■ 映画 FIGHT
出演:大仁田 厚 ターザン山本 ブル中野 グレート小鹿 ちぃたん☆ 松原巾江 マンモス佐々木 リッキー・フジ 犬まゆみ ほか
監督・撮影・編集:川上孝行
プロデューサー:石井千晶/嶋田 豪 企画協力:大仁田屋 オールジャパンプロレス FMWE
配給:アイエス・フィールド/S・D・P 宣伝:シネマハイブリッドジャパン 制作協力:アイエス・フィールド
制作:トライエット・エンターテインメント 製作:ドキュメンタリー映画「ファイト」製作実行委員会
2024年/日本/カラー/4Kシネマスコープ/ステレオ(一部モノラル)/100分
© 2024ドキュメンタリー映画「ファイト」製作実行委員会
予備知識ナシに見た映画である。本誌サイトにアップされているものですら、正直、中までクリックはしてなかった。そもそも大会評やる場合と同じで、他がどう言ってるとか先に見るのは絶対に嫌という記者としての流儀もある。
期待もなにもナシで臨むも、これが実に面白い、味わい深い作品だったのだ。”大仁田厚”の名前くらいは知っている程度の、特にプロレスファンでもなければ大仁田厚ファンでもない一般の映画好きにも見て欲しい。はっきり評するなら”必見作!”に仕上がっていたのでビックリである。
なんの因果なのか、そういえばアントニオ猪木の映画『アントニオ猪木をさがして』が昨年公開されたのだが、「なんじゃこれは?」の出来だったことを持ち出すなら、評価は残酷に違ってくる。恐らく10倍、いやブラジル・ロケまで100倍予算のAmuseによるメジャー制作映画より、この(明らかな)インディー作品のほうが面白いんだから、世の中どう転ぶかわからないものだ。実際、エンドクレジットで知ったことだが、クラウドファンディング活用にて上映が決まった作品である。
なにしろ本誌顧問のターザン山本が出演しているのだが、最後に専門媒体から見た究極の真理が語られている。アントニオ猪木が生きていたら、後継者は新日本プロレスの選手ではなく、大仁田厚なんだと。これ、全くのリアルなんだからドキュメンタリー作品というのは、誰を登場させて対象の主人公を語らせるかで作品の善し悪しが決まるものなのだ。
あとからクレジット表記を出すために知ったことになるが、「8年に及ぶ撮影」とかあるんだけど、基本は2023年の1月3日、古巣の全日本に乗り込み、「電流爆破をやってないのはゼンニチだけ」と参戦表明するところからの行動なり試合映像クリップが軸になる。再び『アントニオ猪木をさがして』との比較を引き合いに出すなら、「大仁田厚とはなにか?」を探るのに、あれもこれもと昔の映像まで使う必要はなかったことになる。ドキュメンタリー作品制作の難しさも考えさせられるのだが、繰り返しになるが結果論として面白かったのだから『FIGHT』の勝ちなのだ。
ということで、大仁田厚を語るのにあれもない、これもない、例えば故ミスター・ポーゴとの対戦映像も出てこないのであるが、代わりにChapter分けを画面表示にまでしてあって、かの有名なお母さんが出てくるのは当然、”大仁田信者”の出番アリとしても、電流爆破の担当者が60歳で花火師としてもデビューとか、大阪から上京して自称アイドルの女の話が結構長く出てくる。見ている途中で、この知らない無名のブス女(笑。恐らく自称カワイイ)は、最後に大仁田と絡んでドキュメンタリーの点と線が繋がるのかと思っていたのだが・・・。結局それもない。
だったら、それらはドキュメンタリー作品の主役と関係ないのだから、そんなセグメント不要なんじゃないかと思うかもだが、「大仁田厚とはなにか?」を語るのに他人の人生が平行して語られる手法、結構うまくハマっているのである。なるほど、川上孝行の監督デビュー作、非凡なる才能の持ち主だと恐れ入りました。
週刊ファイト的には、立石の商店街まで編集でカットせずに出てくるターザン山本は無論のこと、レフェリーのガンダーラ鈴木がカウント叩いている場面も出てきて、業界人的に笑える箇所も多々あるのだが・・・。ただ、ガンダーラの名前はエンドクレジットに出ていたから、なんでも宣材の叩き文句「密着取材には3200時間」とあるので、恐らくインタビューは収録したものの、最終版には使われなかったのだろう。
但し、いくら最後のクレジットでは名前テロップと顔が出てくるとはいえ、途中に登場して大仁田が荒井昌一のFMWから追い出されるくだりのインタビュー箇所に、テロップで「マンモス佐々木」と入れるべきとか、細かい箇所で改善の指摘はしておきたい。なにしろ、大仁田厚の名前くらいは知っているというプロレスファンとまでは言えない世間の一般客にも見ていただきたい秀作ドキュメンタリー作品なのだから。詳しくないお客にわかりやすく、ということだ。
よく、「大衆に知られているプロレスラーは猪木、馬場、大仁田くらい」と本誌は引き合いに出すが、馬場さんのは日テレが追悼番組をやった程度。アントニオ猪木は前出のイマイチ映画だったので、ドキュメンタリー映像観点からなら、大仁田厚はこの『FIGHT』を形に残したことはマット界の歴史上からも意味があろう。作品は故・荒井昌一さんに捧げられている。
by タダシ☆タナカ
川上孝行監督とは?
▼裁判プロレス新局面! 川上孝行氏、ブシロードファイトへの提訴を取り下げ、スター☆ダム&ロッシー小川氏を提訴へ!!
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