[週刊ファイト3月12日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼3月7日、RIZIN52開幕:制度改革と団体構造が試される11年目の初陣
photo:週刊ファイト+(c)RIZIN+(c)原口伸 by 野村友梨乃
・「バーサス世界」始動:新体制の初陣RIZIN52は成功を遂げるのか
・世界標準+独自路線のデュアルマストシステム導入:RIZIN判定改革
・RIZIN.52、福田龍彌vs.ダウトベック戦消滅:その先に問われる運営力
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・理想を掲げるだけで終わらせないために:制度も構造も問われるRIZIN
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▼versus(バーサス)世界本格始動:RIZIN外向戦略元年は飛躍か岐路か
「バーサス世界」始動:新体制の初陣RIZIN52は成功を遂げるのか
RIZINの2026年が、いよいよ動き出す。3月7日、RIZIN52。新体制の空気をまとった最初の大会であり、今年の方向性を占う意味でも、ただのナンバーシリーズでは終わらない一戦になるはずだ。

もちろん期待はある。「バーサス世界」という明確なテーマを掲げ、海外の実力者を積極的に招聘し、国内選手とぶつけていく姿勢は、停滞よりも前進を選んだ証でもある。
▼挑戦か堕落か:BreakingDownにRIZINファイターが出るという違和感
世界標準+独自路線のデュアルマストシステム導入:RIZIN判定改革
「バーサス世界」という明確なテーマを掲げ、海外から実力者を呼び込むマッチメイクを強化するだけが、今年のRIZINの変化ではない。リングの外でも、大きな決断が下された。RIZINは10年間続けてきたトータルマストシステムから決別し、新たにデュアルマストシステムを導入するという、団体の根幹に関わる改革に踏み切ったのである。
第一基準は、10ポイント・ラウンドマスト方式。各ラウンドを10-9、あるいは10-8で採点し、その合計で勝敗を競う。ここまではUFCをはじめとする世界標準に近い枠組みだ。しかしRIZINが打ち出したのは、そこで終わらない。
合計スコアが同点だった場合にのみ発動する第二基準が「3Dトータルマスト」。Damage(ダメージ)、Dominance(ドミナンス)、Duration(デュレーション)という3つの評価軸を合算し、必ず勝敗を決定する仕組みである。評価の最優先は、瞬間的な派手さではなく、ラウンド終了時点で相手の戦闘能力をどれだけ削ったかという“結果としての差(GAP)”。アクションではなく結果を見るという思想は、理屈としては筋が通っている。

これまでのトータルマスト判定に対して「なぜその結果なのか」と疑問を抱いたファンは少なくなかったはずで、UFCなど海外基準と比較して納得感に欠ける試合があったことも否定できない。だからこそ、世界標準に寄せつつ、RIZIN独自の“必ず決着をつける”思想を残そうとする姿勢は評価に値する。
正直に言えば、ここまで世界を意識するのであれば、素直にラウンドマストへ完全移行するだけでもよかったのではないか、と個人的には思わなくもない。世界基準で戦うと言うのなら、世界基準のままでいいのではないか、と。
だが、RIZINという団体は昔から「世界初」や「独自路線」といった言葉を好む。良くも悪くも、そこに色気がある。今回のデュアルマストも、単なる追随ではなく、「自分たちなりの最適解を提示したい」という意思表示なのだろう。
その姿勢自体は、決して否定すべきものではない。挑戦し続ける団体であろうとする意志は、停滞よりもはるかに健全だ。
ただし、制度は導入した瞬間がゴールではない。本当に重要なのは、現場でどう運用されるかだ。ラウンドマストが基本となれば10-8の頻度はどう変わるのか。ジャッジの解釈は統一されるのか。3D評価の数値化は透明性を保てるのか。新しい仕組みは期待を生む一方で、混乱も生む。
そう考えると、3月7日のRIZIN52は単なる開幕戦ではない。マッチメイクだけでなく、判定制度そのものが試される“実戦テスト”の場でもある。
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