『超RIZIN.3』最大のニュースはさいたまスーパーアリーナ、スタジアム仕様の会場に48,117人を集客したことに違いない。2015年に旗揚げしたRIZINは9年目を迎え、地上波フジTVが撤退しようが、若い新たな格闘技ファンを魅了。ついにこれまでで最高の集客記録に登り詰めた。これは立派なことかつ、大いに賞賛すべき筆頭であろう。その集客の立役者は、負けたら引退を口にした朝倉未来なのであるが、「俺の時代」を試合後のプレス会見で宣言した平本蓮が、なんと1Rに仕留めることに。世の中、そういうモンなのだろう。
一方、海外での認知度向上のためにも”飛び道具が必要”ということで、とうの昔に引退していたボクシングのマニー・パッキャオをRIZINに上げたのだが、若い世代の格闘技ファンには、名前すら知らなかったと思われるだけでなく、常にグローバル目線からの報道を意識する本誌が事前に調べて見ても、パッキャオのリング復帰だの、超RIZIN大会のことは話題にされていなかった。まして、安保瑠輝也との試合内容は、判定アリだったなら負けていた。
パッキャオ本人は「デカい」と、身長差、急に対戦相手が変わったことを口にしていたが、契約体重は守られている。復帰のアピールとしてはインパクトに欠けたと評さざるを得ない。その相手変更は、怪我してしまった鈴木千裕だったわけだが、海外目線からなら安保瑠輝也も鈴木千裕も無名なんだから、言い訳にはならないだろう。
通常、試合後のプレス会見には闘った選手が登壇するものだが、この日、「観光で来た(笑)」というライアン・ガルシアが、パッキャオの試合を(もちろんリアルファイトなんだが)「エキシビションマッチ」としか評価しなかったように、せめて5,6Rでもやって欲しかった。安保瑠輝也の明確な勝利になったとは思うけど。
ちなみにガルシアは、本年の4月、前日軽量に約1.4kgオーバーするもWBC世界スーパーライト級王者デヴィン・ヘイニーに勝利。当然、タイトル移動がないだけでなく、翌月のドーピング検査陽性となり結果はノーコテンストに変更、コミッションから1年間の出場停止処分となっている。RIZINがボクシングと呼ばずにスタンディングバウトと称するのは、パッキャオにせよライセンスが失効しているから。今なら、RIZINがボクシングにせよMMAにせよコミッションの制約を受けずに使えるからなのだが、レジェンド選手や問題児を使っても、RIZINの世界認知に貢献するとは思えない。本誌はパッキャオ参戦が発表された際から指摘済みの通りである。
さすがに48,117人集客だけあって、中身的には良い試合が並んだ。負けたら引退を口にしていたのは朝倉未来だけではない。今やベテラン戦士になってしまった所英男が、ヒロヤにパンチで勝利は、デビュー時から所英男を見ている格闘技ファンには真夏の特大ボーナスとなったかも。入場曲♪逆境ファイターを提供している所ジョージさんもカメラが大写しにするなど、イイものを見せて貰った感ありだ。
試合後の会見では感極まって泣いていた。老兵は死なず。最後はセコンドの盟友・金原正徳を呼び寄せ記念撮影に応じていた。
また、(道場の)「トイレの掃除を嫌がった」という因縁が伏線となり元・師弟対決となった扇久保博正vs.神龍誠にせよ、「お前が俺に勝つことはないんだよ」との事前の会見挑発通り、先生・扇久保博正の方が勝ってしまうんだから、格闘技の面白さには違いない。
あるいは、昨年のエイプリルフール4月1日、丸善インテックアリーナ大阪で行われた地元勢同士(芦澤は山梨県出身もナマズ音頭キャラとして)のキックルール対決、芦澤竜誠のヒザが何度も人気者の皇治を捕え、3Rには流血までさせて勝利。今回はMMAルールだったのだが、芦澤竜誠が再び勝利している。「こいつイチビリとちゃうかぁ」と大阪人の記者に言われたら最高の誉め言葉なんだが、会見に出てきた芦澤本人は、糖質コントロールの食事制限が自身には合わず、本領発揮出来なかったとのこと。
そういえば、その芦澤を東京ドームのTHE MATCH(天心x武尊 観衆56339人)で下したのがYA-MANであり、芦澤は負けて転機になった経緯がある。そのYA-MANはこの日、怪物くん鈴木博昭を1RKOした。
格闘技は、長く見続けてより深みにハマり、病みつきになるジャンルである。底なし沼を魅せた9年目のRIZINであった。
■ Yogibo presents 超RIZIN.3
日時:7月28日(日)
会場:さいたまスーパーアリーナ 観衆48,117人(主催者発表)
<第11試合 メインイベントLMS(Last Man Standing)王座戦 MMA特別ルール5分5R フェザー級66kg>
●朝倉未来(JAPAN TOP TEAM/元THE OUTSIDER 60-65kg級 65-70kg級王者)
1R 2分18秒 左フック⇒グラウンドパンチ レフェリーストップTKO
○平本 蓮(剛毅會/K-1甲子園2014 -65kg優勝)
<第10試合 スタンディングバウト特別ルール3分3R 69.0kg契約>
ー安保瑠輝也(MFL team CLUB es)
判定ナシ
ーマニー・パッキャオ(フィリピン)
<第9試合 RIZIN MMAルール5分3R 66.0kg>
●斎藤裕(パラエストラ小岩)
2R4分11秒 三日月蹴りKO
〇久保優太(PURGE TOKYO)
<第8試合 RIZIN MMAルール5分3R 57.0kg>
〇扇久保博正(パラエストラ松戸)
判定3-0
●神龍誠(神龍ワールドジム)
<第7試合 RIZIN MMAルール5分3R 59.0kg>
○所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
1R3分20秒 右ストレート⇒パウンド連打TKO
●ヒロヤ(JAPAN TOP TEAM)
<第6試合 RIZIN MMAルール5分3R 61.0kg>
〇芦澤竜誠(フリー)
判定3-0
●皇治(TEAM ONE)
<第5試合 BKFCフライ級 ベアナックルルール2分5R 57.2kg>
〇ジョン・ドッドソン(アメリカ/JACKSON-WINK MMA)
判定3-0(50-42、49-43、47-45)
●征矢貴(THE BLACKBELT JAPAN)
<第4試合 RIZIN MMAルール 女子スーパーアトム級 49.0kg>
〇RENA(シーザージム)
2R 4分18秒 パンチ連打⇒レフェリーストップTKO
●ケイト・ロータス(フリー)
<第3試合 RIZIN MMAルール5分3R 66.0kg>
●鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)
1R2分28秒 左フックKO
〇YA-MAN(TARGET SHIBUYA)
<第2試合 BKFCフライ級 ベアナックルルール2分5R 57.2kg>
〇タイ・エマリー(オーストラリア)
1R37秒 右フックTKO
●チャリーサ・シガーラ(アメリカ/ミレニアMMA)
<第1試合 RIZIN MMAルール5分3R 66.0kg>
●新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
2R3分11秒 リアネイキドチョーク
〇摩嶋一整(毛利道場)
※詳細拡大版は近日[ファイトクラブ]公開 金曜発売[週刊ファイト]収録
※月額999円ファイトクラブで読む
▼超RIZIN48,117人平本蓮KO朝倉未来パッキャオ不発 所英男 扇久保博正
※600円電子書籍e-bookで読む(カード決済ダウンロード即刻)
’24年08月08日号WWE日本パリ五輪開幕 超Rizin4万+ JKA長江国政 スターダムMゴールド