都営地下鉄・大江戸線「東新宿」駅のA1出口から、地上へ出る。
脇の小道に入ると、其処は新宿歌舞伎町二丁目。
眼前に広がるのは、都内屈指のラブホテル街。いわば、愛欲の街。
降りしきる雨の中、相合い傘を差したカップルの若者が、ネオンの中に吸い込まれていく。
ラブホテルだらけの街の中に、その地下闘技場がある。
フライヤーの地図のみを頼りに歩を進めるが、そこは同じような造りのラブホテルだらけで、容易に辿りつくことはできない。横殴りの雨の中、足元をずぶ濡れにしながら、狭い路地の間を行きつ戻りつを繰り返してしまう。
迷いに迷った末に、ようやく殺風景なマンションの玄関に、「CORE STADIUM」の看板…もとい、貼り紙を発見する。CORE STADIUM……その正体は、EXIT JAPAN(EXIT日本人勢)の強化基地「新宿ジム」だった! しかしそこには目立った看板もなく、目印は「CORE STADIUM」の貼り紙のみ。フライヤーの地図のみを頼りにここまで来られた人だけが観戦できる、という算段か……。
玄関を抜け、地下に届く階段を一歩一歩降りる。そこに広がるのは……床の上に敷かれた黒いマット! オーストラリアの南端・アデレードで行われた『EXIT-9~11』の時と同じ設定だ。ただしアデレードと歌舞伎町が違うのは……ロープがいつもの鎖ではなく……縄! 縄なのである!
この黒いマットを取り囲む荒縄を拵えたのが、“カリスマ緊縛師”として各界で活躍中の古典緊縛継承緊縛師・春兜京(はると・きょう)。実は偶然にも、カリスマ緊縛師・春兜京と地下プロレスには、ある因縁が存在する。初代総代の故・明智伝鬼の遺志を引き継ぐべく、春兜が「縛友会」(古典緊縛を継承する会)二代目主代を継承したのが3年前。そして、その継承記念パーティーが行われた会場が、お馴染み新宿二丁目『EXIT』だったのだ!
しかしこのカリスマ緊縛師の手による荒縄、いかにもSMチックで禁忌的な雰囲気を醸し出しているが、そもそも緊縛術とは、江戸時代に罪人を拘束するための技術として発達したものがルーツであり、そういった意味では、緊縛もまた、“サムライ・アート”の鬼っ子的存在なのかもしれない。
CORE STADIUM=新宿ジムの主、RIKIYAが見守る中、妖しく、そして秘かに繰り広げられる地下の熱闘。それにしても、この複雑に張り巡らされた荒縄ロープの存在感ときたら……
そして、この緊縛縄に護られたリングに、いきなり富豪2夢路が登場。入道、スパーク青木ら相手に連戦を敢行した。第2試合の青木戦では延長戦も行われたため、この日夢路は3連戦の強行軍となったが、3戦とも夢路は、対戦相手をボコボコに斬り捨てた。荒縄のロープに囲まれた中で雄叫びをあげる夢路の姿、あたかも“地下の牢名主”といった趣である……!
2日に敵地ミャンマーで、素手の究極格闘技・ラウェイの試合を終えたばかりの紅闘志也が、わずか中3日のブランクで、帰国後ただちに地下プロレス出場! 昨年12月に事故で瀕死の重傷を負いながらも復帰を果たした“歌舞伎町の不死鳥”RIKIYAと格闘鉄人タッグを結成し、JOM&日龍のコンビを迎え撃った。
ロー、ミドル、ハイ、そしてヒザ…、紅&RIKIYAの足技の雨あられに青息吐息のJOM&日龍だが、日龍は坂口道場で鍛えた総合仕込みの寝技、JOMは得意の蹴りで必死に食い下がる。特に健闘光ったJOMにとっては、今試合が地下ベストバウトといえる内容であった。
しかしこのJOMの健闘によって、紅の“人間狂気”を本格的に着火させてしまったか、その後あえなく十倍返しの猛ラッシュに遭い万事休す…。紅は結局、この日の参戦選手の中で唯一、一度もダウンを喫さずに試合を終える圧倒的な強さを見せつけた。
見よ! これが死地から生還した漢(おとこ)の形相である! 人間狂気・紅闘志也が、軍事独裁国家ミャンマーで見たものは何だったのか!? そして、如何に闘ったのか!? ミルホンネットでは試合後、紅に独占取材を敢行し、敵地ミャンマーでの闘いを貴重な現地写真、現地資料とともに8日発売の『マット界舞台裏』5月14日号で徹底追跡! お楽しみに!
■『UNDERGROUND WRESTLING EXIT-15 CORE』
2009年5月6日(日)開始:17:00
会場:東京・新宿歌舞伎町二丁目『CORE STADIUM』(新宿ジム)
<第1試合>
○富豪2夢路(6分57秒 レッグロック)●入道
<第2試合>
○富豪2夢路(7分50秒 ギロチンチョーク)●スパーク青木
(※両者の主張により延長戦)
○富豪2夢路(2分7秒 アームロック)●スパーク青木
<第3試合>
○紅闘志也、RIKIYA(15分49秒 TKO)●JOM、日龍
※試合はすべて時間無制限1本勝負、勝敗はKOかギブアップのみ。
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