BRAVE CF100に向け出場選手がメッセージを次々公開!

ハムザ・クーヘジ:祖国で完結を誓う再起の物語

 ハムザ・クーヘジは長年にわたり、バーレーン総合格闘技の心臓部としてこの競技を支え続けてきた存在である。まだ地域でMMAというスポーツが根付いていなかった頃から、彼は国の旗を背負い闘い続け、バーレーン格闘技界の象徴として歩んできた。

 しかし、積み重ねてきた歴史の中で唯一手にしていないものがある。それが「世界王座」だ。

 そして今、ついにその宿願を果たす機会が訪れる。11月7日(金)、バーレーン・イーサタウンのハリファ・スポーツ・シティ。32歳となったクーヘジは、ついに故郷の地でBRAVE CFバンタム級世界王者ボリスラヴ・ニコリッチに挑む。自身が立ち上げ当初から関わってきた団体「BRAVE CF」にとっても、記念すべき第100回大会という節目の舞台である。

「バーレーンの誇り(The Pride of Bahrain)」の異名を持つクーヘジにとって、この試合は単なるタイトル戦ではない。彼の人生そのものをかけた長い旅の集大成なのだ。

「世界タイトルを取ることは、個人の夢にとどまらない。これまで支えてくれたすべてのバーレーン国民、そして夢を追う若いファイターたち、努力と信念があれば道は開けると信じるすべての人々の象徴になる」とクーヘジは語る。

 2012年にプロデビューして以来、彼はバーレーンMMAシーンの象徴的存在として活動し続けてきた。2016年にBRAVE Combat Federationが誕生した際には、その創設メンバーのひとりとして参加。以降、団体の発展とともに歩み、国際的な舞台でバーレーンMMAの名を世界に広めてきた。

 BRAVE CFでの戦績は11試合中9勝。多くのファンに愛され、団体の歴史を象徴する存在として確固たる地位を築いている。

 だが、忘れられない夜がある。2022年3月の「BRAVE CF 57」で、クーヘジはブラッド・カトーナとの王座決定戦に挑み、僅差のスプリット判定で惜敗。あと一歩で王座に届かなかったその夜の記憶は、今も彼の心に刻まれている。

「初めてのタイトル戦で、自分がどんなファイターなのかを思い知らされた」と彼は振り返る。「今の自分を突き動かしているのは“リデンプション(贖罪)”だ。再びチャンスを得て、物語を正しい形で完結させること。それがすべてだ。これが俺の旅の終着点なんだ。」

 そして運命のいたずらか、再起の舞台は2年前と同じハリファ・スポーツ・シティ。だが今回は、あの時とは違う。彼の手で新しい歴史を描く番である。

「2022年のあの夜から、毎日その記憶を抱えて生きてきた」とクーヘジは語る。「でも今度こそ、それを美しい記憶に塗り替える時だ。祖国バーレーンで、自分の人々の前で世界タイトルを勝ち取る。それがこの物語の完璧な結末になるんだ。」


ムハンマド・モカエフ:バーレーンの地でBRAVE CF史に名を刻む準備は整った

 アマチュア時代の完全制覇から世界屈指のフライ級ファイターとしての地位確立まで、ムハンマド“ザ・パニッシャー”モカエフは、これまであらゆる挑戦を乗り越えてきた。そして今、彼はついに手の届かなかった唯一の称号――世界王座を懸けて戦う時を迎える。

 11月7日(金)、バーレーン・イーサタウンのハリファ・スポーツ・シティで開催される「BRAVE 100」のセミメインイベントで、モカエフはジェラルド“ジ・アニマル”バーンズと激突し、初代BRAVE CFフライ級世界王座を争う。しかもその舞台は、彼の物語が始まった特別な地・バーレーンである。

「バーレーンはいつまでも自分の心の中に特別な場所として残る」とモカエフは感慨深げに語る。「アマチュア時代にも、プロとしても、この国でキャリアの大きな瞬間をいくつも経験してきた。ここはもう自分の第二の故郷のような場所なんだ。」

 25歳の新星にとって、バーレーンは次戦の開催地というだけではない。彼の格闘家人生が描かれてきたキャンバスそのものだ。アマチュア時代、彼はこの地で数々の金メダルを獲得し、ファンと仲間から厚い尊敬を受けた。そして2020年、プロへ転向したモカエフを迎え入れたのが、バーレーンを拠点とする「BRAVE Combat Federation」だった。

 若き才能への期待は大きく、彼は団体の未来を担うフライ級の旗手としてその重責を背負ったが、“ザ・パニッシャー”はその期待を裏切らなかった。BRAVE CFでの5試合のうち4勝を挙げ、そのうち2試合はサブミッションでの快勝。見事に将来を嘱望される逸材としての評価を不動のものにした。

「BRAVE CFがあったからこそ、バーレーンは自分にとってさらに特別な場所になった」とモカエフは語る。「この団体は最初から自分を信じ、ファイターとして本当の自分を見せる場を与えてくれた。」

 2024年12月、「BRAVE CF 91」での凱旋試合は、その絆をさらに強固なものとした。モカエフはフィリピンのジョーヴィンセント・ソーを1ラウンドでサブミッションに仕留め、健在ぶりをアピール。飽くなき頂点への情熱を再び示してみせた。

 そして今、迎えるBRAVE 100。彼のキャリアの中で最も重要な試合が目前に迫っている。まだ手にしたことのない、キャリアの最後のピース――世界タイトルが、いよいよ彼の手の届くところにあるのだ。

「初めての世界タイトルをこのバーレーンで獲得できたら、それは自分にとってすべてを意味する」とモカエフは語る。「夢が形になり、自分がファイターとして、そして人間として成長してきた場所。それがこの国なんだ。もしこの第二の故郷で世界王者になれたら、それはまさに“円環の完成”だと思う。」


カルロス・クレマー:世界MMA成長の鼓動はバーレーンにある

 BRAVE CF殿堂入りを目前に控えたわずか24時間前、伝説的ケージアナウンサーのカルロス・クレマーは、世界でも最も活気に満ちた総合格闘技(MMA)文化を育んだ国として、バーレーン王国への深い敬意を表した。

 世界を舞台に活躍するクレマーの旅路は、BRAVE Combat Federationと共に38カ国に及び、「MMA史上最も多くの国を回ったケージアナウンサー」として知られている。2017年から2024年までの8年間、Fight Book MMAが選出する「世界No.1ケージアナウンサー」の座を連続で獲得した彼は、MMAが地方大会から国際舞台へと成長していく過程を最前線で見てきた。その変革の原動力として、クレマーはバーレーンの存在を挙げる。

「バーレーンはMMAを“開催している”のではなく、“再定義している”」と彼は語る。「ハリード・ビン・ハマド・アル・ハリーファ殿下のビジョンのもと、この国は世界中のファイターに力を与えるムーブメントを築き上げた。」

 クレマーにとって、バーレーンの影響はケージの中の戦いだけにとどまらない。米海兵隊出身の彼は、名誉と勇気で2つの海軍功績章を受章した経歴を持ち、その経験の中に「勇気・規律・団結」という価値を見出してきた。そして、その精神こそが、バーレーンの格闘技文化にも深く根付いているという。

 彼のキャリア自体がそれらの理念を体現しており、2023年には「アメリカ武道殿堂」に名を刻み、続いて2025年11月5日(水)に「BRAVE CF殿堂」への正式な殿堂入りを果たす。これらの栄誉は、彼が生涯をかけてMMAとその選手たちに注いできた情熱の証であり、同時にバーレーンが世界のMMA発展の中心として尽力してきたこととも重なる。

「BRAVE CFとKHK MMAが成し遂げたことは本当に驚異的だ」とクレマーは強調する。「発展途上地域のファイターに世界的な舞台を提供しながら、尊敬とスポーツマンシップという本質を決して失っていない。」

 BRAVE CFはその創設当初から「格闘技を通じて世界をひとつにする」という理念を掲げてきた。地域的な才能の発掘を目的に始まった団体は、いまや世界各大陸で大会を開催し、かつて注目されなかった選手たちに国際的なチャンスを与える存在へと成長した。

「ここでの成長は単なる組織的なものではなく、文化的なものだ」とクレマーは語る。「新しい世代が“自分も世界の舞台に立てる”と信じるようになったのは、この国の影響があってこそだ。」

 そしていま、11月7日(金)にバーレーン・イーサタウンのハリファ・スポーツ・シティで行われる「BRAVE 100」を前に、バーレーンは再び世界MMAの革新の中心としてその存在感を強めている。アジアからアメリカまで、その声が響き渡ってきたクレマーにとって、バーレーンの物語はまさに「変革の証」だ。

 「ビジョンとリーダーシップ、そして情熱があれば、ひとつの国がスポーツの世界を変えられるということを、バーレーンは証明してみせた」とクレマーは語り、「バーレーンの影響力はケージを超えて広がっている。それは“機会と名誉”に基づいた世界的なコミュニティを形作っているのだ」と締めくくった。

BRAVE 100:歴史的な夜に輝く新世代の女性ファイターたち

 11月7日(金)、バーレーン・イーサタウンのハリファ・スポーツ・シティを照らす光が「BRAVE 100」の舞台を照らすとき、世界が目にするのは団体の記念すべき節目だけではない。そこには、女子総合格闘技の歴史を塗り替える新たな瞬間が待っている。

 今大会では3つの世界タイトルマッチが行われるが、注目は王座戦にとどまらない。世界各地から集結した4人の女性ファイターたちが、自らの存在を示すべく戦いに挑む。彼女たちは、女子MMAの台頭が一時的なブームではなく、止まることを知らない世界的なムーブメントであることを証明しようとしている。

 まず注目されるのは、イングランド出身のミム・グラブとブラジルのファビオラ・ナシメントによるストロー級戦。2021年から2024年にかけてアマチュアとして着実な戦績を積んできたグラブは、昨年7月にBRAVE CFでプロデビュー。ドイツのゾングル・カラトラクを相手に圧勝し、判定3-0で初戦を飾った。プロ戦績2戦2勝の彼女は、無敗記録を更新すべく意気込む。

 対するナシメントは、シュート・ブラジルのストロー級王者で、こちらも無敗の3勝0敗。リオデジャネイロでのタイトル奪取では第4ラウンドTKOという鮮烈な勝利を飾り、BRAVE CF関係者の目に留まった。無敗同士の激突となるこの試合は、技術力だけでなく、重圧下での冷静さと精神力が試される舞台でもある。

 もう一つのストロー級マッチでは、インドのアールティ・カトリがウズベキスタンのアロファト・トイロワと対戦する。カトリは5勝1敗の好成績を持ち、打撃と寝技のバランスに優れたオールラウンダー。これまでに2つのKO勝ちと2つのサブミッション勝ちを記録している。2025年初頭には日本の平田樹との激戦も経験し、その実力を世界に証明した。

 BRAVE CFのCOOであるヴァレリア・ラングは、カトリの成功を「機会と野心が交わる場所としてのBRAVE CFの象徴」と称賛する。「アールティの歩みは、インド国内大会からバーレーンのBRAVE 100まで上り詰めた物語。彼女の成功が、国際舞台を目指す若い女性たちの扉を開くだろう」と語った。

 一方のトイロワは、関節技を武器に台頭してきたサブミッションスペシャリスト。前戦では強烈なアームバーで相手をタップさせ、その実力を証明している。両者ともに高い技術と果敢な攻めを特徴としており、BRAVE CFが掲げる“恐れず挑む精神”を体現するカードとなることは間違いない。

 BRAVE CFの世界展開を38カ国にまで拡大させた立役者でもあるラングは、団体の長期的ビジョンにおいて「ジェンダーの包摂性」が欠かせない要素であると強調する。「BRAVE CFは創設当初から、すべての地域の選手に道を開くことを使命としてきた。それは女性アスリートの力を引き出すことでもある。アジアでは今、驚くほど多くの女性ファイターが台頭している」と語る。

 この理念は単なる言葉ではなく、団体の運営方針に深く根付いている。「BRAVE CFでは、出身地や国籍に関係なく、すべてのファイターが世界の舞台に立つ権利を持つと信じている」とラングは付け加えた。

 そして今回のBRAVE 100では、団体初の「She Is BRAVE」キャンペーンが正式に始動。これは世界中の女性たちが自分自身の転機や、勇気を与えてくれた人物への想いを共有するプロジェクトである。毎月、BRAVE CF公式チャンネルや提携メディアで3人の女性のストーリーが紹介され、勇気と挑戦の象徴として称えられる予定だ。

 100回目という節目を迎える今大会において、女性選手たちの試合はただの前座ではない。それは「歴史を築く者」としての証明であり、ベルトを持つ者だけでなく、自らの存在を賭けて闘う者たちによっても、BRAVEの物語は刻まれていくのである。