[ファイトクラブ]全日大田区!斉藤ジュン、宮原健斗超えで全日本の“顔”へ躍進

[週刊ファイト4月10日期間 [ファイトクラブ]公開中

▼全日大田区!斉藤ジュン、宮原健斗超えで全日本の“顔”へ躍進
 photo by テキサスロングホーン/全日本プロレス公式 編集部編
・三冠戦を超えた大激戦!斉藤ジュンが宮原健斗を撃破し堂々のV3
・敗者・宮原健斗の呟きが刺す、王者への執念と哀しみ
・安齊勇馬&ライジングHAYATO、アジアタッグ王座5度目防衛成功!
・青柳優馬、スミスJr.に雪辱ならずも闘志剥き出しの叫び
・全日・大田区総合体育館激闘の記録


▼プロレス界発展のため、政治と税金の利用……は諸刃の剣!

[ファイトクラブ]プロレス界発展のため、政治と税金の利用……は諸刃の剣!

▼『プロレスの日』に日本プロレスリング連盟の公式サイト開設!

[ファイトクラブ]『プロレスの日』に日本プロレスリング連盟の公式サイト開設!

▼大仁田から越中、小川良成まで……G馬場時代の全日ジュニア系譜

[ファイトクラブ]大仁田から越中、小川良成まで……G馬場時代の全日ジュニア系譜

▼全日後楽園!宮原健斗&青柳優馬100代王者セレモニー西村修さん追悼

[ファイトクラブ]全日後楽園!宮原健斗&青柳優馬100代王者セレモニー西村修さん追悼

三冠戦を超えた大激戦!斉藤ジュンが宮原健斗を撃破し堂々のV3

 全日本の「顔」へと歩を進める巨躯の覇者──斉藤ジュン、宮原健斗との死闘を制し三冠王者としての矜持を刻む

 全日本プロレスが誇る最高峰タイトル、三冠ヘビー級王座を懸けた3月29日の大田区総合体育館大会において、王者・斉藤ジュンと挑戦者・宮原健斗による注目の一戦が実現した。結果として、この試合は斉藤ジュンが三冠王者としての存在感を確立し、新たな時代の到来を感じさせる戦いとなった。

 38歳の斉藤ジュンにとって、この宮原健斗戦は決して容易な防衛戦ではなかった。何しろ相手は、これまで何度も団体をけん引し続けてきた「全日本のエース」宮原健斗であり、その完成度の高いプロレスとスタミナ、試合巧者ぶりは群を抜いている。そんな難敵に対し、斉藤ジュンは開始から一切の躊躇なく自らの持ち味であるパワーを前面に押し出して攻め立てた。中盤、雪崩式チョークスラムで強烈なダメージを与えると、チョークスラム、さらにはジャックハマーと続けて畳み掛け、完全に主導権を握る姿を見せた。

 だが、挑戦者・宮原健斗も簡単に崩れる相手ではなかった。ジャックハマーの猛攻を耐え抜いた宮原は、反撃に転じ、スタンディング式のブラックアウトや、走り込んでのカウンター式ブラックアウトを幾度となく浴びせ、試合の流れを変えようと必死の攻防を展開した。そして勝利への鍵とも言えるフィニッシュムーブ「シャットダウンスープレックス・ホールド」を狙ったが、ここでジュンの底力が光る。宮原のクラッチが崩れた一瞬の隙を逃さず、フロントキックを炸裂させた斉藤ジュンは、ついに必殺の「サイコブレイク(コブラクラッチスラム)」を完璧に決め、3カウントを奪取。全日本三冠王者としてのV3防衛を見事に飾った。

 勝利後、リング上では双子の弟・斉藤レイがリングに上がり、ベルトを巻いて勝利を祝福。そのままリング上で2人揃ってどら焼きを頬張るという、ある意味で“斉藤ブラザーズらしい”陽気で記憶に残るセレモニーが行われた。「これから俺たち斉藤ブラザーズの時代の幕開けだ。みんな俺に付いて来い。全日本、DOOM!」と高らかに叫び、大会を締めくくった。

 バックステージに戻った斉藤ジュンは、これまで何度も跳ね返されてきた宿敵・宮原健斗をついに三冠戦で下したことへの感慨を語った。「やっと宮原健斗に三冠戦で勝つことができた。これからは俺が全日本プロレスの顔だ」と、自信に満ちた言葉で新時代の旗手としての覚悟をにじませた。そして、4月9日に開幕するチャンピオン・カーニバルにおいては、「三冠王者のまま全勝優勝してやる」と、さらなる野望を明確にした。

 さらに、「最高の舞台だった。宮原健斗はやっぱり最高のプロレスラーだな」と最大限のリスペクトも示しながら、「せっかくのお花見シーズンだ。気分よくお花見に行って、お酒でも飲んで、甘いものでも食べに行こう。来たいヤツは来るがいい。DOOM!」と語る姿には、プロレスラーとしての激しさと人間としての飾らぬ一面が見えた。

 斉藤ジュンが三冠の王座に就いた当初、「一過性の王者」で終わるのではないかという不安を口にする声も一部ではあった。しかし、今やその声は消えつつあり、むしろ「斉藤ジュンがいなければ全日本は語れない」と感じさせるだけの重みを帯びてきている。宮原健斗を破ったこの試合は、その象徴的瞬間だったと断言できる。

 これから全日本プロレスは、チャンピオン・カーニバルを皮切りに春から夏へと重要な戦いが続いていく。そこにおいて「全日本の顔」として先頭を走る斉藤ジュンが、どのような防衛ロードを描き、そしてその背中にどれだけのファンと後輩たちを引き連れていくのか──その未来に大いなる期待を抱かずにはいられない。

敗者・宮原健斗の呟きが刺す、王者への執念と哀しみ

 全日本プロレスの中心に君臨し続けた男、宮原健斗。その存在感と輝きは、リング上だけでなく、全日本という団体の顔として、観客にも選手にも常に希望を与え続けてきた。そんな宮原が、2024年3月29日の大田区総合体育館大会で三冠ヘビー級王座への返り咲きを懸けた挑戦に敗れた。そしてその直後、バックステージで語った言葉は、プロレスラーとしての矜持と葛藤、そして“ベルト”という象徴に対する愛と絶望に満ちていた。

 「もう……三冠のベルトは……三冠ベルトにとって、俺は必要ないのか? もう……どうなんだ。三冠ベルトにとって、もう俺の存在は必要ないのか……?」──この言葉を、単なる敗戦後の一言として片付けるのはあまりにも浅はかだ。これは、三冠王者として幾度も頂点に立ち、団体の未来を背負ってきた宮原が、敗者として語った“魂の問い”であり、“自問自答”のような祈りである。

 宮原にとって、三冠のベルトとはただのタイトルではない。それはプロレス人生そのものであり、彼の誇り、彼の覚悟、彼が歩んできた道の象徴であった。2023年2月にベルトを手放して以来、1年1ヶ月以上にわたって“再びあの場所に戻る”ためだけに闘い続けた宮原。その執念は数多の激戦を経てこの日の大舞台にたどり着いた。だが結果は、斉藤ジュンに敗北。そして、その敗北がもたらしたのは、単なるベルトへの執着の喪失ではなく、「ベルトに見捨てられたのではないか」という深い喪失感だった。

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。

ログイン