[週刊ファイト4月23日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼プロハースカ散る逆転劇アルバーグ新王者誕生:激闘続出のUFC327
Photo:(C)Zuffa LLC /UFC by 野村友梨乃
・フライ級王座戦延期の影を覆す濃密な一夜:UFC327激闘連発で示す
・王座逆転奪取:アルバーグ、負傷の不利を覆しプロハースカを沈める
・コスタの破壊力で無敗ムルザカノフ撃破:ライトヘビー級戦線に名乗り
・ヘビー級殴り合いの15分間:ホキット、無敗のままブレイズ撃破の衝撃
・想定外の空白を埋めた熱狂:タイトルマッチ中止でも輝いたUFC327
▼UFC Fight Night:モイカノ勝利の裏で平良達郎の決戦延期の衝撃報道
▼UFCシアトル、アデサニヤ4連敗の衝撃:激闘連発で進む世代交代
■ UFC 327: Prochazka vs. Ulberg
日時:2026年4月11日(日本時間12日)
会場:米国フロリダ州マイアミ カサヤセンター
<メインイベント UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R>
○カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)14勝1敗
1R 3分45秒 パウンド⇒TKO
●イジー・プロハースカ(チェコ)32勝6敗1分
<コメインイベント ライトヘビー級 5分3R>
○パウロ・コスタ(ブラジル)16勝4敗
3R 1分23秒 TKO
●アザマト・ムルザカノフ(ロシア)16勝1敗
<ヘビー級 5分3R>
○ジョシュ・ホキット(米国)9勝0敗
判定 3-0
●カーティス・ブレイズ(米国)19勝6敗
<ライトヘビー級 5分3R>
○ドミニク・レイエス(米国)16勝5敗
判定 2-1
●ジョニー・ウォルケル(ブラジル)22勝9敗1NC
<フェザー級 5分3R>
○カブ・スワンソン(アメリカ)31勝14敗
1R 4分06秒 TKO
●ネイト・ランドウェア(アメリカ)18勝8敗
<フェザー級 5分3R>
○アーロン・ピコ(米国)14勝5敗
判定 3-0
●パトリシオ・ピットブル(ブラジル)37勝9敗
<ウェルター級 5分3R>
○ケヴィン・ホランド(米国)29勝15敗
判定 3-0
●ランディ・ブラウン(ジャマイカ)20勝8敗
<ライト級 5分3R>
○マテウス・ガムロット(ポーランド)26勝4敗
2R 4分19秒 肩固め
●エステバン・リボビクス(アルゼンチン)15勝3敗
<女子ストロー級 5分3R>
○タティアナ・スアレス(米国)12勝1敗
2R 2分29秒 リアネイキドチョーク
●ルーピー・ゴディネス(メキシコ)14勝6敗
<ライト級 5分3R>
○クリス・パディーヤ(米国)18勝6敗
判定 2-0
●マルケル・メデロス(米国)11勝2敗
<ミドル級 5分3R>
○ヴィセンテ・ルーケ(ブラジル)24勝12敗1分
1R 4分08秒 アナコンダチョーク
●ケルヴィン・ガステラム(米国)20勝11敗
<ウェルター級 5分3R>
○チャールズ・ラドキ(米国)12勝5敗
判定 3-0
●フランシスコ・プラド(アルゼンチン)12勝5敗
フライ級王座戦延期の影を覆す濃密な一夜:UFC327激闘連発で示す
平良達郎の王座挑戦が延期となるという予想外のニュースが流れた中で開催された『UFC 327』。本来であればフライ級タイトルマッチが中心となるはずだった一夜は、しかしふたを開けてみれば、ライトヘビー級王座戦を筆頭に見応えのある試合が続出する“濃密な大会”となった。停滞と前進、継続と変化――さまざまな要素が交錯したこの夜は、UFCという舞台の現在地を強く映し出していた。
▼UFCフェザー級激化:無敗対決制したイヴロイエフ、王者挑戦に名乗り
王座逆転奪取:アルバーグ、負傷の不利を覆しプロハースカを沈める
<メインイベント UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R>
〇カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)14勝1敗
1R 3分45秒 パウンド⇒TKO
●イジー・プロハースカ(チェコ)32勝6敗1分
メインイベントのUFC世界ライトヘビー級王座決定戦は、まさに“勝負の非情さ”と“人間性”が交錯した一戦となった。元UFC&RIZIN王者イジー・プロハースカと、9連勝中のカーロス・アルバーグ。異なる道を歩んできた両者が、空位の王座を懸けて激突した。
プロハースカは、RIZINで王者として名を上げ、UFCでも無敗のまま王座に到達した異色のファイターだ。グローバー・テイシェイラを下し戴冠後は、負傷による長期離脱や王座返上、そしてアレックス・ペレイラとの激闘を経て、再びタイトル戦線へと戻ってきた。敗戦はあるものの、その内容は常にトップレベル。どこか“戦いそのもの”を体現するような存在でもある。
一方のアルバーグは、シティキックボクシング所属のストライカー。イスラエル・アデサニヤと同門で、キックボクシングからMMAへ転向後、着実に実績を積み重ねてきた。UFCデビュー戦でのKO負けを最後に、そこから9連勝。ヤン・ブラホヴィッチやドミニク・レイエスといった実力者を下し、勢いそのままに王座戦へとたどり着いた“完成されつつある挑戦者”だった。
試合序盤、主導権を握ったのはプロハースカだった。カーフキックでアルバーグの足を削り、明確にダメージを蓄積させていく。アルバーグはバランスを崩し、さらには膝を痛めたような動きも見せるなど、早い段階で異変が起きていた。この時点で、流れは完全にプロハースカに傾いていた。

それでもプロハースカは、相手の異変に気づいたのか、マットを指差し「そのまま打ち合おう」とジェスチャーを見せる。削り続ければ勝てる状況。それでも真正面からの勝負を選ぼうとする姿には、彼らしい“武士道”のような美学がにじんでいた。
だが、その一瞬の選択が試合の流れを変える。劣勢の中でも冷静に“一発”を狙い続けていたアルバーグ。カウンターで放った左フックが、プロハースカの顎を捉える。ダウンしたところへパウンドを連打し、レフェリーが試合を止めた。1R3分45秒、TKO決着。

右足の負傷というアクシデントを抱えながらも、アルバーグが逆転勝利。これで10連勝、ついにUFCライトヘビー級王座に就いた。
試合後、アルバーグは「膝を怪我したのはすぐに分かった。それでも一発を狙える感覚があった」と語り、極限の状況でも勝機を逃さなかった冷静さを示した。
一方、敗れたプロハースカは静かに言葉を絞り出した。「やっちまった。こういうこともある。相手の怪我を気にしてしまった。心が揺らいではいけなかった。大きな学びだ。強くなって戻ってくる」その姿には、敗者でありながらもどこか“愛される理由”が詰まっていた。相手を気遣う優しさか、それとも勝負の甘さか。その判断は見る者に委ねられる。ただ一つ言えるのは――オクタゴンの中では、どんな状況であっても結果だけがすべてだということ。非情な現実の中で、それでもなお人間らしさを失わない者と、勝負に徹して結果を掴む者。その対比こそが、この一戦を特別なものにしていた。

コスタの破壊力で無敗ムルザカノフ撃破:ライトヘビー級戦線に名乗り
<コメインイベント ライトヘビー級 5分3R>
〇パウロ・コスタ(ブラジル)16勝4敗
3R 1分23秒 TKO
●アザマト・ムルザカノフ(ロシア)16勝1敗
セミファイナルに昇格したライトヘビー級戦は、“再起を懸けた挑戦者”と“無敗の新鋭”が交錯する注目の一戦となった。ミドル級から階級を上げてきたパウロ・コスタと、UFC無敗を誇るアザマト・ムルザカノフ。タイトル戦線への足掛かりを懸けた戦いは、明確なテーマを持ったカードでもあった。
ムルザカノフは、ロシア出身のストライカー。白兵戦闘術をバックボーンに持ち、爆発的な踏み込みからパンチを叩き込むスタイルでUFC6戦無敗。直近ではアレクサンダル・ラキッチを秒殺KOで沈め、一気に評価を高めていた。36歳ながら、キャリア16戦無敗という“崩れない強さ”を持つファイターだ。
一方のコスタは、かつてミドル級でタイトル挑戦まで駆け上がったフィジカルモンスター。しかしアデサニヤ戦での敗北以降は失速し、5年間でわずか5試合、内容も判定続きと本来の爆発力を失っていた。今回のライトヘビー級転向は、その流れを変えるための大きな決断でもあった。
1R、試合の主導権を握ったのはコスタだった。序盤から放つインローとミドルキックがムルザカノフに蓄積し、明らかに動きを鈍らせていく。踏み込みを武器とするムルザカノフだが、足にダメージを受けたことで距離を詰めきれず、持ち味を発揮できない。
このままコスタの流れかと思われたが、2Rに試合は一度揺れる。ムルザカノフの打撃が当たり始め、さらに組みから首投げでテイクダウン。袈裟固めでプレッシャーをかけるなど、地力の高さを見せつける。しかしコスタもここを凌ぎ切り、ケージ際でボディロックからヒザを突き刺して応戦。互いの持ち味がぶつかるラウンドとなった。

そして最終ラウンド、再び試合を動かしたのはコスタだった。インロー、ミドルと蹴りを散らしながら前に出続けるコスタに対し、ムルザカノフは足のダメージからか踏み込みきれない。徐々に防御が下がる中、コスタの右ハイがヒット。遅れて崩れるようにダウンしたムルザカノフに対し、そのまま追撃が入る。レフェリーストップ。3R1分23秒、TKO決着。コスタがライトヘビー級転向初戦で無敗のムルザカノフを下すインパクトのある勝利を挙げた。
試合後、コスタはケージサイドにいたドナルド・トランプ大統領に握手を求め、「この舞台でパフォーマンスできて光栄だ」と語る余裕も見せた。「ライトヘビー級の体を作るのは大変だけど、チャンスがあるならこの階級で戦うのもいいね」かつての“倒しに行くコスタ”が戻ってきた――そう感じさせる内容だった。
階級を上げたことで解放されたフィジカルと打撃の圧力。そして、無敗の相手を止めたという事実。この勝利は単なる一勝ではない。停滞していたキャリアを打ち破り、再び上へと進むための“再起の証明”だった。
▼UFC FightNight:ヴァシェホスがエメットを1R撃破、UFC世代交代の兆し