですけどね。もうちょっと、自分の中で試して、自分のキックボクシングを取り戻した試合をしたかったんですけど、結果から言うと危なっかしいながらも強引に決めちゃったっていう感じですけど。あの反省をすごく踏まえた練習をしていて、取り戻せてます。
(11年5月29日、森重真戦。2R 2:17 TKO勝ち)
石川 やっぱりこの2年ぐらい、ずっとヒジなしの練習をしていて、会長とのミットにしても距離が微妙に合わなかったんだけど、あの試合以降、今は完全にキックボクサーに戻って、いい距離で闘ってるんで。スパーリングとかでもそういうのを想定した距離で闘ってるんで、「戻った戻った」っていうのを感じてます。
──中須賀選手は典型的な「キックボクシングの距離」の選手ですが、そのためにもあそこで1戦やっておいたというのは大きかったんですね。
石川 大きかったですね、はい。ただ本当はもうちょっと、本来の自分が得意なヒジとかを実戦感覚の中で試したかったんですけど、自分が未熟だったせいで試せなかったですね。まあこのタイトルマッチでしっかりと出しますよ。
──今回、WBCムエタイ日本王座が懸かった試合です。少し前まで、まさかこのタイトルに石川選手が絡むとは、という感じでしたよね。
石川 いろんな人から言われました。WBCっていうのはすごく名前があるし、あの緑のベルトは誰でも知ってる。それで、お前に向いてる道なんだからと。NJKFの代表の方にも、「K-1じゃなくてこっちにおいで」ってすごくありがたい言葉をいただいてたんですけど、「今は向いてる方向が違うんで、いつか機会があれば」って言ってたのがこのタイミングで来るとは、って感じですね。
──なるほど。
石川 でもキックボクシングのベルトの価値って、けっこう昔から言われてると思うけど、その団体のベルトの価値とかじゃなくて、誰が持ってるかっていう価値だと思うんですよ。だから俺はWBCムエタイ日本スーパーフェザーのベルトを獲って、まず俺がこのベルトの価値を上げる。俺が持ってるからこのベルトは価値がある。そういうチャンピオンになるつもりだし、そういう試合を経てベルトを獲るつもりだし。そこから先は終わってから考えればいいやと。
──今回、アウェーのリングに乗り込む気持ちというのは?
石川 楽しみしかないですね。結局、リングマットの色と、リングサイドに座ってるお偉いさんの顔が違うだけで、後楽園ホールのリングっていうのは同じじゃないですか。それでも雰囲気が違うっていうのは面白いんですけどね。だけど、よその団体で、よそのチャンピオンを相手に、自分が大トリで一番目立つっていう風にストーリーが書いてあるんですね。それは面白いじゃないですか。
──こたえられないシチュエーションですね。
石川 俺のための舞台だと思ってますよ。これがセミだったらどうしようかと思ってました(笑)。K-1はアウェーって言うより「舞台」なんで、他団体に乗り込んだのはIKUSAぐらいなんですよ。あの時も楽しみでしょうがなかったですね。今回はよその団体でいきなりタイトルを獲らせてもらって、獲ったらどうなるかっていう楽しみがあるわけじゃないですか。もちろん自分次第ですけど、だから楽しみですね。NJKFは僕のことを知らない人もいるかもしれない。そういう人たち、OGUNIジム、NJKFサイドの応援団をこっちに持ってきちゃうこともできるんだろうしね。
──楽しそうですね(笑)。
石川 ですね(笑)。これはモチベーションだけで楽しいんじゃなくて、本当に今の自分の状態がいいから、根拠があるからですよ。
──分かりました。では最後にひと言、次の試合に向けて意気込みをお願いします。
石川 元全日本キックのチャンピオンたちがNJKFに乗り込んでいくと、なぜか今のところ負けてるんですよね。メインイベントで。だけど、俺だけは違う。しっかりアウェーに乗り込んで、ベルトを獲ります。最高のキックボクシングのタイトルマッチをするので、楽しみに見てください。
──ありがとうございました。
■ NJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)
  15周年記念シリーズ NEW JAPAN BLOOD 7
日時:7月17日(日) 開場16:45 開始17:00
会場:後楽園ホール
チケット料金:SRS席12,000円 RS席10,000円 S席7,000円 A席5,000円 B席4,000円
※当日券は各席500円増し。
チケットぴあ(TEL03-5237-9999、TEL00570-02-9977全国共通) 後楽園ホール(TEL03-5800-9999) NJKF事務局(TEL03-6912-7247) 出場選手所属ジム
お問い合わせ:ニュージャパンキックボクシング連盟 TEL03-6912-7247
7・17NJKF『15周年記念シリーズ NEW JAPAN BLOOD 7』中須賀芳徳x石川直生など対戦カード発表
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